第5話 決闘?
異世界転移してしまった事に頭を抱えていると、
少女に「お疲れでしょうから...」と心配され、
軽い食事を取った後、まだ寝ておくように促された。
考える事が山程あったので寝ている場合ではなかったのだが...
「では、お休みになられるまで、お側におります!」
またもや、少女を怒らして?...しまい、
渋々とベッドで横になる僕。
異世界転移による疲労なのかは分からないが、
横になるとすぐに瞼が重くなってきて、再び眠りについた。
.........
......
...「ど..う..し..て...!?」
ラノベやゲームだとここいらで、
夢の中に神様が出てきたりして、
力を授けてくれるのだろうけども...
まあ、そんな事もなく、
深く寝入っていたようだ..異世界転移は体への負担が大きいんだな~...んっ?何か聞こえたような気が...?
ドアをノックする音が聞こえるので目を開けると、
そこには見覚えのある天井が...
ああ、やっぱり、夢だっ「勇者様?...お目覚めですか?...入らせていただきますよ?」...夢じゃなかった。
「どうぞ...」
体を起こしながらそう返事をする。
まだ、体が重く感じるが、
寝る前に感じていた体中の強い痛みや頭痛、
目眩はなくなっていた。
「失礼いたします(ペコリ)...勇者様、お早う御座います」
真夜中に話をした少女がドアを開け、
綺麗なお辞儀で挨拶をし、
部屋の中へと入ってきた。
「おはようございます」
挨拶を交わしつつ、
また、どれぐらいの時間寝ていたのだろうか?
とぼんやりしていたら、余程、顔に出ていたらしく、
「...クス..ゴホン、失礼いたしました。
7月8日の朝ですよ...
あれから、それ程のお時間は経っておりませんが、
お体の具合が宜しければ朝食の後ほどに、
里長たちの話をお聞きになってはもらえないでしょうか?」
わ、笑われてしまった、ガーン...
そんなに顔に出てた?...
もしかして、変な顔だったから笑ったって事はないよね?
ショックを受けつつも、どうにか、返答する。
「少し体が重いぐらいなので、大丈夫ですよ」
少し...ではないのだが、
見栄を張って、そう答えてしまった。
前回の過失もあり、
少女は訝しげそうにしていた。
なので、ベッドから出て立ち上がり、
その場で屈伸したり、体を曲げ伸ばしたり..
要はラジオ体操をして見せると、
少女の表情は少し和いだ。
「くれぐれもご無理はなさらないで下さいね?」
念を押されはしたが、
OKは出たようで、朝食の場へと案内された。
朝食を済ませた後、広間へと案内される。
そこは会議室でもあり、
里長たちがこの中で待っているとの説明を受けた。
少女はノックをし、
両開きの扉を開け中に入って、
一歩後ろへと下がり、扉脇で控えた。
中では里長たちであろう方々が土下座で待ち構えていた。
「勇者様、この度は私共の身勝手な都合で、
私共の世界に召喚してしまい、
大変ご迷惑をお掛けいたしました事、
深くお詫び申し上げます。
お怒りは御尤もですが、何卒、
私共の願いをお聞きになってはもらえないでしょうか?」
なぜか、大変恐縮させてしまっているようだ。
自分は大した者ではないので、
敬う事なく普通に接してくれ、
と何度も説得して、
やっとの事で普通に話を聞く所まで漕ぎ着けた。
「...要するに、
本来なら〈救世主〉が現れるはずなのに現れず、
切羽詰まって〈勇者召喚〉という儀式を行い、
異世界から僕を呼び寄せた...と」
僕がそう言うと、なぜか怒っていると勘違いされ、
また、大変恐縮させてしまった。
怒ってはいないと宥めつつ、答えた。
「大変申し訳ないんですけど、
僕は〈勇者〉と言える程の力や才能もないし、
皆さんのお力になれるかどうか分かりません」
ラノベやゲームなら、
相応しい力や才能を授かっているのであろうが、
現実はそれ程甘くはなく、
僕には皆を救えるような力はない。
自分の事を弱い...と思っている訳ではない。
しかしながら、
自分の事を〈勇者〉と言える自信はない...のだ。
皆が落胆する中、
急に両開きの扉がドンッと押し開けられ、
若者の集団が入ってきた。
「おい!ジジイども!オレがいない間に勝手なことをしやがって!!...〈勇者〉とやらはどこにいる!!!」
先頭の若者が怒声を放ちつつ、
見知らぬ顔の僕を見つけて、
こう言い放った。
「...キサマが〈勇者〉だな?どれほどの力か知らんが...決闘だ!」
えっ、何言ってんの?と呆けている間に、
僕は広間から引っ張り出され、
そのまま外へと引き摺られていった...ズルズルとね。
...はっ!..決闘?何で僕が決闘する羽目に!?
「面白い!」
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