第10話 灰色の老人?
「イヌ?...にしては獰猛なような?
..まあ、野犬だったらこんなもんか?」
目まぐるしく変わる状況についていけない中、
現実逃避的にそんな独り言を呟いていた。
「ズゥイイズヴイィィ!」
「そんなばあいじゃないよ!」とスライム?に、
なぜか叱られている僕。
解せぬ!と思いつつも、言われている事は正論なので、
現実逃避から抜け出し返事をする。
「確かにそうだ!」
スライム?相手に何で返事をしているんだろう...
妄想、或いは幻聴かもしれないのに..
とまた現実逃避しかけるのをどうにか思い止まり、
こちらへと敵意を向けてきたイヌ?に身構えた。
竹刀を正眼に構え、
相手の出方を窺う。
犬であるのなら人の味方だよね?
という甘い考えは見事に打ち砕かれ、
ゴブリンを放した牙が僕に向かって襲い掛かってきた。
ウサギとの闘いで活躍?した軌道逸らしを発動!
...しようとしたのだが、
イヌ?は強引に首を回し噛み付いてきた。
僕は咄嗟に竹刀を間に滑り込ませはしたのだが、
相手の勢いは強く、
襲い掛かる牙を防ぐだけで精一杯。
僕はイヌ?に押し倒されてしまった。
イヌ?は押し倒した僕を逃さぬように、
前足後ろ足を器用に使い抑え込んできた!
そして...牙を防いでいた竹刀は噛み砕かれてしまった!?
えっ!?噓だろ!このままじゃ...!!
抑え込まれた僕は力で負けており、
身を捩って逃げようとするのだが、
全く逃れる事は出来なかった!!!
涎を垂らす牙が、
僕の首に差し迫ったその時...
ドン!と強い衝撃でイヌ?が僕の上からよろめいて、
地面に転がる。
イヌ?から解放された僕は膝を突きつつも、
どうにか立ち上がった。
僕を助けてくれたのはあのスライム?だった。
「ありがとう!助かった!」
僕は思わずそう言った。
「スゥイイ!」
「どういたしまして!」とでも言うようにスライム?は返事をする。
僕とスライム?は死なば諸共と並び立ち、
イヌ?を見据える!
大したダメージは与えられていないようで、
イヌ?はすぐに起き上がってきた!!
武器になるような物は近くにはなく、
僕とスライム?は視線を交わし、
お互いに死を覚悟した!!!
僕もここで終わりか..異世界に来て、すぐに死ぬ事になるなんて...
後悔はある..しかし、これが運命だったのか...
と諦めていた正にその時!?
...強い閃光がイヌ?を貫い..たあぁぁぁ~!!??
「...えっ!?」
思わず声を上げる僕。
スライム?も漫画であれば、
!!マークが頭上に出ている感じで、
驚いているようだった。
イヌ?はもう動く事はなく、息絶えていた。
閃光がした方から、
灰色のフード付きローブを纏った老人が出て来た。
「...ほう!...共に並び立つ...か!
...面白い!力はなくとも、
非常に稀な...澄んだ良い心を持っている!!
...これならば...あるいは...?」
僕とスライム?を見つつ、
ブツブツ呟きながら考え込んでいた。
...はっ!...灰色の老人?..かな?
..というか!この老人が助けてくれたのか!?
ブツブツと考え込む老人を呆然と見つつ、
スライム?と目が合い、
お互いに「どうなってんだ...コレ!」
と意思疎通を交わす僕たちなのであった。
「面白い!」
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