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二十 神様からの招待状

 涼平の休日は基本ゲーム三昧だ。部活動やアルバイトをしていない涼平にとっては、土日というのは予定の無い自由な時間だ。土日に家を出る時と言えば、見たい映画がある場合や、近所のスーパーで買えない物を買うために遠出する場合くらいだ。

 ライトと同居するようになってからもこのスタンスは基本変わってない。ライトもゲームや漫画等の娯楽に興味津々なので、外出する必要がない。ただ、たまーにこの前のように遊園地等、少し遠出したいと言ってくる程度だ。

 涼平は目覚めてから、フレアの作った朝食を食べ、外出する準備をする。

 「どうしたものかな。」

 涼平は部屋にある鏡を見ながらうなだれる。涼平は今日自分が着ていく服装を何にするかがで迷っていたのだ。涼平が女子と二人きりで出かけることなんてほとんどない。ほとんどないと言うか、ミカとライトとしか二人きりで出かけたことがない。つまり、同級生の女子と出かけるという経験が涼平にはないのだ。だから、どんな服装にするべきかが分からないのだ。ミカとライトの時は適当でも良かった。ミカは涼平にとっては人間界での親みたいなものだ。親相手に服装を気にする息子はいないだろう。ライトと初めて外出した時は、短い付き合いの同居人くらいにしか思ってなかった。だから、服装なんて気にしていなかった。ライトの事を好きになった今でも、今までと服装は変えていない。服装を変えるとライトのことを意識しているとバレそうだからだ。美影は違う。美影はクラスメイトだ。もし、自分がダサい服装で行ったら、クラス中に黒井の私服はダサいという事実が広まるかもしれない。美影は自分に好意を抱いていると思われるから、そんなことはしないだろう。それでも、ダサい服装ではダメなのだ。年頃の男の子と言うのは、女の子によく見られたいのだ。別に好きでもない女の子でもだ。

 涼平は一時間程度迷った果てに、自分の中でベストだと思った服装を導き出した。そこから、服装以外身支度を完了させ一階に降りてリビングに行った。

 リビングでは、ライトとフレアとラナの三人で仲良くしていた。

 「行ってくる。」

 涼平は三人に一言言ってから家を出た。涼平が今日出かけること、昼食はいらないこと等、諸々のことは朝食に時に伝えてある。

 ガチャ

 フレアとラナは涼平が家を出たことを、玄関の扉の音で確認する。

 「お兄ちゃん、あれ絶対女の子と遊びに行くよね。」

 「そうですね。普段よりも身だしなみを気にしていましたし。」

 ラナとフレアは話し始める。ライトは会話に参加せずにゲームを続けている。

 「ライトお姉ちゃんはお兄ちゃんのこと気にならないの?」

 ラナは会話に参加してないライトに話を振り、ライトを強制的に会話に参加させる。涼平の妹であるラナとしては、自分の兄はライトお姉ちゃんとくっついて欲しいと思っているのだ。

 「・・・別に気にならないよ。涼平も私たち以外の人と遊ぶことは不思議じゃないと思うけど。涼平は、私たち以外にも交友関係があるんだから。」

 ライトは少し間をおいて話す。

 「そっかー。」

 ラナはライトの言葉から真意が分からなかった。ライトが本当に涼平のことを気にしていないのか、それとも、動揺を隠すために平常心を装っているのか判断がつかない。

 「ライト様は涼平様のこと何とも思っていないのですか?私はてっきりライト様は、涼平様に恋愛感情を抱いていると思っていたのですが。」

 フレアは、シンラへの直談判の一件や魔界での様子で、ライトは涼平のことを恋愛対象としてみていると考えていた。

 「それはないかな。神様は万人を愛する必要があるのよ。涼平一人だけを愛するなんてできないわ。」

 「そうですか。」

 フレアもライトが真実を言っているのか、嘘をついているのか分からなかった。フレアとライトの付き合いは長いが、ずっと神界に居たのでライトが嘘をついてまで誤魔化すような出来事はなかった。だから、ライトが嘘をついていても判断できない。

