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二十二 神力

 ライトの力を使えるようにするためには、今の場所では狭すぎると言うことで場所を移動した。その場所は学校の体育館に近い感じの建物だった。机や椅子などの家具もなく、ただ何もない空間が広がっているだけ。学校の体育館と違う点は、バスケットボールのゴールが設置されていなかったり、床に色んな色でラインが引かれているわけでもない。

 「早速ですが、始めましょうか。」

 シンラは指をパチンとならすと、先ほどまで何もなかった空間にボクシングのリングのようなものが出現する。

 「とりあえず、力の使い方を教える前に軽く準備運動をしましょう。」

 「分かりました。」

 ライトはシンラの意図を察したのか、指示をされる前にリングにあがる。

 「強さは今のライトと同程度にしておきます。」

 シンラは再び指をパチンとならすと、ライトの正面に武器を持った黒いマネキンのような物が出現する。どうやらこのマネキンがライトの対戦相手のようだ。

 ライトは利き手である右手に神剣デモンスレイヤーを顕現させる。

 「ライトって戦えるのか?」

 涼平はシンラに質問する。ライトが戦えるはずがないのだ。ライトが戦えるなら、涼平が悪魔と戦わなくても、ライトが悪魔を倒してしまえば良かったことになる。初めて悪魔と対峙した時、ライトは怯えていたはずだ。ライトは演技が上手ではないし、あの場面でライトが嘘をつく理由が見当たらない。あの時のライトは、涼平が悪魔と戦える力を持っていることは知らなかった。だから、武器を持つライトに涼平は違和感を感じる。

 「見てれば分かるわ。」

 シンラはそう言うだけで、涼平の質問には答えない。

 涼平はシンラに言われた通り、ライトの戦闘を見守ることにした。

 ライトは軽く深呼吸をして剣を構える。マネキンはライトが戦闘態勢に入ったことを確認して、マネキンも剣を構える。

 先に動いたのはマネキンだ。マネキンはライトとの距離を詰める。ライトとの距離が、マネキンの持つ剣で攻撃できる範囲内に入り、マネキンが先制攻撃をする。ライトは神剣で攻撃をいなし、その流れで反撃をする。マネキンの右脇腹にライトの一閃が直撃する。そこから、ライトは追撃に移る。ライトの攻撃で体制を崩したマネキンに対して、ライトは確実にダメージを与えていく。そして、ライトがマネキンに5発ダメージを与えたところでマネキンは消滅した。

 「どうやら、昔に教えたことはしっかり覚えているようね。」

 シンラはライトの動きを見た感想を言う。

 「あの動きはシンラが教えたのか?」

 涼平はライトの動きを見て、ただの素人ではないことは一目で分かった。あの動きは即興でできる代物ではない。何年も修行した熟練の動きだ。

 「ええ。いつだったかしら。数百年くらい前に、ライトには剣術についてみっちり教えたわ。」

 「数百年前って・・・。」

 涼平は唖然とする。数百年前に習った剣術を今も扱えるものなのだろうか?

 「確かにライトは百年以上剣にさえ触れてなかったわ。けど、今もこうして剣をしっかり扱うことができる。別に不思議なことではないでしょ。人間だって、十数年自転車に乗っていなくても、何の練習もせずにすぐに乗れるわよね。悪魔だって、数十年使ってこなかった魔法でも、一度習得していればすぐに使えるわよね。神様だって同じよ。」

 「そういうものなのか・・・。」

 確かに、シンラが挙げたように人間や悪魔にも同じようなことはある。涼平は釈然としなかったが、ライトが実際に剣を扱えていることから納得するしかなかった。

 「ライト、一度リングから降りなさい。神力の使い方を教えるわ。」

 シンラはライトに声をかける。ライトはシンラの言う通りにリングを降り、シンラの目の前まで近づく。

 (ここからが本題か。)

