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十七 戦争前夜

 対策二日目から戦争の前日までは特に変わり映えの無い毎日を過ごしていた。涼平は魔力を全部使いきるまで、鍛錬をしたら終了。この鍛錬も強くなるためとかではなく、戦争で魔力を全て消費することを想定した練習みたいなものだ。涼平の魔力ではこの鍛錬は、十五分程度の時間で終わる。魔力と言うのは、体力と似ているところがあり、すぐに回復するわけではない。休憩をして、ぐっすりと睡眠をとって回復するのだ。つまり、涼平は鍛錬をした後は暇なのだ。だから、ライトとフレアに魔界で知らないことを色々教えた。神話についてや、文化や芸術を。正直言って魔界は戦争がメインだったり、人間界程国の数がないことや、ライトたちが神話以外の知識があったことから、そこまで教えることはなかった。

 戦争についての準備でしたこと言えば、魔具を確認したくらいだ。魔具とは人間界で言うところの爆弾に近い。球状の形をした物に魔力を予め込めた代物だ。使用方法は簡単で、魔具にはボタンが一つ内臓しており、そのボタンを押すと起動する。起動後約1秒で爆発する。この起動時間は仕様なので、最小0.5秒から最大10秒まで変更可能だ。使用する用途において調整をすることが基本だ。この魔具の利点は、魔力を消費せずに魔法攻撃をできる点だ。魔力の足りない悪魔が魔法攻撃をするために必要なのだ。魔法攻撃をするメリットは、遠距離攻撃が可能になることだろう。近接戦闘では、武器のリーチが攻撃範囲で、長い武器でも全長1メートル程度だ。魔具を使えば、10メートル以上離れた距離からでも攻撃可能だ。攻撃の選択肢が増える。これが戦闘では非常に重要なのだ。近接戦闘のみしかない悪魔に対しては、近接戦闘のみを警戒していればいい。しかし、近接戦闘と魔法攻撃、両方の攻撃パターンがあると、防御側は近接戦闘と魔法攻撃の両方を警戒しなければならない。この警戒が相手に思考することを強要させ、判断を鈍らせることができる。もちろん、全員が全員判断が鈍るわけではないが、攻撃の選択肢が増えることには十分に価値がある。

 今の涼平は魔力がカツカツなので、魔具に頼る必要がある。涼平が選んだ魔具は起動時間が0.5秒で、威力は最小限に設定した。最小限の威力はタンスで小指をぶつけた程度の威力、大したダメージにはならない。しかし、涼平はそれで十分だと考えた。涼平が魔具を用いる目的は、目くらましのためだ。涼平が魔具を使用すれば、相手はその魔具を対処するためにコンマ数秒という短い時間ではあるが、敵の目を自分から逸らすことができる。その隙にこ攻撃をするという算段だ。

 このような感じで涼平は魔界での生活は進んでいった。

 そして・・・。

 「今日はゆっくり休むもう。」

 今日は戦争前日。明日のために今日は休んで、コンディションを整える必要がある。

 「うん。そうだね。」

 隣にいるライトが呼応する。

 ライトとフレアと3人でとりとめのない話をした。本当にとりとめのない話を。

 昼食を食べ終えたころにラナが部屋に入ってきた。

 「お兄ちゃん。明日のことでアラン君が話をしたいみたい。それで、今日の夕食を一緒にたべたいみたいなの。お兄ちゃんと二人きりで。」

 ラナはそう言うと一枚のメモ用紙を涼平に渡す。

 涼平はメモ用紙を見ると、そこには場所と時間が書かれていた。

 「分かった。アランに行くと伝えておいてくれ。」

 「オッケー。」

 ラナは自分の要件を済ませたので部屋を出ていった。

 ラナがいなくなると先ほどの続きの会話をした。朝からずっと話しているが、会話が途切れることがなかった。その理由は分からない。分からないが、この時が永遠に続けばいいのに、そう涼平は思っていた。