 「話はそれだけかな?なら、ゲームの続きをしようよ。」

 「そうですね。」

 「うん。そうだね。」

 フレアとラナはゲームを再開する。ライトが話し合いに参加する気が無いなら、フレアたちが会話を続ける意味はないのだ。ライトと会話することで、ライトの涼平に対する気持ちを探ろうと企んでいたからだ。


 涼平はどうしたものかと悩んでいた。涼平は集合時間の20分前に来て、美影を待っているつもりだった。そして、美影が「すみません。待ちましたか。」と言ったところに、自分が「大丈夫。俺も今来たところだから。」という定番のセリフを言いたかったのだ。

 美影は真面目な性格なので、集合時間の10分前くらいにはつくだろうと涼平は考えていた。だから、20分前に到着するようにしていた。しかし、涼平が20分前に集合場所に着いたら、既に美影が待っていたのである。

 美影はスマホを触っていて、こちらには気づいていない様子だ。涼平は美影を待たせってしまっている状況なので、彼女を不機嫌にしないような言葉をかけなければならない。まず、待たせてしまっていることを謝罪することは必須だ。そのうえで、なんと言葉をかけるかを考える必要がある。

 ① 美影の服装を褒める。

 ② 待たせたお詫びに昼食を奢ると提案する。

 涼平の脳内では二択の選択肢が浮かんでいた。ギャルゲーやエロゲ―をプレイしているから、このような選択肢の形になったのだ。

 涼平は①が良いだろうと考えた。美影と休日に二人で遊ぶのは初めてだ。今まで二人で遊んだ時は、全て学校の帰り道だった。つまり、美影の私服を見るのは初めてなのである。そこを褒めることが大事だろう。

 それに、②の選択肢の昼食を奢ることは、待たせたお詫びじゃなくても、プレゼント選びに付き合ってくれたお礼等、別の理由で奢ることもできるだろう。服装を褒めるということは、出会った時に言わないと不自然だろう。後から言ったとしたら、今さらですかと思われる可能性がある。

 (よし、これでいこう。)

 涼平は小走りで美影のところに行く。

 「ごめん。待った?」

 美影に言って欲しかった言葉を自分で言う。

 「いえ、待ってませんよ。私もさっき着いたところですから。」

 そして、涼平が美影に言いたかった言葉を言われてしまう。

 「そっか。なら、良かった。ところで、その服可愛いな。とても似合ってるぞ。」

 涼平は美影の服装を褒める。美影の服装は、半袖のシャツにミニスカートとシンプルなものだった。変に着飾ったりしないところが美影らしい。美影はおとなしめな女の子なので、派手な服よりもシンプルな服装の方があっていると涼平は思っていた。

 「ありがとうございます。」

 美影は少し笑みを浮かべる。

 「それじゃあ行こうか。」

 涼平たちは歩き始める。歩いている最中に、今日何を買うかを美影に相談する。

 「個人的には、数千円程度で済むものが良いんだけど。」

 涼平的には余り高価な物はプレゼントしたくない。別に、お金を出し渋っているわけではない。ただ、テスト勉強のお礼に高価なプレゼントは涼平の中でしっくりこない。一般的な学生のお礼と言えば、飯を奢るとかその程度だ。値段したら千円もいかないかもしれない。涼平も最初はそうしようかと思ったけど止めた。理由は、ライトには形あるものをプレゼントしたかったからだ。

 「それでしたら、小物とかアクセサリーとかいいんじゃないでしょうか?」

 美影は自分が良いと思った物を提案した。数千円となればかなり予算がある。服とかも買えるのだが、本人がいない・知らない状況は問題がある。服を買うとなると、サイズを知っておく必要がある。服をプレゼントしたら、何でサイズを知っているのかドン引きする可能性がある。また、ライトの性格的にゲームソフトや漫画とかでも喜びそうではあるが、男の子が女の子にプレゼントする内容としてはふさわしくない。色々考察した結果、小物やアクセサリーが最適と判断したのだ。