 涼平には神力とものをいまいち理解できないが、ライトがこれを扱えるようになると超絶パワーを手に入れることができるみたいだ。ライトがそんなパワーを手に入れれば、かなりの強者になることは間違いない。涼平はそう感じていた。

 ライトの先ほどの戦闘を見て、剣術自体は確かに優れていた。しかし、それだけでは悪魔との戦闘に勝利することはできない。ライトは技術は伴っているが、パワーやスピードといった基礎能力が足りていない。悪魔は先ほどのライトの数倍速い動きをするし、攻撃の威力だって数倍は重い一撃を繰り出すだろう。ゲームで例えるなら、レベル1だけど特技は全て習得しているような感じだ。ステータスが低いから、同等程度の相手なら勝てるが、ボスクラスの相手にはダメージを与えることすらできない。現実世界はゲームのように固定ダメージを与えることはできなので、ステータスの低さは戦闘に大きく影響することになる。

 神力にはそのステータスを補う力があるのだろう。悪魔で言うところの身体強化魔法のように。

 「神力は至って簡単な物よ。神力とは願い、想いを形にしたもの。神力を持つ者が何か対して、願う、想う力が強ければ強いほど発揮できるわ。その願いや想いによって発生した神力を、身体強化に回せばいいのよ。」

 シンラは神力について説明する。

 「えーっと、どういうことなんだ?」

 涼平は神力を扱えないから、仕組みを知る必要がないと言えばないのだが、神力について知りたかった。今のシンラの説明ではいまいち理解できなかった。

 「そうね。具体例を出しましょうか。涼平さんは来月発売の限定美少女フィギュアの抽選販売に当たるように願っていますよね。」

 「えっと、そっそうだけど。」

 いきなり、自分を具体例に出されて戸惑う。しかも内容が内容だ。ライトたちから、少し白い目で見られている気がする。

 「涼平さんがそのフィギュアが欲しいな、抽選で当たらないかなって思う気持ちを神様は力に変化することができるのです。」

 「そういうものなのか。」

 「そういうものです。それにライトだって、涼平さんとの生活の中で何度か神力を使っていたはずですよ。例えば、ライトが学校に転入する際に、戸籍とかをでっち上げた時とか。」

 「そう言えばそうか。」

 涼平もライトが神力を使っていたことに思い当たる点がいくつかある。でも、ライトが神力を使えるなら、悪魔と戦えたんじゃないのか。

 「ライトは確かに神力を使える。では、悪魔との戦いでなぜ使えなかったのか?それは神力をの特徴にあります。神力はある程度具体的な願い、想いでないと力に変化することができないのです。」

 「願いや想いは具体的である必要があるってことか。」

 涼平はライトが神力を使ったと思われる場面を思い返した見たが、確かにあやふやな内容ではなく、明確にこうしたいという内容があった気がする。

 「そうです。では、目の前にいる敵を倒したい時、涼平さんならどう願い、想いますか?」

 「どうだろうな。強くなりたいとかそんな感じじゃないか。」

 「その願いって具体的ですか?強くなりたいという願いでは、どれだけ強くなりたいのかが分かりません。それでは力を扱うことはできないのです。」

 「確かに。」

 強くなりたいという願いは漠然とし過ぎている。例えば、能力が2倍になったとしても、100倍になったとしても強くなることに変わりはない。要するに、どうとでも受け取れる願いではダメということみたいだ。

 「じゃあ、目の前にいる敵を倒せるくらいの強さとかだとダメなのか?」

 「それでは、目の前にいる敵の強さを具体的に示す必要があります。涼平さんはそのようなことできますか?」

 「それはできないな。」

 相手の強さというのは敵を見るだけでは判断できない。また、敵とある程度打ち合いをしたからといって強さを表現できるわけでもない。せいぜい、自分より強いか弱いか、もしくは知り合いの誰々くらいの強さかなくらいな曖昧な基準しか分からない。では、敵との比較に持ち出した自分や知り合いの強さを具体的に表現できるかといえばできない。涼平だって、感覚でこのくらいの強さかなと思考しているに過ぎない。戦いの経験がないライトなんてさらに不可能に近いだろう。

