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十八 戦争

 いよいよ戦争本番だ。涼平は朝早起きし、武器や防具(防具は私服だが)、魔具を確認する。

 「準備万端だな。」

 涼平は自分の準備が整っていることを確認すると、アランのいる部屋に向かった。

 ガチャ

 アランの部屋に入るとそこには、アラン・ヴィル・ラナの三人が既に待機していた。

 「リィト、準備は万全か?」

 アランが確認をする。

 「問題ない。」

 涼平は念入りに確認したことを伝える。

 「久しぶりだな。この面子で戦争に出るのは。」

 ヴィルは昔を振り返る。

 「そうだね。けど、私たちが共に行動するのは、お兄ちゃんを標的の所まで送り届けるまでだよ。」

 ラナは作戦の確認も兼ねて発言する。

 「時間だ。行くぞ。」

 アランの一言で部隊の顔色が変わる。朗らかなムードから、本番のムード(ピリピリとする)に移行する。

 涼平たちは城の外に出る。戦争自体はこの国の第二防衛戦付近で行われる予定だ。戦争に動員される兵士自体は、昨日の時点で出陣しており今頃は、戦場で開戦を待っている状況だ。涼平たちが遅れて出る理由は二つある。一つはアランの予定だ。アランは多忙の身であり、前日の夕方までスケジュールが詰まっていたのだ。夜に出発することもできたが、夜道は危険が伴うので避けたのだ。二つ目は時間だ。城から戦場までは2時間程度かかる。丁度開戦して少し経ったあたりの時間だ。涼平のスタミナ温存のためにも、時間を遅らせる方が良かった。戦争というのは、始まって直ぐに戦闘するわけではない。部隊ごとに陣形を組んで進軍していく。敵軍との距離は数キロは離れている。両軍とも陣形を崩さないためにも、部隊ごとに歩幅を合わせながら進むため時間がかかる。戦闘が始まるのは戦争開始から10分程度経った後くらいだろう。涼平たちはそのタイミングで戦場につく予定だ。

 涼平たちは戦場まで運んでくれる馬車に乗る。長時間馬車に乗るわけだが、誰一人会話をすることはなかった。皆、独自の方法で集中力を高めていた。戦争とは一つのミスで命を落とす可能性がある。アランもヴィルもラナもいくつもの戦争を生き延びてきた猛者だ。(ラナは格が落ちるが。)戦争の怖さは身にしみて分かっている。決して、旅行に行くような気分にはならない。

 二時間が経ち自軍の拠点にたどり着いた。既に戦場で負傷したであろう兵士が手当てを受けていた。アランはある魔法を使用する。その魔法は自身の視力を強化し遥か遠方まで見ることができるようになる。

 「標的は2時の方向にいる。標的は現在単独行動中だと思われる。」

 アランは標的の状況を手短く伝える。

 「「「了解。」」」

 三人は返事をする。

 アランは魔法を解除し陣形を組む。先頭はヴィル、その後ろにアランとラナが並ぶ。涼平は殿を務めることになるが、今回の戦争において背後から攻撃を受けることは考えにくい。後方には自軍の拠点しかなく、敵が後方に回る可能性がないからだ。涼平は後方でなるべく魔力を温存するために、戦闘に参加しない方針だ。

 ヴィルを先頭に戦場を駆け抜ける。涼平は戦場の様子を見る。アランに事前に聞いていたが、戦場には岩が多く荒れ果てた荒野といったところだ。まあ、悪魔の戦争において岩等の障害物は魔法ですぐに破壊できるので、あってないようなものだ。

 いよいよ戦争の渦中に入る。交戦している兵士たちを横目にしながら、標的の方まで進んでいく。時折、戦闘になったが涼平が出る必要もなく、3人で片づけてしまう。並みの兵士では3人の相手にはならないだろう。