 「うん。そうだな。そうしよう。」

 涼平は美影の意見に賛同する。涼平もアクセサリーとか鞄につけられるキーホルダー等を考えていた。美影と意見があって良かった。

 涼平たちはショッピングモール内の店舗を数店回った。涼平はその中で、ライトに一番合うと考えたプレゼントを購入した。色々と悩んで選んだので二時間半くらいかかった。女の子にプレゼントをあげる。この行為がどれだけ難しいか涼平は初めて知ることとなった。

 「納得できるプレゼントを買えてよかったですね。」

 買い物を終えてショッピングモール内のベンチに座った。

 「美影のおかげだ。ありがとな。」

 美影には色々とアドバイスをしてもらったのだ。

 「いえいえ。涼平さんの役に立て嬉しいです。」

 「ありがとな。それで、お礼に昼飯を何か奢ろうと思うんだけど、何か食べたい物とかあるか?」

 涼平はスマホで時間を確認すると、十二時を少し過ぎた辺りでお昼時だった。

 「普通にフードコートでいいですよ。それに奢らなくて大丈夫です。お礼は別のことでして欲しいです。」

 「別のこと?」

 「大したことではありません。この後、修学旅行で着る水着を一緒に選んで欲しいんです。」

 (いや大したことあるだろ。)

 美影の言葉に涼平は心の中でツッコミをする。同級生、しかも異性の水着を選ぶなんて、ライトのプレゼントを選ぶことよりも難易度が高いと思う。

 「いいぞ。時間はあるからな。」

 涼平は了承する。水着選び、それは難易度の高いミッションだが、美影の水着姿をいち早く見れるご褒美もある。この機会を見過ごすのは男じゃない。いくら好きな人がいても、可愛い女の子の水着姿はみたいものだ。

 「それでは昼食を早く済ませて水着を選びましょう。」

 美影はすごく嬉しそうだった。

 昼食はフードコートで食べた。以前ライトと来た時は、ハンバーガーを食べたので、今度は別の物にしようと思った。昼食なので腹いっぱい食べたい。だから、涼平はステーキ定食を選択した。大容量の200グラムのステーキにライス、汁物と結構な量を食べた。美影はうどんに天ぷら二つだけで、涼平はそんな量でお腹いっぱいになるのかと疑問に思った。まあ、女子高生の適量なのだろう。

 昼食と食後の休憩時間で一時間程フードコートに滞在した。

 「そろそろ水着を選びに行きましょう。」

 美影は待ちきれない様子だった。

 「そうだな。」

 涼平たちはフードコートを後にする。

 もう7月になるので、ショッピングモールの一角で水着フェアが行われていた。カップルや友達同士で来ているお客さんが多かった。

 「さて、どの水着にしましょうか。」

 美影は水着をじっくりと見定めていく。

 (俺はどうすればいいんだろうか?)

 水着を選んでいる美影を見ながら涼平は悩んでいた。自分が良いと思った水着を進めた方がいいのだろうか?そんなことをしたら、自分の性癖を暴露してしまうことと同義だ。美影のような小さくてスレンダーな体型なら、ワンピース型の水着やスクール水着が似合うと思う。普通の女子にそんなことを言ったら、ドン引きされること間違いないだろう。まあ美影なら、「涼平さんはこういうのが好みなんですね。」とか言って、からかいながら着てくれそうではある。

 「ある程度候補を絞りました。試着するので感想をください。」

 涼平があれこれ考えている間に、美影は目ぼしい水着をいくつか見つけたようだ。

 試着室に移動する。試着室は全部で五つ設置されており、一番奥が開いていたので移動する。

 「それでは着替えますので少し待っていてください。覗いてもいいですけど、その時は責任取ってくださいね。」

 美影は試着室に入りカーテンを閉める。 

 「・・・。」

 涼平は何も考えないことにした。余計なことを考えると覗きたくなってしまう。涼平はただ時が過ぎるのを待った。

 「どうでしょうか?」

 美影は着替え終わりカーテンを開ける。

 「えっ。」

 涼平は美影の水着を見て目を丸くする。

 美影が着た水着は布面積が非常に小さかった。いわゆるマイクロビキニというやつだ。上と下の大事な部分だけ隠れていて、他の部分は全部見えていた。裸と大して変わらない。

 「えーっと、すっごくエロいと思うけど、修学旅行では着れないんじゃないか?」

 涼平は正直に思ったことを言った。エロいことは間違いない。露出度が高い。それだけでエロくなるのは必然だ。だけど、マイクロビキニはライトのようなスタイル抜群で巨乳な女の子がより似合うだろう。エロさ倍増するからだ。

