player.addtale 15 エルフの砦
さて、行先が分かった所で移動開始、と行きたいところだが、流石にこのまま徒歩で向かうのは無謀が過ぎるというもの。目的地である山脈の切れ目というのは近い事もあってここからでも見えてはいるが、フィオ曰く3000m級の山脈らしいので、切れ間が谷で勾配が少ないとはいえ、歩いて今日中につくのは無理がある。ケイもいるしな。助けてコンソール。
起動してHelpコマンドで探してみるが、移動速度をいじるコマンドはなかった。
まあそうだよな、ゲームならパラメータの一つであるが、この世界は普通に歩いて移動だもんね。
弄れちゃうと足の動きと進んだ距離が合わないという現象等々、不都合が多すぎる。
ここはひとつmovetoコマンドの移動で何とかしてみるか。
俺は一旦コンソールを終了して、ケイに声を掛けた。
『これから山脈に向かって移動するんだが、一度俺の姿が消える。
が、すぐに合流できるので落ち着いてそこの茂みに隠れていて欲しい。』
「どういう事なの…?」
いやそうだよね。俺も自分で言っててどうなのって思ったわ。
だが説明は面倒だから押し通そう。
『まあ魔法みたいなもんだ。説明は後でするからとにかく慌てないで欲しい。それじゃ。』
強引に話を打ち切り、コンソールを起動する。
まずは先に俺が移動だな。
『フィオ、真西ってどっちかわかる?』
「うう、やっぱりコンパス代わりに使われるっスね…。こっちっスよ。」
フィオが指さした方角はほぼ目的地の谷間を指していた。
これなら経度だけ移動すれば大丈夫。しかし、コイツ便利だな…。
tcl
player.moveto 33, 52, 5000
例によって念のため高度取って移動すると、目標の谷間まではまだ少し距離があった。
急いでコンソールを起動し、再度移動する
player.moveto 33, 52.5, 5000
移動距離をさっきの半分にして刻んでみたところ、丁度山の麓あたりに出たので、高さを調整して当たり判定を戻して着地、しかる後すぐにコンソールを起動してケイを呼ぶ。
MOBbst000BF9C01.moveto player
コンソールを終了すると目の前に慌てた様子のケイが現れた。
景色が変わった事に更に慌てているが、目の前にいる俺と目が合うと今度は怒りだした。
「一体どうなってるのよコレ! タローがいきなり消えたと思ったら今度は森の中なの?!」
『いや、そのな、魔法的な何かで目標の山まで移動したんだ。俺が先に消えたのは行先の様子を見るためで、その後すぐにケイを呼んだんだよ。』
「あ、ほんとだわ…山がこんな近くに…。魔法って凄いのね!」
よし、上手い事納得してくれたようだ。ホントは魔法じゃないんだが説明が大変そうなので、このままにしておこう。チート能力は秘匿されなければならない決まりだしな。
『とりあえずそろそろ日も沈むし、今日の所はいい感じの野宿できそうな場所を見つけよう。』
俺にサバイバルのスキルは全くないが、流石に2日目も野ざらしで寝るのはちょっと勘弁して欲しい。いい感じの岩棚とかないかなぁ。体の汚れは浄化のスキルで綺麗になるのは確認済みだが、汚れる事自体の不快感はそのままだからな。
という方針で山脈方面に歩き出して1時間、街道というほど整備はされていないが、オフロード車なら通れるかなって感じの道を進んでいたところ、野営に適した場所を見つける事ができた。
石を組んで作られた立派な砦である。
木組みの物見やぐらもあるし、周りはぐるりと先を尖らせた丸太で柵が作ってある。
櫓の上や柵に設けられた門にはエルフと思われる人たちが周囲に目を光らせている。
うーん、どう見ても砦。それも国境を警備してる感じの奴。
この辺まではエルフ至上主義国(仮名)のテリトリーなわけだ。
俺はいい加減眠くなってきたのと、寝床にありつけないイライラから雑に作戦を立てるとケイに伝えた。
『ちょっと潜入して制圧してくるわ。ケイはここで待ってて。』
「ま、待ってよ! いくらあなたが強くても砦よ?
一人で制圧するなんて無理に決まってるじゃない! 迂回して別の道を探すべきよ!」
『とても正論だが俺はもう面倒になってしまってな。今日の宿はアレに決めたんだ。』
そう言い残して走り出し、あっという間に門の前に到着する。
こちらを見つけて「なんだお前」とか門番が言い出しそうだが、言わせる前にコンソール起動。
IDを読み取ってこうだ。
MOBelf000119C01.SetUnconscious 1
コンソールを終了させると門番は崩れ落ちた。
これで門はクリア。この感じでドンドン気絶させていこうねぇ。
石仮面を被り門に手をかけると裏に閂があるのが分かったので、オブジェクト操作で外し、堂々と正門からエントリー。あけ放った後、コンソールを起動して片っ端から気絶させていく。
2本の櫓の見張りの人に始まり、中央の広場で宴会してた兵士らしき人、歩いてた人すべてにコマンド打ち込むのはちょっと骨が折れたが。
コンソールを終了するとドサドサっと倒れていき、少し仕事人気分。
その後も倉庫や宿舎っぽいログハウスの中も改めつつ人が居れば気絶を繰り返し、残りは立派な石造りの建物だけになった。
こういうのは大抵ボスっぽいのが居たり、地下牢に誰か囚われてたりするんだよな。
それはそうと今日からここは俺の家なので出て行ってもらうんだけどな。
いざ突撃。




