さがしもののお手伝い
今日は啓蟄。
冬のあいだ雪に閉ざされていた山々にも春が訪れ、眠っていた動物達がゆっくりと目覚め始めている。
日陰に残る雪の上、ちょっと変わった子が辺りを見渡していた。
体は雪、両手は木の枝で出来た彼の頭は、かぼちゃだった。
彼の名前は「らんたん」。
かつてはハロウィンの飾りだった彼。雪だるまになってからは、サンタ見習いとしてサンタさんと一緒に暮らしている。
そんな彼の元に、目覚めたばかりの友達のリスくんがやってきたのは昨夜のこと。
「どこに隠したのか思い出せないんだ。また一緒に探してくれないかい?」
去年の秋にリスくんが山に隠したとっておきのドングリを探して、落ち葉をどけたり、土を掘ったり。
でも、なかなか見つからない。
忘れん坊のリスくんと2人で木の実を探すようになってから何度目の春だろう?
土から顔を出した芽の正体に気づかず、彼らは今年もさがしもの。
「小説家になろうラジオ」の「かぼちゃ小説」企画で朗読していただいた話の続きをシリーズで書いています。
これは、その番外編です。
楽しんでいただけたら幸いです。