 「私の貧相な身体よりも、ライトさんみたいなスタイル抜群な人の方が似合いますもんね。涼平さん。」

 「えっいや、それはどうだろうな。」

 涼平は目を泳がせる。美影の言葉は涼平の心を見透かした内容だった。

 「どうやら本当にそう思っていたみたいですね。」

 美影は涼平の反応や様子を見て判断する。

 「どうして分かったんだ。」

 涼平は観念して認めることにした。

 「それは女の勘です。」

 「そうなのか。」

 涼平は根拠のない理由だったので、しらを切れば乗り切れたかもしれないと後悔する。でも、異性のことについては、男子は鈍感、女子は敏感みたいなイメージが涼平の中にあった。主に恋愛ゲームが原因である。男主人公は異性に好かれていることに気づかない鈍感。女キャラは好意の視線に気づきやすかったりする。(あくまで、涼平の中でのイメージだが。)

 「おふざけはここまでにしましょう。次からが本番ですから。」

 美影はそう言ってカーテンを閉める。

 そこから、美影は数着の水着を着て涼平に感想を求めた。そして、涼平の反応が一番良かったワンピース型の水着を購入した。露出度も大したことがなく、学校行事に持っていく水着としてはぴったりだった。

 「ありがとうございました。おかげでいい水着が買えました。」

 「それは良かった。」

 涼平は美影の満足そうな顔を見て安心する。女の子の水着選びなんて涼平は経験がなかったので、美影が納得してくれるか不安だったのだ。

 「この後どうする?何かして遊ぶか?」

 涼平はスマホ時間を確認すると二時十七分だった。目的自体は終わったが、まだ時間に余裕がある。

 「そうですね。せっかくだし映画でも見ましょうか。」

 「じゃあ、そうするか。」

 美影が誘いに乗ってきたので映画を見ることになった。

 「どれがいい?」

 映画館に着いた涼平たちは、上映スケジュール表を眺める。現在公開されている映画は十一本。涼平が見たいと思った映画は一つだけだった。それはラノベが原作の映画で、決して異性と一緒に見るような内容ではないのだ。だから、美影に選択権を委ねることにする。

 「そうですね・・・。これにしましょう。」

 美影は少し考えた後に選択した。

 美影の選択した映画は今話題の恋愛映画だった。

 「了解。じゃあ、チケットを購入しにいこう。」

 涼平は恋愛映画には興味がなかった。悪魔には恋愛は基本ない。強い子どもを産む目的で、強い者同士で結婚することが多い。そこに恋愛感情などない。涼平が恋愛ゲームをしているのも、ストーリーのためではなく、エロが目的なのである。それを誤魔化すためにとっとと行動する。

 「さてと、どこがいいかな?」

 涼平は席の選択画面まで項目を進めた。涼平は後ろの方の真ん中の位置で見るのが好きだ。今回は美影がいるので彼女の意見を無視して購入するわけにはいかない。

 「私は涼平さんの隣でしたらどこでもいいですよ。」

 「了解。」

 涼平は自分の好きな位置に該当する座席を二人分購入した。その後、ポップコーンやドリンクを買って、映画が上映されるのを待った。

 映画の内容は良いのか悪いのか涼平には判断がつかなかった。主人公である男子高校生には好きな女の子がいた。彼女は美人で勉強・スポーツ共に優秀な成績をあげていた。まさに才色兼備という言葉が具現化したような人物だった。そんな彼女に主人公は告白するが玉砕してしまう。理由は主人公の学力と運動能力が平凡で自分に釣り合わないからだった。そう言われた主人公は、彼女と付き合うために学力と運動能力の向上に努めるのだった。その過程で、友達との協力による友情描写や、努力する主人公を見て彼女の心境の変化がある。最終的に、学力と運動能力で好成績を収めることができ、無事に彼女と付き合うことができたという内容だった。

 映画が終了する。涼平は立ち上がり身体を伸ばす。

 (疲れたな。)

 映画は微妙だった。しかし、美影が選んだ映画で寝るわけにはいかない。涼平は睡魔と戦いながら映画を見ていたのだ。

 「映画微妙でしたね。」

 映画館を出てすぐに美影が言った。

 「えーっと・・・。」

 涼平は答えに困った。正直に微妙だったと答えて良いものだろうか?

