第7話 初バトル?
異世界に来て早々に追放されてしまった僕、
時任技術は色々なショックでボーっとしながら、
草原を歩いていた。
異世界召喚からの追放までと、
ラノベやゲームの定番を次から次へと熟し、
疲れて放心状態になったようなものだ。
「はぁ~、力や才能、チート..いや、
特別なものでなくてもいいのに、
何にも無し...これから、どうすれば...?」
そんな悩みを呟いても、
現代ではないので誰かが答えてくれる訳でもない。
...のだが、呟きに反応したのか、
近くの茂みがガサガサと揺れた。
ファンタジーの世界での遭遇と言えばあれであろう、
と身構えたのだが、出てきたのは...ウサギだった。
「何だぁ~、ウサギかぁ~」
ホッとするのも束の間、
何やらウサギに変化が見られる...
体が若干大きくなり、
口には牙みたいなものが生え、
極め付きには額に角が一本生えてくる。
「えっ...可愛い小動物だよねぇー?
モンスターなんて事は...うおっ!」
現実逃避しようとしていたが、
その可愛い小動物?は牙を剝き出し、
凶悪な顔付きで襲い掛かってきた。
「!?...ですよねぇ~」
どうにか身を翻し、
最初の一撃は躱した僕。
相手を危険な猛獣..じゃなくて、
モンスター認定し、
竹刀袋から竹刀を取り出し正眼に構える。
ウサギ?は僕に避けられた事でビックリしていたのか、
ちょっとの間、微動だにしなかったのだが、
振り向いて僕を見据えると気を取り直したのか、
再び襲ってくる構えを取った。
やはり、
ウサギは自身の一番の武器である角で攻撃するみたいだ。
今度は突進かな?と思っていたのだが...
「うわっ!...構えと行動が違うだろ!
突進かと思ったら、また、飛び跳ね攻撃...
どうなってんだよ!?」
突進の構え…脚で地面を掻く動作…
と思わせておいてからの飛び掛かり...
このウサギはもしや..策士か!?
なんて思いつつも、竹刀で軌道を逸らして、
どうにか一撃を食らわずに済んだ。
相手はこれが最大の攻撃方法なのであろう。
三度、同じ構えを取って襲い掛かってくる。
「(スッ)...だから!(カン)..
これは!(ググッ)..
突進の構えであって!(バシッ)...
跳躍じゃあー!ないでしょ!!」
今度は竹刀で受け流さずに、受け止めて、押し合い、
払い除けた。
反撃は出来るのだが、如何せん、
絶対的な攻撃力不足である。
ウサギの攻撃をサイドステップで躱し、
反撃の一打を与えているのだが決め手に欠けている。
...得物はあくまで、竹刀だ!
ウサギのモフッモフッそうな毛皮には、
有効打足り得なかったのだ。
このままでは消耗していくのは僕の方であった。
「...くっ、逃げようにも逃げれないし!
..どうにかしないと!!」
何か手はないのかと考えていると、
視界に竹刀袋が入った。
「...これだ!!」
竹刀をウサギに投げつけて牽制し、
竹刀袋へと駆け寄った。
掴み取った竹刀袋を両手で上下に引き伸ばし、
半身になって待ち構えた!
ウサギのとった行動は...
やはり、最大の攻撃である跳躍であった!
「...ここだ!(バッバッ)」
僕の体に向かって一直線に跳躍したウサギは、
片足を後ろへと下げた僕に躱され、
上下に引き伸ばされた竹刀袋へと飛び込んできた。
僕はそのまま、ウサギの首を竹刀袋で捕らえ、
左右に引き絞っていった...
ウサギはもう動くことはなかった...
「はあ、はあ、はあ...モンスター?との初バトル?初戦闘?...つ、疲れたあぁぁ~」
僕はその場に仰向けに倒れ込んだ。
勝利の余韻もなく、
唯々、疲れのみが残るのであった...
「面白い!」
と少しでも思ったソコのアナタ!
ぜひ下の評価☆☆☆☆☆をチェックして下さい。
★5でも★1でも良いので、よろしくお願いします。
ブックマーク登録していただけたら、モチベーションにも繋がりますので、
お願いしますm(_ _"m)