プロローグ?
「...行ってしもうタカ?」
彼女は今、目の前で起きたばかりの現象を、
ハァーと長い息と共に、そう吐き出している。
後には何も残されておらず、
喧騒から一変し、辺りは静寂に包まれた。
その静寂を破るのは、
パチパチと爆ぜる篝火の音。
それと、タンタンタンという彼女の足音のみ...
ヒューと風に乗って、料理や酒の匂いが通り過ぎる..
彼女が見上げる先には、
篝火に照らされた大樹の幹。
彼女は旅立った者たちの無事を願うかのように、
その場で手を合わせ、目を閉じた。
そんな彼女に下から声を掛ける赤ら顔の男。
「...様、これが...の運命なのですか?」
ビューと一陣の風が吹き、
彼の言葉をかき消す所があったのだが、
彼女にはそれだけで伝わったようだ。
「そウジャ、運命の歯車は動き出してしまったノウ~...」
その遣り取りを聞いていた者たち全てが察して、
大樹へと跪き、祈るように手を合わせている。
そんな中、松明を持った数人の者が、
タッタッタと駆け足で近付いて来た。
「...そうか...これが...言われていた...」
駆けつけて来た者たちの中で、
一番の年長者らしき人物は、辺りの様子を察して、
気付き、その次の言葉を発しようとしていたのだが..
「おい!何があったんだ!!すんげ~光ってたぞ?」
その場で一人だけ、
状況を理解していない駆け付けた若者が、
辺りの静寂を破く...いや、それだけではなかった。
ドッゴ~ン!と凄まじい音と共に、地響きが起こった。
「...痛ってぇな!急に何すんだ!!」
年長者の拳によって、
地面に頭をめり込ませていた若者は、そう叫んでいた。
...痛いだけで済むこの若者は相当な体力の持ち主なのであろう。
「この馬鹿者が!...お前だけだぞ!!...この状況に付いていけてないのは(怒)!!!」
周囲で寝ていた者達まで、起き出す程の地鳴りと怒声。
しかし、その若者はあっけらかんとしているようだ。
「いや、分かんねぇーから聞いてるんじゃねぇか!」
「...お前という馬鹿者は!...ふぅー...何も話を聞いておらんかったのか?...よく周囲を観察しろ!」
叱られた馬鹿者..ではなくて、若者は周囲を見渡し、
何かに気付いたようだ。
「...(クルッ)...(クルッ)...んっ?あいつらがいねぇなぁー..どこ行った?」
「「「...」」」
「...こんの馬鹿者がぁ~~~(怒)!!!...そこまで分かっておきながら...何故...結論を導き出せん(怒)!!!!...あの話を聞いて...理解しておらんではないかぁ~(怒)!!!!!」
「...それにしても、いい匂いだな!腹も減ってるし、何か食べていくかぁー」
そんな遣り取りに、皆はアハハ..と苦笑いしている様子。
しかし、先程までの不穏な静寂はどこへとやら?
辺りはまた陽気な雰囲気へと様変わりし、
みな思い思いに料理や酒を口へと運び、
夜が更けていくのであった...
...だが、迫りくる不穏な影。
運命の歯車は既に回り出しているのだから.........
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