二十一 神様たちのお茶会
神界は何にもないな。涼平が初めて神界に来て思ったことだ。神界は真っ白な空間にいくつかの建物があるだけ。人間界や魔界のように道路が整備されいたり、建物がずらーっと並んでいるわけではない。神様は少人数なので、必要最低限の施設があれば十分だからなのだろう。
涼平とラナはライトたちに案内されて一つの建物に入る。その建物は中世ヨーロッパの洋館のような感じ。中に入ると大きなホールがあり、二階に上がる階段が目に付く。
「こっちよ。」
ライトは階段を上るのではなく、廊下を歩き一階の一番奥の部屋に入る。その部屋でまず目についたのは、天井に設置されているシャンデリアだ。そして、部屋の真ん中には大きな長方形の長机が置かれている。その長机の長い左右の辺に椅子が四つずつ設置されており、短い辺に一つの椅子が設置されている。つまり、椅子の数は合計は九つである。
「まだ、誰も来てないみたいね。」
部屋には他の神様はいなかった。
「席はどこでもいいのか?」
涼平は長机を一周して席が指定されていないことに気づく。
「好きなところでいいけど、私たちは四人だし、横並びで座ろうよ。涼平だって知らない神様が隣だと緊張するでしょ。」
「それでいいんじゃないかな。」
ラナはライトの提案にのる。
「そうだな。」
ライトの提案通り横並びに座ることになった。席順はライト、涼平、ラナ、フレアの順となった。涼平とラナをライトとフレアで挟んだ形だ。
席順
ライト 涼平 ラナ フレア
空き椅子 長机
空き椅子四つ
「神様って、全員で七人なのか?」
涼平は空き椅子の数から推察する。残りの空き椅子は五つにライトとフレアを含めて、合計で七人という計算になる。
「そうだよ。・・・そう言えば、他にどんな神様がいるか説明していなかったね。」
ライトはお茶会の概要とかは伝えていたが、参加する神様の性格とか仕事内容とか説明してなかった。お茶会では神様同士の近況とかを話し合う場なので、何も知らない涼平たちは会話に参加できない可能性が高い。
「いや、説明はいらない。初対面なんだし、自己紹介の時間くらいあるだろ。」
涼平はライトの説明を拒否する。自己紹介の場があることは間違いないだろうし、ライトたち以外の神様のことも聞けるだろう。先にライトの説明を聞いてしまうと、変な先入観を植え付けられてしまうかもしれない。謎を解き明かすために、神様と話そうと考えているから、先入観を持ってしまって、間違った結論を出してしまう可能性がある。それは防ぐ必要があるだろう。
「そっそう?他に聞きたいことかある?」
「私、どんなお菓子が出るのか気になる~。」
涼平がライトの説明を断って微妙な空気になっていたところを、ラナの明るい質問で相殺する。
「うーんと、今までだったら、ケーキとかクッキーとかドーナツかな。紅茶に合うお菓子が多いイメージだね。」
「それは楽しみだね。ところで、誰かの手作り?それとも、市販の商品?」
「いつもはフレアが作ってたよね。」
「はい。私がシンラ様の要望に合わせて作っていました。ここにはキッチンもありますから。」
「でも、今日は違うよね。」
フレアは一度も神界に帰ってはいない。そもそもフレアがこのお茶会が開催されることを知ったのは昨日だ。お菓子を作れるはずがない。
「アクアという神様が作ってると思いますよ。私と同じで料理得意なので。」
「それなら期待しちゃうね。」
フレアの料理の腕は一級品だ。そのフレアが言うなら、アクアの料理もおいしいに違いない。
ガチャ
そんな会話をしていると部屋の扉が開く。二人の神様が室内に入ってきた。一人はエメラルドグリーンのような薄めの緑色の髪を三つ編みにした長髪の少女。身長はライトと同じくらいだろうか160センチちょいといった感じ。体型は胸の大きさとかはライトより劣る。しかし、ライトが別格なだけあって、彼女も一般的に見ればスタイル抜群な部類になるだろう。もう一人は、銀髪でショートカット。フレアのように髪が肩にかかるほど長くなく、ボーイッシュといった感じだ。スタイルも失礼な話だが、男と遜色のない見た目である。胸はあるのかすら怪しいくらいまっ平で、全体的に細身、スレンダーな体型といっていいのか分からないくらい細身だった。
