第6話 追放?
いきなり広間に乱入してきた若い男に決闘と言われ、
訳も分からないまま里の広場まで連行されてしまった、
僕こと時任技術。
何か言おうとしても、言葉を被せられて、
あれよあれよという間に、
決闘する流れから逃れる事が出来なくなっていた。
「ちょっと待っ...「オレは認めんぞ!〈勇者〉なんて!」」
「いや、だから...「得物は何だ!」」
「竹刀というか、刀?剣?
..いや、そんなのはどうでもよくて、ちょっ...
「シナイ?カタナ?というのは知らんが、
剣なら木剣でよいな!オレはこの木槍だ!」」
「ちょっと!どうでもいい事は聞くのに肝心なこ...「いざ、尋常に勝負!」」
相手はやる気満々なので、
何を言っても無駄らしい。
僕は木剣を渡されても構えは取らず、
降参の意思を示そうとしたのだが、
「何だ?男なのに決闘から逃げるのか?...根性なしめ!」
安い挑発に乗って、カッチーンときましたよ!
僕だってねぇー、ムコウの世界では強い方だった。
それにここまで貶されて勝負から逃げたら、
男が廃る!ってもんだい!
ここまでの事で、
相当にストレスが溜まっていたのであろう。
僕は木剣を構え、決闘に応じてしまったのだ。
まあ、結果から言おう...
惨敗でしたよ..
一番の敗因は、
相手の方がより優れていたに尽きるのだが、
その他にも色々と原因はあった。
...惨敗した言い訳じゃないよ?
本当にこの世界に来てからというもの、
なぜか、体が重く、動きが鈍くなっている。
..まあ、驕りもあったんだけどもね。
〈勇者召喚〉されて、
特別な力や才能を与えられた訳ではないが、
〈勇者〉として選ばれて召喚されたのだから、
僕はそれなりの強さなのだろうと思い込んでいたのだ。
その為、相手をよく観る事も、
自分の状態をちゃんと把握する事も出来ていなかった。
師匠がもしこの事を知ったら、
「やっぱ、才能ないわ~。破門にしとこうか?」
と呆れながら、問われてしまうだろう。
何の反撃も出来ないまま、僕は敗れてしまい、
自分の馬鹿さ加減に呆れていると...
「こんな弱いのが何の役に立つんだ!
こんなのに時間をかけているヒマは、
オレたちにはないだろう!」
決闘に圧勝した若い男は、
声高々と広場に集まった者にそう宣言していた。
僕はさらに呆気に取られ、
されるがままに里の外まで引き摺られていった。
ドサッ...
「お前といっしょに召喚された荷物だ!どこへとなりと行くがいい!!」
里の門から竹刀が入った竹刀袋と一緒に放り出される。
「追放する!里にはもどってくるな!!」
僕の目の前で、理不尽にも門戸がピシャリと閉めらた。
どうやら、僕は里から締め出されてしまったようだ。
...はぁ~ん?
勝手に召喚しといて強引な決闘、
そして、負けたら追放?なんて!
..一体、どんなハードモードなんだよ(怒)!!
「面白い!」
と少しでも思ったソコのアナタ!
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