 「私は恋愛で大切なのは人柄のような中身だと思うんですね。学力とか運動能力は二の次ですよ。私が学力で人を選んだら、ライトさんしか該当者しませんしね。」

 「まあ、何を基準に恋人を選ぶかは人それぞれだからな。俺も美影と同じで内面を重視するかな。」

 涼平は悪魔時代に、家柄と強さが原因でないがしろにされていた。外面だけで判断されることの辛さを嫌と言うほど理解していた。

 映画の感想や学校の話をしながら、ショッピングモールの最寄りの駅に着いた。

 「では、ここで失礼します。今日は楽しかったです。また誘ってください。」

 「ああ。また学校でな。」

 涼平と美影は駅で解散した。

 涼平は電車に乗り自宅に一番近い駅で降りる。

 「あれ?黒井君じゃない?」

 涼平が駅の改札口を出たところで声をかけられた。声の方を見るとそこには聖来がいた。

 「こんにちは、神無月さん。部活帰りかな?」

 聖来は制服姿でテニスのラケットケースを背負っていることから、涼平は部活帰りだと判断した。ちなみに、私立神命学園は部活動の場合でも、登下校の際は制服を着用しなければならないのだ。

 「そうだよ。そっちは?」

 「ちょっと、ショッピングモールに買い物してたんだ。」

 「ふーん。一人で?」

 「いや、美影と二人で。」

 美影で二人で行ったなんて言ったら、変な勘繰りをされそうだが正直に答えた。美影が後で聖来に報告するかもしれないし、聖来が事前に美影から今日のことを聞いていて、鎌をかけている可能性もある。嘘をつく方が、逆に怪しまれそうだったからだ。

 「へぇ~そうなんだ。デートしてたの?」

 美影の顔色が変わる。興味津々といった様子だ。いかにも恋愛話が大好物な女子高生だ。

 「デートじゃないぞ。ライトにあげるプレゼントを一緒に選んでもらってただけだ。」

 嘘は言っていない。水着選びや映画のことをあえて言ってないだけだ。

 「あっそうなんだ。」

 聖来は美影の事情を知っている。自分の好きな人が自分ではない他の女の子にプレゼントをあげる。それを手伝うなんて、美影にとって最悪の状況なのは容易に想像がつく。

 「黒井君はライトちゃんのことが好きなの?」

 聖来は直球で聞いた。女の子にプレゼントを渡す。その行為は相手に好意を持っていないと中々しないことだ。

 「別に好きじゃないぞ。」

 (あっこれは好きなやつだね。) 

 聖来は涼平の嘘を一瞬で見破った。涼平は対人との会話で嘘をつく機会がほとんどなかった。魔界ではコミュニケーションをほとんどとらなかったし、人間界でも余り嘘はついてこなかった。アランにライトの事を見破られてた時は、アランの推測から涼平が墓穴を掘っただけで、涼平が嘘をついてバレたわけではない。涼平は嘘をつくこと自体が下手というわけではない。駆け引きの時の嘘は得意である。ただ、恋愛での嘘は苦手だった。経験がないからだ。

 (つまり、これは三角関係ってこと?)