 戦場を駆け抜けて7,8分が経ち標的の姿を目視することができた。標的の傍には自軍の兵士の死体が多く転がっており、標的の強さを際立たせる。

 「アラン。もうここで十分だ。」

 涼平の一言で部隊は一度立ち止まる。標的との距離は100メートル程度、標的は戦闘しているのでこちらには気づいていないだろう。

 「健闘を祈る。」

 「死ぬなよ。」

 「頑張ってね。お兄ちゃん。」

 アラン、ヴィル、ラナ、三者三様に激励の言葉を投げかける。戦場でこんなことを言われるのは初めてだ。戦争中は戦争に集中するため、指示以外の会話をすることはない。わざわざ激励をくれるのは、涼平がこれから戦う相手はそれだけ大変なことを表していた。

 「行ってくる。」

 涼平はそう言い部隊を離れた。

 標的は現在、自軍の別部隊と戦闘をしている。涼平は戦っている別部隊の仲間にはおとりになってもらおうと考えた。そのために標的から少し離れた所でアランたちと別れた。部隊で行動すると見つかる可能性が高いからだ。涼平は標的を確認しつつ、標的の背後15メートル付近の場所に行く。その場所に岩があり、そこに隠れる。他の敵軍は他の仲間が応戦しているので、涼平標的に集中できる。涼平は身体強化魔法をかけて、奇襲するタイミングをうかがう。標的が相手を攻撃したタイミング、そこに攻撃を当てることが理想だ。涼平は今だと思ったタイミングで攻撃に移行した。しかし、標的に躱されてしまった。

 涼平はすぐさま二撃目の攻撃をする。それを標的は剣で受け止め、そこからは剣の打ち合いが始まる。標的と戦っていた別部隊は、二人の打ち合いを見て、実力差を感じ戦線から離脱する。

 (やっぱ、映像以上に強いな。)

 涼平は戦場での標的の動きを見て、映像以上の動きをしていると感じる。涼平自身も映像で見た標的以上の強さになるように、身体強化魔法をかけている。それでも、攻撃は防がれたのだ。

 剣の打ち合いが一段落し、両者一度距離をとる。

 「あんたつえーな。俺との打ち合いで、ダメージを受けない奴なんて初めてだ。」

 標的は涼平を称賛する。

 「・・・。」

 涼平は標的の発言を無視し、今後の作戦を考える。

 「おいおい、無視はないだろう。」

 戦闘中に会話をするなんて、よほど余裕があるのだろう。絶対に勝つ自信がある。標的からはそんな雰囲気が漂っている。

 涼平は身体強化魔法を制御できる目一杯までかけて攻撃する。涼平は先手必勝しかなかった。魔力的に出し惜しみをしてる場合ではない。戦闘の主導権を握る必要がある。相手に主導権を握らせて勝つ方法もあるが、時間がかかったり、防御に時間を割く必要がある。涼平にとってその時間がもったいない。相手にダメージを与えることができなくとも、攻撃を続けることがベストだ。

 涼平が一方的に攻撃を続ける。標的は防御に徹して、一切攻撃をしてこない。涼平は攻撃をしながら相手の行動について考える。相手が防御しかしないのにはいくつか理由がある。一つは、涼平の攻撃を防御することで精一杯で、攻撃に転換できない場合だ。一つは、様子見だ。自分の力に自信がある時には、確実に勝利するために相手の攻撃パターンや癖がないかを確認する。標的の表情を見るに後者の理由だろう。標的は涼しげな表情をしている。防戦一方だった場合、こんな表情にはならず、もっと焦っているはずだ。

 しかし、涼平は相手がどういう選択を取ろうとも、攻撃をするしかない。

 「なるほど。」

 標的はそう一言発すると、涼平の攻撃を躱し後方に下がる。

 「俺を楽しませてくれよ。」

 標的は身体強化魔法をかけて、涼平めがけて直進してくる。

 (速い。)

 涼平は標的の速度を見て警戒する。

 標的の初撃を剣で受け止め、二撃、三撃も剣で防御する。とらえきれない速度ではない。涼平は攻撃を防ぎつつ、反撃をする。相手の方が動きが速いので、涼平の攻撃の手数が減っていく。激しい攻防の繰り返し。時間だけが無常に過ぎていく。

 (このままだとまずいな。)