「リーフ、レイ、久しぶりだね。」
ライトが二人の神様に声をかける。
「そうね。」
緑色の髪をした神様は返事をし、銀髪の神様はコクリと頷いただけだった。緑色の髪の神様はライトの前、銀髪の神様は涼平の前に、それぞれ座った。
「それで、そこの二人が今回招待された悪魔?」
緑色の髪の神様が涼平とラナを指さす。
「そうだよ。初対面だし自己紹介しよっか。」
ライトがその場をまとめる。
「そうだな。俺は黒井涼平。人間界に住んでいる悪魔だ。よろしく。」
神様相手に自分の何を紹介すればいいのか分からないので、とりあえず名前と種族を紹介する。
「私はラナ。隣の男の妹です。最近は、人間界の娯楽にはまってるの。よろしくね。」
ラナも軽く自己紹介をする。
「私はリーフ。人間界を調査する仕事をしているわ。趣味は映像物かしら。」
緑色の髪の神様が口を開いた。
「私はレイ。リーフの仕事のサポートをしてる。趣味は読書。」
銀髪の神様も自分を紹介する。
「「「「・・・。」」」」
自己紹介の後の会話が続かない。
(何を言ったらいいんだろうか?)
涼平は言葉に悩む。いきなり質問攻めにはしにくいし、警戒して答えてくれないかもしれない。それにリーフとレイ、二人の神様は人間界を担当しているみたいだ。涼平が解きたい謎はほとんど魔界関連だ。二人が直接関わっている可能性がどれだけあるだろうか?余り関わっていない気がする。
「ちょっと、みんな黙らないの。質問タイムにしましょ。何か質問ある人。」
沈黙に耐えられないライトが声をあげる。
「じゃあ、俺いいか?」
涼平が声をあげる。ライトが質問の場を設けてくれたおかげで、スムーズにことを運ぶことができそうだ。
「うん。どんどん質問して。」
「人間界には190か国以上あるけど、毎日全部調査してるのか?」
涼平は相手に「何でこんな質問をするのか?」と疑問に思われないように質問を選ぶ。この質問の意図はリーフとレイの二人の自由時間がどれくらいあるかを知ることだ。人間界には190か国以上ある。二人で分けたとしても、一人95か国以上は調査しないといけない。仮に一か国10分の調査と仮定しても、一日の大半の時間を使うことになる。そうなると、魔界に行って工作活動をすることは難しいだろう。
「全部の国を毎日調査はしないわ。先進国や今後、経済や政治的に変化があると思われる国は毎日調査するけど、それ以外の国は基本何か起こるまでは調査しない。」
リーフが質問に答える。
「そうなのか。ありがとう。」
どうやら毎日は調査していないようだ。でも、よくよく考えると、ライトが書いている史書は歴史の教科書みたいなものらしい。歴史の教科書はその時代の政治や文化を示す本だ。日本で例えると、日本では毎日、日本を変えるような大きな出来事は起こっていない。たくさんの国があるが、教科書に載るような大きな出来事と言うのは毎日起こる方が変だ。
「一応補足すると、政治や経済以外にも、文化やスポーツなどの調査もしてくれているのよ。例えば、興行収入で一位を獲った映画とかは、わざわざ見て感想もくれてるのよ。」
ライトはリーフたちの仕事の補足しつつ、彼女たちの仕事内容を褒める。
「なるほど。」
歴史の教科書には、その時代で流行ったもの等も記載されている。美術や音楽、思想といった類だ。それらについても調査しているとなると、かなりの時間を消費することになるだろう。つまり、彼女たちが工作行為をする時間はないと考えても問題ないだろう。
「今度はこっちの番ね。どうしてこのお茶会にあなたたちが参加してるの?」
リーフは今までお茶会には神様しか参加していなかったのに、今回のお茶会では悪魔が参加することに違和感を感じる。