 聖来は頭の中で図式を想像する。美影→涼平→ライトという図式が。

 (後はライトちゃんの気持ち次第って感じか~。)

 ライトが涼平のことをどう思っているのか聖来には分からなかった。聖来のライトに対するイメージは、裏表のない明るい女の子といった印象だ。前にライトに聞いた時は好きな人はいないと言っていたけど、今はどうか分からない。今なら、ライトが涼平のことを好きな可能性がある。

 「どうしたんだ?黙り込んで?」

 会話が途切れて、考え込んでいる聖来に疑問を持つ。

 「別に何でもないよ。それより、修学旅行楽しみだね。」

 「えっああ。そうだな。」

 涼平は聖来の急な話題展開に驚いたが返事をする。

 その後、修学旅行の話を少しして、聖来が乗る電車が来る時間になり解散した。

 涼平は寄り道をせずに家に帰宅する。郵便物が届いていないかポストを確認すると一通の封筒が入っていた。ライト宛ての封筒のようだ。その封筒には一つ不可解な点がある。切手もないし、住所も書かれていない。封筒の表面に「ライト様」と記載されているだけだ。誰かが直接ポストに入れたのだろう。涼平はライト宛てなので、余計な詮索はしないことにした。

 「ただいま。」

 涼平がリビングに戻ると三人は仲良くゲームをしていた。

 「おかえり。」

 「おかえりなさいませ。」

 「おかえり、お兄ちゃん。」

 三人ともゲームをしながら反応する。

 「それで、お兄ちゃんはどこに行ってたの?」

 「それはライトのプレゼントを買いにショッピングモールに行ってた。」

 「わっ私に。」

 ライトは驚いてゲームを中断する。

 「ああ。テスト勉強を手伝ってもらったお礼にな。」

 涼平はプレゼント用に包装された箱をライトに渡す。

 「開けていい?」

 「ああ。」

 ライトは箱を開封する。中に星形のペンダントが入っていた。

 「かわいい。ありがとね。」

 ライトは笑顔でお礼を言う。

 「どういたしまして。」

 ライトが喜んでくれて良かった。

 「やるじゃん。お兄ちゃん。」

 「好感度アップですね。」

 ラナとフレアがからかってくる。

 「そうだ。二人にもプレゼントを用意してるんだ。」

 涼平は鞄から先ほどと同じ箱を二つ取り出す。

 「こっちがフレア用。いつも家事ありがとな。」

 「こっちはラナ用。一人だけあげないのは可哀想だからな。」

 涼平は二人にもプレゼントを渡す。

 「ありがとうございます。」

 「ちょっと、お兄ちゃん。私だけ雑じゃない。私にも感謝することあるでしょ。」

 フレアは感謝を、ラナは文句を言いながら開封する。フレアの中には太陽の形をしたペンダント。ラナの中には月の形をしたペンダントが入っていた。

 「あっそういえば、ライト宛てに封筒が届いてたぞ。」

 プレゼントを渡し終わり、ひと段落したところでライトに封筒を渡す。 

 「何だろ?」

 ライトは封筒を開封する。中には一枚の紙が入っており、そこには文章が書かれていた。ライトはその文章を読む。

 「内容はなんでしたか?」

 「明日、神界で神様のお茶会が開かれるみたい。その案内。それと、涼平とラナちゃんの二人も参加して欲しいって書かれてる。」

 ライトは内容を簡単に説明する。

 「神様のお茶会って?」

 涼平は分からない単語について説明を求める。

 「それはね、神様が神界に集まってお話をするの。前に一度話さなかったっけ。」

 「そー言えば、聞いたような気がする。」

 ライトと初めて会った時に言ってたような感じがする。

 「それで私たちもそのお茶会に参加してもいいんだよね。私行きたーい。」

 ラナは参加する気満々だ。

 「涼平はどうする?」

 「行くに決まってるだろ。」

 涼平は参加の意思を示す。

 (どういうわけか知らないが、これはチャンスだ。)

 これまで多くの謎があった。

 ・涼平が人間界で生活を強要された理由。

 ・ライトが帝国の国宝を盗んだ理由。

 ・涼平とライトが出会った理由。

 ・ライトを人間界に閉じ込めた理由。

 ・盗んだ国宝を取り返せるよう悪魔を人間界に送った理由。

 この答えを知っているのはライトとフレア以外の神様だ。一番偉いシンラという神様なのか、はたまた別の神様なのかは分からないが、必ず答えを知っている神様がいる。そいつから直接聞き出すチャンスだ。

 (明日は楽しみな日になりそうだ。)

 涼平はほくそ笑んだ。

 

 

 

 

 

 


 

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