 涼平は今の状況について分析する。戦闘自体は成立している。標的の攻撃は対処できるし、こちらも攻撃する余裕がある。しかし、このままでは自分の魔力が切れる前に倒しきるのは不可能だ。何か状況を変えなければ、じり貧になって負けてしまう。

 魔具はダメだ。懐から魔具を出して起動する余裕はない。魔具を使用する時間は、剣で攻撃するよりもコンマ数秒かかる。

 神剣もダメだ。一瞬で出せるし、願うだけなので予備動作も必要ないが、神剣を出したところでこの状況を打開できるわけではない。利き手である右手には魔剣を持っているし、左手に持ったところで扱うことができない。魔剣を捨てて、神剣に持ち替えても何にも変わらない。

 涼平の中に焦りが見え始める。戦況を変える手立てがなく、ただ無意味に時間だけを消費していく。魔力消費の弱点がある涼平は、必死に策を考える。時間が経過していくたびに涼平の焦りは増していく。そして、その焦りが涼平に災いをもたらすことになる。

 涼平は焦りから標的の攻撃を完全に防ぐことができず体勢を少し崩す。標的はその隙を見逃さない。標的の鋭い追撃を涼平は防ぐことはできず、標的の剣は涼平の左わき腹を貫く。涼平の防具は私服であり、防御性能は皆無といっていい。剣は涼平の体を貫通する。涼平の左わき腹からは大量に血が飛び出す。涼平は全力で後方に下がり、魔法で傷をふさぐ。この魔法は回復魔法ではなく、ただの応急処置にすぎない。開いた傷口を魔力によって無理やり閉じただけだ。この魔法のメリットは傷口からの出血を防ぐためだ。傷口を放置すれば、そこからの出血は止まらない。出血には多くのデメリットがある。思考能力の低下や身体が思うように動かなくなる。それを回避するために魔法をかけたのだ。

 標的は後方に下がった涼平と距離を詰め攻撃してくる。涼平はその攻撃を防ぐ。そこから、標的の追撃を防ぐ。防ぐ。防ぐ。防ぐ。防ぐ。

 ここで涼平は戦況の変化に気づく。先ほどまでは相手の攻撃を防ぎつつ攻撃をできていた。しかし、今は防御に手一杯で攻撃にシフトすることができない。涼平はその理由にすぐに気づく。涼平の身体能力が落ちているのだ。身体強化魔法を目一杯かけれていないのだ。先ほど傷口を防ぐために使った魔法。あの魔法は一回かければいいのではなく、常にかけ続けなければならない。つまり、身体強化魔法に回していた魔力の一部を傷口をふさぐ魔法に使用している。結果として、身体強化魔法の倍率が下がったのだ。

 (終わったな。)

 涼平は自分の絶望的な状況を打開する策がなく、戦闘に対する集中力・熱意が無くなった。先ほどまでは難なく防げていた攻撃でもダメージを受ける。涼平の身体にダメージが蓄積していく。傷口を防ぐ必要があるような大ダメージは受けていないのが不幸中の幸いか。いや、今の涼平には関係のない話か。

 そして、戦況が大きく動く。標的の豪快な一撃が涼平の持っていた魔剣を弾き飛ばす。涼平は武器を失い無防備になる。そこに標的の一撃が襲う。右足に大きなダメージを受けて、涼平はその場に膝をつく。立てない程の痛みではないが、機動力は失った。

 「俺に本気を出させたことあの世で誇るんだな。」

 標的はすぐにに止めを刺さずに涼平に称賛の言葉を贈る。

 「あんた強いな。完敗だ。」

 戦闘中の会話は無視していた涼平だったが、勝負がついた今無視する理由もない。涼平も標的を褒めたたえる。正攻法で勝てなかったことに対して。

 「じゃあな。」

 標的は涼平に向かって止めを刺そうとした瞬間、涼平は懐に入れていた魔具を全て起動し標的目掛けて投げる。

 ドッドッドッカーン

 涼平は魔具の設定を最小時間の0.5秒にしていたのですぐに爆発する。その場に爆発の際に生じる光と煙で涼平は相手の姿が見えなくなる。涼平は威力が低いことを知っていて、防御魔法を展開する必要はないと分かっていたが、あえて防御魔法を展開する。