「理由は分からない。ライト宛ての招待状に俺たちも参加しないかという一文があっただけだ。」
リーフの様子を見るに本当に知らないのだろう。そうなると、リーフたちは白と確定していいだろう。事情を知っているなら、このお茶会に涼平たちが参加する理由も知っているはずだ。
「ふーん。ライトは?何か心当たりはある?」
「別にないかな。強いてあげるなら、私たちが世話になってるから、それで誘ったんじゃないかな?」
ライトも涼平たちが呼ばれた理由は分からない。だから、一番ありそうな可能性を述べた。
「へぇ~そうなんだ。もしかして4人で一緒に暮らしてるのかしら。」
リーフの口元が緩む。
「そうだけど。」
ライトはリーフがな笑みを浮かべているのかが分からない。
「いや、別に。ただ、面白い状況だなっと思っただけ。」
(確かにそうかもな。)
リーフの言葉涼平も納得する。一人暮らしの涼平の家にライト、フレア、ラナの4人で過ごしていることは、オタクとかが聞いたら「それ何てエロゲ?」とか言ってきてそうだもんな。メインヒロインであるライト。メイド、ロリ枠のフレア。妹枠のラナ。同級生の枠として美影も加えれば、攻略可能ヒロインが4人の立派なゲームになるだろう。
涼平がくだらない妄想をしていると部屋の扉が開いた。
「紅茶とお菓子をお持ちしました。」
一人の少女が料理を乗せた配膳用のカートを運んで来た。少女はカートの上に乗っている紅茶とお菓子を各席に配膳する。
涼平は配膳している少女をよく見る。涼平が彼女を見て思った感想は「フレアの2pカラーかよ。」とツッコミたくなるような言葉だった。少女の見た目はフレアと変わらない。顔たち、髪型、身長、体型まで違いないように見える。唯一違うのは髪色だけだ。少女の髪色は水色で、フレアの赤色と違うだけだ。
「まもなくシンラ様が来られますので、しばしお待ちを。」
アクアは全席に紅茶とお菓子を置いた後に告げた。彼女は配膳用のカートを部屋の隅に置き、レイの隣に座る。
沈黙が始まる。先ほどまで会話していたのが嘘のような沈黙。まるで、テスト用紙が配られて、テスト開始という合図を待っている時と同じようだった。
沈黙を破ったのは扉が開く音だった。
一人の少女が部屋に入ってくる。彼女の身長は150センチくらいだろうか。体型もつつましやかで、いわゆるロリキャラといった見た目だ。髪は白色に近い銀髪が腰辺りまで伸びている。その見た目。涼平は間違えようのない見た目だった。彼女は涼平自身が魔界で初めて敗北した相手、人間界で一緒に生活をした相手だった。
「ミカ。」
涼平は無意識に彼女の名前を呼んでいた。
「久しぶりですね。涼平さん。ミカは私が魔界で使っている名前。これからは、シンラと呼んでください。」
シンラは涼平に挨拶をしながら、長机の短い辺の部分に一つだけ設置されている椅子に座る。
「ごきげんよう。可愛い可愛い我が娘たち。マイは残念ながら欠席ですが、皆で集まれたことを嬉しく思います。」
シンラは他の神様たちに言葉を投げかける。
「「「「「お久しぶりです。シンラ様」」」」
ライト、フレア、リーフ、レイの4人が返事をする。
「今回のお茶会には、ライトとフレアが人間界でお世話になっている涼平さんとラナさんにも参加してもらいました。」
いきなり名前を呼ばれて涼平とラナはビックリする。どうすればいいのか分からず、無難に会釈をする。
「涼平さんは聞きたいことが色々あるでしょうが、それはお茶会の後に時間を設けますのでその時に。」
シンラは先に涼平に釘をさしておく。
「分かった。」
涼平はとりあえず返事をする。
「では、始めましょうか。」
シンラの一言でお茶会が始まる。
お茶会は涼平が想像していたものと違った。神様同士でわいわいとお話をするものかと思ったら、そうではなかった。シンラという存在がライトたちにとって絶対てきなのだろう。ライトたちは母親相手に敬語は当たり前。まるで、上司と部下のような関係に涼平は見えた。