 涼平の思いとは裏腹に、時間とは無常に過ぎ去っていくものだ。アランとの約束の時間までもうすぐだ。涼平は部屋を出てメモ用紙に示された部屋に行く。

 コンコンコン

 ノックをして部屋に入ると既にアランは席に座っていた。

 「来たか。とりあえず座れ。」

 アランは椅子の方を指さす。

 涼平は席に座り部屋全体を見る。小さな個室で、部屋の中にはテーブルが一つと椅子が二つしかない。テーブルの上には既に料理が並んでいた。明らかに密談をするような場所だ。(城の中の個室なので、目立ちはするのだが。)

 「こうして二人で話すのも久しぶりだな。」

 涼平はアランと最後に二人で話した時を思い出す。何年前だろうか。そもそも、涼平が魔界にいた時に、誰かと二人で話すことはほとんどなかった。

 「そうだな。」

 アランは返答する。

 「作戦会議するだけなら、別にこんな手の込んだことをする必要ないだろ。」

 涼平はアランの行動が不可解だった。明日のことについて話すだけなら、怪我明けに呼び出されたアランの部屋ですれば十分だ。ましてや、食事まで一緒にすることはないだろう。

 「俺と一緒に食事をとるのは嫌か?」

 「別にそう言うわけではないけど・・・。」

 涼平はアランのことが嫌いではない。家柄が重要視されるこの国において、自分の実力を認めてくれて、待遇を良くしてくれたアランには感謝している。しかし、それとこれとは話が別だ。人間界で例えるなら、上司と部下の関係だ。つまり、ちょー気まずいわけだ。

 「それでは戦争前夜は俺ではなく、ライトという少女と一緒に居たかったのか?」

 「何でライトが出てくるんだ?」

 質問に質問に返す。

 「何でも何も、リィトはあの少女のことが好きなのだろう。恋愛対象として。」

 「そっそれは!!!」

 涼平は動揺する。涼平自身、ライトに対する気持ちを自覚したのはつい最近なのに、アランがそう簡単に分かるものだろうか?それとも、顔に出ているとか、何か分かりやすい特徴でもあるのだろうか?その理由が知りたい。もし何かあるなら、人間界に戻った時にクラスメイトにバレてしまう可能性があるからだ。

 「どうして分かったんだ?」

 「様子を見るに本当に恋愛感情を抱いているみたいだな。分かった理由はただの推測だ。お前が他人のためにあそこまで本気になるのを見るのは初めてだからな。」

 「そうか。」

 涼平はとりあえず安心する。別に分かりやすいとかそう言うわけではないみたいだ。

 「まあ彼女は見た目もスタイルも良いから、お前が惚れる理由は分かるがな。」

 アランの言葉で涼平の顔は真っ赤になる。確かに、ライトの見た目は可愛いしスタイルもいい。涼平も何度ライトをおかずにしたか分からない。しかし、ライトを好きになった理由はそんな浅はかなものではない。

 「・・・お前をからかうのはここまでにしよう。料理が冷める前に食べよう。」

 アランはリィトの様子を見て話を切り上げる。

 「そうだな。」

 涼平は料理を口に運ぶ。

 「それで戦争についてだが・・・。」

 アランと食事をとりながら戦争について打ち合わせをする。

 戦争当日は涼平はアラン、ヴィル、ラナの旧アラン隊のメンバーで行動することになる。行動と言っても、涼平を標的に送り届けるまでが仕事だ。涼平が本番前に魔力の消費を極力減らすためだ。涼平を標的に送り届けた後は別行動だ。これは涼平の要望だ。部隊で戦うよりも、一人で戦った方がいいからだ。涼平は戦闘で魔力を全て消費する可能性があるので、合図をしたらアランたちに回収してもらう手筈となる。ただし、合図があるまで例え涼平がピンチでも駆けつけてはならないと涼平はアランに念押しした。涼平が負けた場合は見捨ててもらってもいいと告げた。大きく決めたことはこれくらいだ。後は細かい事項だ。味方の陣形や人数、涼平には直接関係の無いことだが、アランは一応伝えた。アランとしては、涼平には標的を倒す以上のことをする必要はないと考えている。