 「そうですよね。だから、ライトは戦闘で力を発揮することはできないのです。では、どうすればいいのか。答えは簡単です。別の願いで代用すればいいのです。」

 「そんなことができるのか?」

 「ええ。もちろん。これは神力に限った話ではありませんよ。例えば、人間界では電気という力がありますよね。その電気を発電さえしてしまえば、その後、テレビに使ったり、掃除機に使ったりと色々な用途で使いますよね。魔界だってそうです。持っている魔力を、攻撃魔法に使うのか、回復魔法に使うのか、身体強化魔法に使うのか選択しますよね。それらと同じです。」

 「なるほどな。」

 涼平は神力について理解することができた。

 「では、神力について説明したところで実戦に移りましょうか。ライトは質問が無かったけど、理解できたのかしら?」

 「はい。大丈夫です。」

 ライトは再びリングの上に上がる。

 「ライト。戦う前に一つアドバイス。自分の気持ちに素直になりなさい。半端な願いや想いでは倒せない敵を用意します。もし、勝てなかった場合、人間界での生活は中止して、神界で私と数百年ほど稽古が必要ですね。そんなことになったら、二度と涼平さんやラナさんに会えなくなってしまいますよ。」

 「えっシンラ様。どういうことですか?」

 ライトはシンラの発言に困惑する。

 「どうもこうもないわ。あなたは目の前の敵を倒すことに集中しなさい。」

 シンラは目の前に再びマネキンを召喚する。

 ライトはシンラが問答をする気がないことを察し、仕方なく戦闘態勢に入る。

 先ほどと同様、マネキンが先制攻撃を仕掛ける。だが、先ほどと違う点が一つある。それはマネキンのスピードだ。軽く見積もっても10倍以上の速さがある。ライトはそのスピードに対応することができなくて、防御が間に合わずにダメージを受けてしまう。マネキンは追撃をせずに一度後方に下がる。ライトを強くすることが目的なので、追撃する意味がないのだろう。追撃して余計にダメージを与えてしまえば、ライトの戦闘に支障がでるかもしれない。今の攻撃は、ライトにこれくらいの強さが必要であると教えるためだろう。

 「さあ、ライト。マネキンを倒してみなさい。」

 再び、マネキンが攻撃を仕掛ける。ライトはまだスピードに対応することができず、攻撃が直撃する。涼平の目から見て、ライトの動きは一回目よりは速くなっている。おそらく、何かしらの願い、想いを力に変化したのだろう。だが、その願い、想いでは足りないようだ。

 三度、マネキンが攻撃をする。ライトは防御することができずに直撃する。その願い、想いでは足りない。

 その後も、マネキンの攻撃は続く。ライトがどのような願い、想いを力に変化しているのかは涼平から判断することはできないが、攻撃を防げていないことを見るに大した願いや想いではないのだろう。シンラの口ぶりからすれば、ライトが一番叶えたい願いを力に変化すれば勝てる相手なのだろう。なぜ、ライトはそれを願い、想わないのだろうか。涼平は疑問を持っていた。

 「ライト。一つ良いことを教えてあげましょう。願いや想いは声に出した方がより効果を発揮しますよ。」

 シンラはライトに助言をする。

 (確かにそうかもな。)

 涼平はシンラの言葉に納得する。願いや想いはただ心の中で思っているだけよりも、言葉等といった形にする方が強いだろう。人間界でも、神社の絵馬や七夕の短冊等、願い事を文字という形にする文化がある。どうでも良い願いを書いたりはしない。少なくとも、叶って欲しい願いを記載するわけだ。今のライトには書く時間はないので、手っ取り早く形にできる声が最適なのだ。