「リーフ。最近はどう?元気にしてる?」
シンラは自分の斜め前に座っているリーフに問いかける。
「はい。私は元気にしています。人間界の成長が著しくて感動しています。技術の進歩が凄まじく、数百年の間に比べられないものになりました。最近では、映画やドラマにはまっていて、人間界の文化を楽しんでいます。」
リーフは言葉を選びながら話す。
「それは良かった。レイ、あなたはどう?」
「私も元気です。人間界は人口が多いから、色んな本がいっぱい増えてる。飽きないから、とても楽しいです。」
レイは淡々と話す。
「あなたはいつも通りね。ライトは変わらずに人間界を楽しんでるのかしら。」
「はい。毎日、人間界の娯楽を満喫しています。今度、学校の行事で修学旅行があるんです。とても楽しみに待ってます。」
ライトは笑顔で言った。
「また感想聞かせてね。フレアは問題なくライトの世話をしてるのかしら。」
「はい。毎日、料理、洗濯等の家事をするようになり、以前よりはライト様の世話をできていると実感しています。」
フレアは人間界での生活が充実していることを伝える。
「なるほど。皆さん問題なく生活できているようで何よりです。」
その後も、シンラが質問しては該当する神様が答えると言った形式が続く。何ていうかお茶会と言うよりは、親孝行するための会みたいだった。時々、涼平やラナにも質問が振られることがあった。二人とも無難な答えというか、当たり障りのない返事をした。部屋には8人もいるのに会話しているのは、質問者であるシンラと回答者の二人が基本だった。たまに3人以上で話すことはあっても、全員で同じ話題について話すことはない。初参加かつ神様でない涼平とラナが会話に参加しないことは分かるが、他の6人で仲良く話してもいいものだろう。「何なんだこの会は。」と涼平はツッコミたくなったが我慢する。会話している神以外は、紅茶とお菓子を堪能している。どちらの味も一級品で涼平はとても満足した。
「今回のお茶会はここら辺でお開きにしましょうか。」
シンラは十分に娘たちと対話をすることができた。この部屋に時計はないが、時間で言えば、一時間経ったくらいの感覚だ。
「そうですね。」
リーフが賛同する。
「では、解散とします。あっそうそう、ライト、フレア、涼平さん、ラナさんは残ってください。」
シンラは涼平たちとお茶会とは別に話があるのだ。
「それでは失礼します。」
リーフとレイがシンラにお辞儀をして部屋を出る。アクアは食器の片づけをした後に部屋を出る。
「これで話を始められるわね。」
シンラは先ほどまでのお茶会のような明るい雰囲気から一変し、冷たいというか高圧的というか妙なプレッシャーを放っている。
「何の話ですか?」
ライトはシンラがこれから何を話すのか分からなかった。これまで、お茶会が終わった後に個別で話すみたな場面はなかった。
「それはあなたたちの話ですよ。わざわざ涼平さんたちにも参加してもらったのもこのためよ。」
「私たちの話ですか。」
ライトは嫌な予感しかなかった。涼平やラナちゃんまで呼んでの話。人間界での話で間違いないだろう。以前も、ライトが人間界での生活を認めてもらうために謎の条件があった。今回も似たような条件を出されるのではと不安になる。
「そうよ。さっきのお茶会であなたたちが仲良く人間界で暮らしていることは分かったわ。けど、ずっと楽しかったわけではないわよね。涼平さんがアランさんに負けた時や、戦争で大けがをした時、楽しかったかしら?」
「それは・・・。」
ライトは言葉に詰まる。確かに、涼平が負けたり、怪我をしたりした時は心配になったし、私のせいだと思って心が痛くなった。けど、涼平とは話し合ってお互い納得したし、生活する上でずっと楽しいなんてことはあり得ない。それらのことをシンラ様が納得できる言葉にすればいい。
(どうやって伝えるべきなんだろ?)