「戦争か。今思うと、この国はずっと戦争してるよな。」

 涼平は人間界と魔界二つの世界を見て思ったことだった。人間界でも戦争が無かったわけではない。だが、人間界の戦争は数十年程度。多くても数百年といったところだ。だが、魔界の戦争はその比ではない。うろ覚えではあるが、涼平の記憶では2000年以上は戦争をしているはずだ。

 「そうだな。けど、これは仕方がないことだ。相手の国が聞く耳をもたないからだ。」

 「聞く耳をもたない?」

 涼平はアランの謎の発言に引っかかる。

 「この国は過去に数度、相手国であるマクア王国に何度か休戦協定を打診したことがある。しかし、相手はそれを受け入れなかった。」

 「!!!」

 それは初耳だった。涼平は魔界にいたころにそんな話は聞いたことが無かった。戦争は長期間しているわけだし、涼平が生まれる前の話だろう。

 「俺も議会の記録で見ただけで詳しいことは分からないが、この国は300年おきくらいに休戦協定を結ぼうと働きかけていた。おそらく、悪魔の寿命が250年程度だから、マクア王国の王様が交代したタイミングで行っていたのだろう。」

 アランは詳しく解説する。マクア王国は王政なので、王様の判断が国の方針になる。もちろん、王様の独裁政治をしているわけではない。王国の政治家と共に方針を決めている。しかし、マクア王国は王様や政治家がいくら変わろうが、一貫して戦争続行を貫いていたようだ。

 「何かおかしくないか?」

 涼平はマクア王国のことは余り知らないし、政治についても理解は浅い。だが、2000年以上もの期間があれば、一人くらい休戦を受け入れてくれる王様がいてもいいのではないのだろうか?

 「そこは俺も疑問に思うことがある。記録によればこの国は何度か話し合いの場を作ろうとしたらしい。しかし、マクア王国は話し合うことはないとして応じず、戦争続行を宣言している。マクア王国は戦争に囚われているのではと考えてしまう。」

 「・・・。」

 涼平は考える。ずっと同じ考えなんてあり得るのか?涼平は魔界の国については自国しか知らないが、人間界の歴史の授業で様々な国について学んできた。もちろん、人間界の国と魔界の国が同じ政治体型かと言われれば違うが、根本的なところは同じだろうと考えている。それは、国民の存在だ。国は国民がいなければ成り立たない点だ。だから、少なくとも国民が妥協できるもしくは、我慢できる範囲の政治を行うのが大切だろう。(あくまで涼平の考えで、実際の政治とは異なることが多々あることは了承して欲しい。)日本の場合は選挙によって国民の意見を反映させている。(必ずしもそうではないし、選挙で勝った政治家が公約を実現するとも限らないが。)過去の欧州では王政の国もあったが、王様が国民が不満になるような政治をすれば、革命とかによって反乱が起きて王政を打倒したり、王様が交代することが多々あった。しかし、アランによればそんなことは一切起きていないという。まるで、国民が洗脳されて戦争を肯定し続けているような気がする。

 (・・・いや、流石にないな。)

 涼平は自分の考えを否定する。神様なら洗脳をして、戦争を続けることは可能なのかもしれない。しかし、神様が悪魔に戦争をさせるメリットが思いつかない。それに、何でもかんでも神様の仕業だと決めつけることは良くない。2000年という長期間生き続けている存在は神様くらいだからそう考えてしまっただけだ。