 「分かりました。」

 ライトはシンラのアドバイスを受け取り願いを口にし始める。今度発売されるゲームがしたいとか、期間限定のスイーツが食べたいとか、修学旅行を楽しみたいとか色々な願いがライトの口から出てくる。しかし、どの願いもライトに十分な力を与えることができず、マネキンの攻撃を防ぐことはできなかった。

 ライトが口にした色々な願いの中で、一番効果があったのは修学旅行を楽しみたいという願いだった。その願いを力に変えたライトは、一般的な悪魔の兵士より強く、人間界に一番最初に来た悪魔程度ならワンパンできる強さだった。マネキンはそれ以上の強さがあるので、攻撃を防ぐことができない。

 ちなみに、シンラが設定したマネキンの強さは悪魔時代の涼平の全力くらいだ。悪魔時代の涼平は、現在の魔界の悪魔の中で最強であることは間違いない。つまり、このマネキンを倒すことができれば、ライトに勝てない悪魔はいなくなるというわけだ。

 その後もライトは思いつく限りの願いを口にする。しかし、どの願いもライトは絶大の力に変換することができず、結果は変わらなかった。

 もう30分は戦っているだろうか。ライトがマネキンから受けるダメージ自体はそこまで大きくないが、塵も積もれば山となるという言葉があるように、何度も攻撃を受けていると大きなダメージとなる。

 ライトは蓄積されたダメージの影響が原因でその場に跪いた。

 「なあ、シンラ。ライトにあのマネキンを倒せるだけの強い願いなんてないんじゃないのか。」

 涼平は攻撃を受け続けるライトが心配になり声をあげる。実際、ライトが口にした願いは最初の方はまともな願いだったが、後になればなるほど、しょうもない願いばかりで、ライトが願いを力に変換できているかすら怪しかった。そもそも、一番最初に思いつく願いが、一番叶えたいものであって、後から出てくる願いなんて、無理やり捻り出しているにすぎない。もう、ライトが力に変換できるだけの、強い願いがある見込みが涼平にはなかったのだ。

 「いえ、ライトにはあのマネキンを倒せるだけの強い思いを秘めています。・・・まさか、ライトがここまで頑なに言わないとは思いませんでしたが。」

 シンラはライトが強い想いを持っていることを確信している。そして、ライトがそれを口にしない理由も理解している。シンラは少し考えた後に、ライトに向けて言葉を発した。

 「ライト。次のマネキンの攻撃を以ってこの特訓はお終いにします。もし、攻撃を防いで反撃できなかったら、あなたが人間界及び魔界に行くことは未来永劫禁止にします。」

 シンラはライトにプレッシャーを与える。ライトに隠している強い想いを言わせるような状況を作る。

 「・・・。」 

 答える余裕がないのか、考え事をしているのか分からないが、ライトは返事をしない。

 「ライトにまた一つアドバイスをしましょう。神様は恋愛禁止ではありませんよ。あなたが後悔をしない選択をしなさい。」

 シンラは返事のないライトに続けて助言をする。

 ライトはシンラの言葉を聞き立ち上がる。

 「ライト。最後のチャンスですよ。しっかりと考えて想いを口にしなさい。」

 「スーハー。」

 ライトは一度深呼吸をして落ち着く。そして、今まで隠していた想いを口にする。

 「私は涼平のことが大大大好き。初対面だった私を家に泊めてくる優しさが好き。なれない人間界での生活を送る中で、色々気遣ってくれたことが好き。悪魔と対面した時も、自分の都合よりも私を優先して戦ってくれたカッコよさが好き。・・・が好き。・・・なところが好き。」

 ライトは涼平に大胆な告白をし、涼平の好きなところを延々と述べていく。

 「スーハー。」

 そして、一度深呼吸をして興奮した状態を落ち着かす。

 「私は涼平と恋人になりたい。手をつないで歩きたい。二人で色々な場所にデートに行きたい。キスもしてみたいし、出来ることとならその先のことも経験してみたい。」

 ライトは涼平と恋人になってやってみたい願いを次々と述べる。

 ライトの涼平が好きという一つの想いに対して、いくつもの具体的なことが述べれらていく。それはライトが涼平に対して強い恋心を抱いている表れである。その強い想いがライトの力に変換されていく。