下手なことを言うとシンラ様に人間界での生活を送れなくなるかもしれない。
ライトが悩んでいると、
「シンラ、それは違うだろ。生きていく中でずっと楽しいなんてことはあり得ないし、そもそもそれは俺が弱いことが原因で、ライトには関係ないだろ。」
涼平が二人の会話に割り込んで話す。第三者から見て、ライトがシンラに一方的に攻められる展開になりつつあった。涼平はそれを阻止しようと動く。
「あら、関係ないのかしら?ライトと出会ったことが原因だと思うけど。・・・そう言えば、涼平さんとライトは魔界の風呂場で意見ぶつけ合ってたわね。それでお互いのわだかまりが無くなったからかしら。」
「そうだ。」
「でも、あの場の話し合いって、涼平さんがライトに無理やり自分の意見を押し付けたように見えたけど。それに涼平さんがあの話し合いの一番の収穫はライトの裸を見れたことじゃないのかしら。」
「・・・。」
涼平は何も反論できなかった。実際、ライトを押し倒して力づくで納得させた。それにその夜に、ライトの裸をおかずにしたのも事実だ。なんなら、今でも思い出してる。
「シンラ様、本題は何なのでしょうか?今の話からではこの話し合いの場を設けた狙いが見えません。」
フレアは沈黙する二人を見ていられなくなった。
「それもそうね。少しからかい過ぎたわ。本題に入りましょう。でも、その前に涼平さんに一つ質問。私が神様だと知ったことを前提に、私と初めて出会った時を思い出して、何か疑問に思うことない?」
「初めて会った時のシンラ?」
初めて会ったのは、魔界でアラン隊として作戦行動中だった。少女が一人こちらに歩いてくるだけで恐怖を感じたのを覚えている。最初の打ち合いで絶対に勝てないことを確信した。全力で戦ったが、手も足も出ずに負けた。今思うと、悪魔ではなく、神様だったならあの強さは納得だよな。ん?神様だったら強いから納得?
「あっそうか。」
涼平はシンラの質問の答えが分かった。
「どうやら涼平さんは分かったようね。そう、神様の戦闘能力は高いわ。人間や悪魔と比べて。」
「でっでも、ライトは・・・。」
人間界で初めて悪魔と対峙した時、ライトは戦えないと言っていた。ライトは怯えていたし、あの言葉は嘘ではないだろう。しかし、シンラの口ぶりから考えると、ライトにもシンラと同等くらいの力が備わっていることになる。それなら、どんな悪魔が相手でも難なく勝てるだろう。
「そうね。今のライトでは悪魔に勝つことはできないでしょうね。だって力の使い方教えてないから。」
「じゃあ、フレアは?」
ライトが神様であるように、フレアも同じ神様だ。つまり、フレアにも悪魔を倒せるくらいの力が備わっていることになる。
「もちろん、フレアも強いわよ。ただ、フレアにはライトの命が脅かされる状況しか力が使えないのよ。だから、アランさんとの戦いでも、戦争でも涼平さんに力を貸せなかったの。」
「なんで、ライトに力の使い方を教えなかったんだ?」
ライトが持ってる力を自由に使えたら、これまでの戦闘は全てライト一人で解決できただろう。フレアを護衛に置くより、護衛対象であるライトが力を使えた方が命に危機に直面する場面も減らせる。ライトに教えなかった理由が何かあるのだろう。そもそも、ライトには三つの世界を行き来する扉の作り方を教えなかったり、シンラは意図的にライトに情報を与えていない気がする。
「それは色々理由があるけど、今は言えないわ。それよりライト。あなたは今の私よりも強い力を秘めている。その力の使い方教えて欲しい?」
「・・・力。本当に私が、私が強い力を持っているなら教えて欲しいです。」
ライトは力を欲する。ライトは涼平が戦っているところを、見ている事しかできなかった。もし、自分が力になれていたら、涼平が苦しい思いをする必要はなかった。今後のことも考えると、力を持っていて損はない。
「いい返事ね。ライトに力の使い方、教えてあげましょう。」
シンラはニヤリと笑う。