 「まあ、話はこれくらいでいいか。」

 涼平は戦争について考えることは時間の無駄だと思った。テーブルに置かれていた料理も丁度全て食べ終わったし、切り上げるにはいいと考えた。

 「そうだな。」

 アランも首肯する。

 「何か他に言っておきたいことはあるか?」

 涼平はアランに確認する。この場がアランと話す最後の機会になるかもしれないからだ。

 「・・・そうだな。最後にお前に言わなければならない言葉がある。お前の手を借りることになってすまない。」

 アランは涼平に頭を下げる。

 「どっどうしたんだよ。頭を下げるなんてアランらしくないぞ。」

 涼平はアランの行動に戸惑いを隠せない。アランが他の悪魔に頭を下げることを涼平は見たことが無かったからだ。

 「リィトには悪いと思ってな。一度いなくなったお前に頼ざるを得ないことの不甲斐なさに嫌気がさす。」

 アランは自分の考えを述べる。アランはリィトの境遇は知っていたし、人間界にリィトが居続ける気持ちは十分に分かる。それに、リィトでの戦場での功績は既に一般の兵士が引退するんでに挙げる功績以上の功績を挙げていた。そして、リィトは命を懸けて自分たちを逃がしてくれた恩もある。だから、リィトを再び戦場に送り出すことは辛かった。しかし、自分の感情よりも国を優先しなければならないので、この選択をせざるを得なかった。

 「その・・・なんだ。・・・気にすんな。たぶん、標的は俺じゃないと勝てる可能性は低い。アランの選択は間違ってない。」

 アランは確かに強いが、今の涼平と1対1で戦った場合でも勝率は5割くらいだろう。アランは攻撃・防御・魔法の三拍子揃った実力を持つ。この言い方だと聞こえはいいが、実際は突出した性能ではない、又は、高性能な器用貧乏と言ったところだ。アランが輝く場所は部隊でだ。旧アラン隊では、攻撃のリィト、防御のヴィル、魔法のフブキと各分野でのエキスパートがいた。彼らが好き勝手暴れることができた理由は、アランの存在が大きいだろう。アランは攻撃・防御・魔法、どれでも万能に扱えるので、痒い所に手が届く役割、縁の下の力持ちとして活躍した。つまり、アランは指揮官として優れているのだ。

 では、アランとリィトではどこに差があるのか?その答えは身体強化魔法だ。身体強化魔法は言葉の通り自身の身体を強化する魔法だ。この魔法のすごい所は、魔力を消費すれば消費するだけ身体を強化できることだ。つまり、誰でも強くなれるのだ。魔力量が多いアランは、涼平と同レベルの水準もしくはそれ以上の身体強化をすることができる。これで能力面では引けを取らない。では何が問題なのか?それは脳についてだ。悪魔が何か行動をする時には、脳が身体に指示することが必要とされる。(脳を介さずに起こる反射のようなものもあるが、戦闘では関係ないので省略する。)どれだけ速く動けるようになっても、脳が指示する速度が遅ければ無意味だ。例えば、格闘ゲームで同じキャラを操作した場合でも、プロと素人では動きが全然違うのは想像できると思う。それと同じだ。脳がプロか素人化かの違いだ。

 「そう言ってもらえると助かる。」

 「ちなみに、俺がいなかったらどうするつもりだったんだ?」

 涼平は疑問に思っていたことを質問する。涼平が今回戦争に出ることになったのは偶然だ。標的を殺す何か策があるはずだ。そうでなければ、この国の敗北は時間の問題だからだ。

 「ああ、それはだな。」

 アランの話によると、標的を倒すのはもっと自陣に攻められた後に行う予定だった。敵軍が自陣深く侵入することは、相手にとってはとても不利だ。理由は二つある。一つは有利な立地で戦えることだ。敵軍は未知の土地であるが、自軍は土地について熟知している。どこが戦場で一番高い位置かや、どこが奇襲しやすいか等のが事前に分かっている。これは戦況を優位に運ぶためには非常に重要な情報だ。二つ目は、増援や物資の補給の差だ。自陣深くまで侵入されていると言うことは、戦場が帝都(この国で一番の都市。)に近くなるということだ。つまり、増援部隊や補給物資が敵軍に比べてすぐに戦場にくることができる。敵軍は自分の国から離れているので補給が遅くなる。これらの事から防衛戦の方が基本有利なのだ。

 アランはその有利な状況の中で倒そうという算段だ。実際、あの標的に対して何百という悪魔を動員すれば勝てることは間違いない。標的は物理で戦うことがメインであり、魔法をあまり得意ではないと思われる。(あくまで映像からの分析だが。)つまり、標的は一気に敵を薙ぎ払う術がないのだ。悪魔の物理攻撃は単体攻撃しかなく、ゲームであるような全体攻撃はない。これが魔法を得意とする悪魔なら、大魔法でまとめて相手をすることが可能だ。要は、標的の魔力が尽きるまで無数に兵を投入すればいいだけ。自陣深くなら増援は容易いし、敵の増援はないだろう。