 ライトが涼平への想いを語り切った後、マネキンは攻撃を仕掛けてくる。ライトはその攻撃を軽くいなし、強力な一撃をマネキンに与える。マネキンはライトの一撃で消し飛んでしまった。

 「ハァ、ハァ、ハァ。」

 ライトは涼平への想いを口にしたこと、ようやくマネキンを倒せたことで興奮状態になった。

 「やっと自分の気持ちを口にしたわね。」

 シンラはライトが涼平の想いを口にし、強力な力を得たことに安堵する。シンラはライトが涼平に強い恋心を抱いていることを知っていた。そして、その恋心を力に変換することができれば、ライトは強力な力を得ることができることを確信していた。

 シンラはライトがその恋心を頑なに言わなかった理由も理解していた。やはり、一番大きい理由はライトが神様であることだった。神様というのは特別な存在であり、人間や悪魔とは違う。ライトは自分が神様であるから、悪魔である涼平と恋人関係になることはできないと思い込んでいた。だからシンラは神様で恋愛をして良いことを伝えることで、ライトに自分の想いを口にしやすいようにした。

 また、ライトは自分が涼平に告白することで、涼平に迷惑がかかるんじゃないかとか、今後の生活が気まずくなるのではと思い込んでいて、想いを口にすることに抵抗があった。シンラはそれを払拭させるために、ラストチャンスと回数制限をかけ、失敗すると人間界、魔界に行くことを禁止すると再度伝えた。シンラのこの発言でライトは、自分の想いを口にしてマネキンを倒した時のメリットとデメリットを天秤にかけた。そして、天秤がメリットの方に傾いたので、ライトは行動におこしたのだ。

 ライトは神様であるが、それと同時に一人の女の子でもある。たとえ、自分の想いを口にして涼平との関係がこじれてしまったとしても、涼平と二度と会えなくなるよりはマシという判断を下したのだ。ライトはこの先、どんな結末が訪れても受け入れる覚悟を決めたのだ。

 「ライト。リングから降りてきなさい。フレア。ライトの怪我の手当てを。」

 シンラは特訓を終了し、二人の神様に指示をする。

 ライトはリングを降りてその場に座り込む。フレアは即座にライトに近づき、傷の手当てをする。傷の手当にも神力を使う。ライトの傷はみるみる癒えていく。

 ちなみに、フレアが神力を使える条件はライトに関係する時だ。フレアの心の中にある強い想い。それは自分の主であるライトのために尽くしたいという忠誠心からきている。

 「大丈夫ですか?ライト様。」

 フレアは神力による回復でライトの傷を癒していく中で質問する。フレアが見た感じ、大事に至るような怪我はしていないように見えるが、痛みというのは本人にしか分からないこともあるので確認する。

 「身体の方は大丈夫よ。ただ、心のほうがね。これからどうすればいいんだろ。」

 ライトは身体の怪我よりも、これから涼平とどう接すれば良いのかが心配だった。

 「大丈夫です。涼平さんは優しい方ですし、何かあっても私が傍にいますから。」

 フレアはライトを安心させるような言葉をかける。

 「ありがとう。」

 ライトはフレアにお礼を言い、自分の想い人である涼平の方に視線を向ける。涼平は誰もいなくなったリングを眺めているようだった。

 「・・・。」

 涼平の脳裏には、ライトがマネキンを一瞬で消し去った一撃だけが流れている。涼平自身はライトの事を異性として好きで、今日ライトも同じ気持ちであることを知った。しかし、涼平にとってそんなことはどうでもよかった。いや、どうでもよくなったといった方が正しいだろう。

 涼平は自分の心の中で何かが崩れ落ちた音が聞こえた。

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