 爆発の煙が消えて標的の姿がはっきり見える。標的はしっかりと防御魔法で自信を守っており、一切ダメージを受けていない。

 「万策尽きたか。」

 涼平はあの魔具での攻撃が秘策だったような顔をする。

 「無駄な悪あがきだったな。だが、もうこれで終わりだ。」

 標的は再び涼平に止めを刺そうとする。標的の攻撃が涼平に届く瞬間、涼平は神剣を顕現し、相手の剣に向かって攻撃をする。攻撃は最大の防御。その言葉を涼平は体現する。涼平の攻撃は相手の攻撃に打ち勝ち、相手の剣を弾き飛ばす。剣を弾き飛ばされた衝撃で標的は後方にバランスを崩す。涼平は右足の痛みを我慢して立ち上がり、相手の心臓目掛けて剣を突き刺す。直撃する。涼平はすぐさま追撃として、標的の身体の別箇所に剣を突き刺す。相手は涼平に二度の攻撃をくらい、仰向けに倒れる。 

 「ゲホッ、ゲホッ。どこ・・・から剣を・・・出した?」

 標的は血反吐を吐きながら、最後の力を振り絞り質問する。

 「これは神様にもらった特別な剣だ。無から生み出すことができる。」

 「そ・・・そうか・・・。」

 標的はその言葉が最後の言葉になった。

 「なんとか勝てたな。」

 涼平はアランに合図を送り、その場に倒れ込む。勝利したことで、戦闘に割いていた集中力が途切れ疲労や痛みが一気に身体に襲い掛かる。それが原因で涼平は戦場で気を失った。

 今回の戦闘で勝利できたのは、涼平はいくつもの布石を打った緻密な作戦の結果だ。最初の奇襲は急遽思いついたもので作戦には関係ない。涼平の作戦は、自分が主導権を握って勝つパターンと相手に主導権を握らせて勝つパターンの二つを用意していた。

 自分が主導権を握って勝つ作戦、涼平はこれで勝つのが理想的だった。この作戦は涼平の強さが標的を上回っていれば確実に勝てるからだ。しかし、この作戦は無理だと涼平は考えた。涼平がそう考えたタイミングは自分のスピードよりも、標的のスピードが上回っていると分かった時だ。涼平はすぐさま相手に主導権を握らせる作戦に切り替えた。

 この作戦を遂行するにあたって、いかに標的に力負けした、なす術がないと思わせることができるかが問題となった。神剣での想像外の一撃。それをいかに確実に決めるかがポイントになるからだ。だから、まずは涼平は戦闘中に焦りを見せることにした。自分が戦闘で不利になればなるほど焦りが生じるのは当然であり、今回は少し大げさに焦り標的に焦りを分かりやすく伝えた。そして、焦りからのミスで大ダメージを受ける。いかにもありがちな負けパターンを作る。

 次に戦闘の意欲をなくすことだ。もう勝てないと思い込み投げやりな戦闘をする。それによりダメージを受けて、ますます戦闘で不利になる状況を自ら作る。ここで気を付けなければいけないことは、最後に神剣で攻撃できるように利き手である右手にダメージを受けないことだ。さらに、機動力を確保するために両足にダメージを受けないことが理想だったが、そこは上手くいかなかった。だが、片足のみに防げたおかげで機動力は下がったが、失われずにはすんだ。ここの攻防で、武器を失ったことも大きい。剣を失ったことで標的は剣で攻撃される可能性を捨てたはずだ。神剣で止めを刺すプランに移行した涼平にとっては幸いだった。

 そして、戦闘中に会話することで自分に勝ち目がないことを標的に教えた。戦闘中に会話をするパターンは、戦闘に余裕がある場合か、戦闘に負けることが分かり開き直る場合の2パターンだ。一番初めの剣の打ち合いが終わった後に、標的が話しかけてきた時に無視したのもでかかった。あの時は、戦闘に集中して返す余裕が無くて無視しただけだったが、結果的にそれが良い方向に働いた。涼平が標的に話しかけたことが、涼平が負けを確信して集中力を失ったと相手により印象的に伝わったはずだ。