 悪魔は最強の個がいれば戦争は優位になるのは間違いない。例えば、お互いの軍が同数で戦争をした場合、一体の悪魔で何百もの悪魔を相手にできる。そうなると、他の悪魔たちは人数に余裕ができ、2対1または3対2の構図を作ることができるので、戦況を優位に運ぶことができるようになる。

 つまり、強い悪魔と言うのは戦場で非常に存在感を放つが、絶対に倒せない相手ではない。涼平自身も、悪魔時代に千人規模で相手をしたら魔力切れで負けていたかもしれない。まあ、アランがそうならないように工面してくれていたが。

 「まあ、そうだろうな。数を当てるしかないわな。」

 アランの話を聞いて納得する。

 「そうだ。それが最適解だ。」

 アランは犠牲は仕方ないと考えている。

 「・・・明日も早いし、もう寝るわ。」

 「そうだな。」

 会話も終わったので、涼平は部屋を出て自室の戻る。

 ガチャ

 ドアを開けて部屋に入るとライトが椅子に座っていた。

 「どうしたんだライト?」

 「おかえり。その、涼平が寝る前に少し話したくて。迷惑じゃないかな?」

 ライトは少し不安げな顔をしながら涼平を見つめる。

 「少しだけなら問題ないぞ。」

 「そっか。良かった。」

 ライトの顔が明るくなる。

 「それで、何の話をするんだ?」

 涼平はライトが明日のことが心配なのだろうと考えていた。

 「何の変哲もない話だよ。あのね、もうすぐ学校行事の修学旅行があるんだよ。楽しみだね。」

 「えっ、ああ、そうだな。」

 予想外の話題に驚いだが、とりあえず返事をする。

 (そう言えば、もうすぐ修学旅行か。)

 私立神命学園の修学旅行は毎年7月にある。期末テストを乗り切った後のご褒美だ。今は6月の始め。修学旅行まで一か月といったところだ。確か、旅行先は沖縄だった気がする。

 「私、海とか行ったことないからすごく興味があるんだよね。」

 「海か・・・。」

 修学旅行の正式な日程が決まったわけではないが、例年通りなら海水浴があったはずだ。

 (ライトの水着か・・・。)

 涼平は妄想する。ライトはすごくエロい身体をしている。正直言って何を着ても似合うだろう。ビキニなんか着たら、破壊力は計り知れないだろう。まあ、修学旅行でビキニを着ることはないと思うが。

 「他にもね沖縄だったら・・・。」

 ライトは沖縄について楽しそうに語る。水族館やお土産の話等、修学旅行でありそうな話をした。

 涼平は「うん。うん。」と頷きながら話を聞いた。涼平はライトの話をライトなりの激励なのかなと思った。今後の楽しい話題をすることで、明日の戦争で死なないでと暗に伝えているのだろう。直接戦争の話題をすると、雰囲気が暗くなる可能性もあるし、ライトなりの配慮の結果だろう。

 「こんなところかな。ちょっと話過ぎちゃったかな。」

 ライトは話を止め時計を見る。時間は15分くらい経っていた。

 「じゃあ、私は自分の部屋で寝るね。」

 ライトは立ち上がり扉の方に歩いて行く。

 「ライト。」

 涼平は少し大きな声で呼ぶ。

 「どうしたの?」

 ライトは振り返り涼平の方を見る。

 「修学旅行、一緒に楽しもうな。」

 涼平はライトにそう言った。

 「うん。楽しみにしてるね。」

 ライトは満面の笑みで返事をし、部屋を出ていった。

 涼平はライトの笑みを見て、自分の伝えたかったことは伝えられたと安堵する。

 「絶対勝たないとな。」

 涼平は明日の勝利を誓った。

 

 

 

 

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