player.addtale 23 地図
「ご主人様、地図を描き終わりましたわ。次は何をすればよろしくて?」
一瞬、誰だコイツ!?と喉元のまで出かけるものの、押しとどめ、労いの言葉をかけると残しておいたクッキーを差し出した。リスの様に無心で齧っているが、サイズ比の関係でピザのLサイズを端から食べてるようにも見えるんだよな。
さて、出来上がった地図は、と。
お、すげぇな…よくできてる。
折角なのでアイテムとして認識されているか確認と複製のためにコンソールを起動してIDを見てみる。
ID:item901D53
どうやらアイテムとして認識されたようだ。
今後汚したり無くしたりしてもこのIDさえあれば複製も余裕である。
さっそく地図にこれまでの移動経路、というか移動した座標を書き込んでいく。
まずは中央の島でスタートして、真北の大陸でベヒモスを討伐。
その後西へ移動して、北西のヨルガンド大陸にてウロウロしていると。
正直なところ目標はボスの討伐であって人間同士のイザコザに首を突っ込む必要はないわけだが…。
悪の帝国で好き放題遊べるのもちょっと魅力的だよね!
グロ画像を量産しない程度には人間つかってコンソールの実験もしてみたいし。
あとは超強いらしい帝国の王?皇帝?と、転移者がどっちの国に取り込まれたのかも気になるな。
今後のことも考えるとどこかに拠点を購入でもした方がいいかもしれないな。
移動自体はどこでもmovetoコマンドで行けるし。家でも買うか。
そんな事を考えているうちにケイが目を覚ましたようだ。
「私、いつの間にか寝ていたのね。なんだかすっきりした気分だわ。」
酔ってる間のことは覚えていないタイプか。
しかし酔いが覚めるのが早いな。VITに振っているおかげか?
ちなみに俺は完全に素面だ。アルコールの味は感じたんだけどね。
ケイに酔っている間の事を伝えると、やはり覚えいないようで、顔を真っ赤にしていた。
「そ、そんな事より、フィオはどうしたの?
なんだかリスみたいになってるけど…。」
『ストレスが溜まるとリスに擬態してやり過ごす体質なんだ。
おいフィオ、いい加減正気に戻れ。しばらくは酷使しないから。』
「もごっ、もがが、もがもごごごごっご!」
『いや飲み込んでからでいいぞ。』
「はっ、わたしは一体何をっス!」
『戻ったようだな。死んだ目で地図を描いてたからクッキーを突っ込んだらリスになったんだ。』
「そうっス、過剰な労働により心を病んでいたっス!
労働条件の改善を要求するっス!
あ、クッキーは美味かったっス。」
『そうだな、今後は仕事が溜まらないようにすぐに説明を求めるようにするぞ。』
フィオはテーブルの上で膝とひじをつき、うなだれてしまった。orz状態である。
「あなたとフィオって、変わってるわね。エルフでもフェアリーを連れてる人はいたけど、こんな風に喋ってる人なんて居なかったわ。この町でもそうだったし。
それに、あなたが魔法って言ってる不思議な力、本当は魔法じゃないのよね?」
『流石にそろそろ誤魔化すのも無理があるよな。
ケイはさ、モンスターの中にボスというか主というか、すごく強い個体が居るのは知ってる?』
「ええ、知っているわ。私が生まれる前だったけど、神様がすべての人々に倒さないと人類は滅びるってお告げを下さったと聞いているわ。倒すための戦士を使わすとも。…あなたが?」
『まあ、そんな感じ。色々と便利な力を貰ってこの世界に来たんだ。
ここで生きている人たちにしてみたらズルいかもしれないが、ボスを倒したら居なくなるからしばらくは目をつぶっていてくれると助かるよ。』
「そんな事ないわ…あなたが居なければ私もレオも生きていなかったかもしれない。
たとえ貰った力だとしても、助けてくれたのはあなただわ。」
『よしてくれ、俺は神様じゃないんだ。たまたまだよ。そろそろ帰るとするか。』
俺は強引に話を打ち切ると席を立って店を出る。前金制なので店の人にご馳走様とだけ伝えておく。
慌てて後ろに着いてくるケイと、フヨフヨと耳元まで近づいてくるフィオ。
「あれれ~、ご主人、照れてるっスか?
助けた美少女に面と向かってお礼を言われて照れちゃったっスかぁ?」
ふふ、こやつめ。明日の夕飯時も根掘り葉掘り聞きだしてやる。
『うるさいやい、さっさと帰って寝るぞ。』
そうしてシーファの町の1日目の夜は更けていった。
地図書いてみたよ! 俺のために!