 最後に魔具で攻撃をしたことだ。涼平はここまでの間に、散々自分は戦闘に負けたということを相手に伝えたつもりだが、決定打になりえたかは分からない。だから、涼平は完全に諦めた状況から一手何かしら攻撃をしたかった。そこで採用されたのが魔具だ。設定を威力低めにして発動時間重視にしたのには理由が当然ある。威力を低くした理由は涼平自身がダメージを受けないためだ。状況次第によっては、涼平の魔力がカツカツで止めを刺すためにかける身体強化魔法分しか残ってない可能性があるからだ。今回は、当初の予定より早く相手の強さの全貌が見えたことで、作戦を切り替える判断をすぐにすることができた。そのおかげで魔力を温存することができた。涼平が防御魔法をするメリットは、相手に高威力であるという印象を与えることができる。高威力、いかにも最後の切り札って感じがするからだ。発動時間を短くした理由は、相手の攻撃よりも早く魔具での攻撃を成立するためだ。打ち合いの中で魔具を発動することが難しいのは、打ち合いの最中は身体が活発に動いており、勢いに身を任せて素早く攻撃できるからだ。初撃はそうはいかない。勢いをつける必要があるため、どうしても時間がかかってしまう。そこに刺さるのだ。

 魔具を防がれた時点で普通の悪魔は負ける。標的はここで勝利を確信したと思う。実際、武器無し魔具無しの悪魔は何もできないからだ。勝利を確信した時、それが一番隙が生まれる瞬間だ。油断大敵、実にその通りだと思う。その結果が、標的の攻撃に涼平の攻撃が打ち勝ち、涼平に勝利をもたらしたからだ。涼平が標的の攻撃に打ち勝った理由は、標的が身体強化魔法の倍率を下げていたからだ。今回は戦争であり、標的は次も戦わなければならない。勝ちを確信した試合に全力を出す必要はない。少しでも温存できるものは、温存しておきたいそういった思考になるのは必然だ。そういう意味では、油断大敵と言うのは標的に失礼かもしれない。

 結果として、涼平の作戦が功を奏し無事勝利することができた。正直な話、神剣がなければ絶対に標的に勝つことはできなかった。自力で負けていたからだ。ライトは勝利の女神様だなと思った。

 戦争は無事勝利することができた。涼平は戦場で気絶したところをアランたちに回収され、拠点で緊急治療を受けた。その後、城に戻りさらに高度な治療を受けた。涼平が完治するにまでは一週間かかった。

 そして・・・。

 「お前のおかげで脅威は去り戦争に勝つことができた。感謝する。」

 アランはリィトにお礼を言う。

 「流石リィトだな。勝負強さが桁違いだ。」

 ヴィルはリィトを称賛する。

 「まあ、運が良かっただけだ。」

 涼平は頭をかく。

 「それで、本当にいいんだな。」

 涼平は話題を切り替えてアランに確認する。涼平は戦争で無事に標的を倒すという目的は達成したが、今後のためにもアランとしては涼平には魔界に残っていて欲しいのではと涼平は考えていた。しかし、アランは人間界で羽を伸ばしているといいと人間界の滞在を許可してくれた。一応、涼平の動向を監視する名目でラナを人間界に帯同させることを条件にだが。しかし、それも兄妹で一緒にいる時間をくれたのではとアランの好意を感じざるを得ない。人間界と魔界の連絡手段は、ライトが用意してくれたので、いつでもアランと連絡できるようになった。

 「問題ない。人間界が嫌ならいつでも帰ってきていいからな。」

 「まあ、そのうち帰ってくるよ。」

 人間界が嫌になることはないと思うが、涼平はいつかは魔界に帰らなければと考えている。

 「フレア頼む。」

 「分かりました。」

 涼平の一言で、フレアは人間界(涼平の家)に繋ぐ扉を作成した。

 「じゃあ、またな。」

 涼平、ライト、フレア、ラナはアランとヴィルに見送られ人間界に戻った。


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