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異世界チートコンソール  作者: 鬼頭 輝
1/32

player.addtale 1 30分待ってください

― チート

  英語:cheat


  (1)ずるいこと。いかさまをすること。

   特にゲーム等において改造を施し、自らに有利な動きをさせることを指すこともある。

  (2)(1)より、ずるいと感じるほど強いことまたは強い者のこと。



「30分待ってください、私が本物のチートってやつを見せてやりますよ。」

目の前に現れた美少女は開口一番、そう言った。





時は少しさかのぼる。

俺の名前は山田太郎。記入例みたいだが本名だ。

役所で名前を書くとたまに本名を書いてくれと一悶着あるが、シンプルで俺は割と気に入っている。


年齢は35歳。なんでもそつなくこなすが今一つ情熱のない男…。

欲が無いといえば聞こえはいいが、飽き性でめんどくさがりな性格なだけである。

問題を起こさない程度のギリギリの社会性は持っているが、欲が無いという事は、裏返せば何かに打ち込んだり、目標を持ったりもできないという事でもあるので、人生に張り合いも出ない。


ほどほどの会社でそこそこに働いており、生活には困ってはいない。

要領はいい方なので仕事を覚えるのは早い方だが、何をやっても人並み程度にしかならないのが原因で万年平社員である。

一芸が求められる昨今、同期が上の役職に行くにつれて肩身の狭い思いをしている。


若いころは周りに気をかけてくれる人はいたし、自分でもなんとか生き甲斐的なものを見つけようと色々と試したりもした。

今となっては何も手につかず、徐々に気にかけてくれる人も離れて行き、なんにもない男が一人寂しく生きてるという結果になってしまったが。

とはいえ、やる気がなくても暇は持て余すもので、色々な趣味に手を出してはすぐ飽きて放り出すという悪循環を重ね、ついには手ごろな趣味といえるものが無くなってしまった。

小人閑居して不全を成す、なんて言葉があるが、暇を持て余すとろくな事を考えないもので、「空からかわいい女の子でも落ちてこないかなぁ」などと益体もないことを考えながら毎日を過ごしている。



久しぶりに仕事が詰まって徹夜した翌日、帰宅中に信号待ちでぼんやりしていると、反対側から寝ぼけた女子高生が歩いてきていた。

さらに道の向こうからはトラックが出現。

目を凝らして運転席を見るとどうも居眠りをしているようだ。

あまりにもどこかで見たようなシチュエーションに一瞬呆気にとられてしまったが、とりあえずは助けなければと走り出した。


走りながら「無事に救助できれば表彰もんだし、轢かれてもワンチャン異世界転生だぜ」などと打算的な考えが頭に浮かぶ。おそらくこの時は徹夜明けという事もあり、テンションがおかしかったのであろう。

疲労に加えて年齢的な衰えを感じる体に鞭を打って女子高生を突き飛ばし、トラックの進路から除けると、すでにトラックはもう目の前だった。




目を覚ますと真っ白な天井が見えた。

「知らない天井だ」と呟きたいところだったが、正直パニック状態であったため失念していた。

痛みはすでに消えていたが、痛かった記憶は残っている。辛い思いを避けてきただけに痛みには弱い方である。


気を紛らわせようと周りを見回すと、壁も天井も真っ白い部屋で、照明もないのに妙に明るい。「テンプレお約束の白い部屋だこれ」なんて思っていると、例によって、お約束通り何もない所から少女が現れた。


肩口に切りそろえられたプラチナブロンド、碧眼で肌は白い。

ただ、白人系の白さではなく、色白のアジア系が近いだろうか…整った造形や作り物めいた肌をしている。眠そうなたれ気味の目元に、勝気そうな口元がギャップとなっており、なんだか生意気そうな雰囲気を醸し出している。身長は150くらいと小柄で、白いワンピースのような服を着ていてわかりにくいが、スレンダーな体型と思われる。美少女と言っても何も問題ない容姿ではあるが、整い過ぎていて非人間的な感じも受ける、アニメや3Dのモデルがそのまま出てきたような印象を受けた。


そしてその美少女が口を開く。


「30分待ってください、私が本物のチートってやつを見せてやりますよ。」


『美味〇んぼかよ!』


思わず声に出してしまった。

神っぽい美少女が出てきて第一声が某グルメ漫画のセリフをパロった物だったのである。ツッコまなければ逆に失礼になってしまうレベルであろう


「ネタをわかってくれて嬉しいわ。

 それじゃあなたの現状を説明するわね。

 死んだのでチート能力を渡した上で異世界に行って貰います。拒否権はない。」


「ちなみにあなたを連れ出すにあたって一通りの思考は読み取らせてもらいました。

 この体はその際に一番好意を得やすい姿にしてあります。どうかしら?発情する?

 ほんとは褐色巨乳銀髪の方がよかった?」


褐色巨乳も捨てがたい…いや、中身が残念そうだからちょっと無理かな…。

もしかして、あんな事やこんな事を若干考えたりしたのを読まれてたり、聞こうと思った疑問に先回りして答えてくれるパターンかな?


「まあ大体考えている事は予想できるけど、リアルタイムの思考を読み取ってるわけではないわ。

 妄想するだけなら罪にはならないし、疑問はちゃんと質問してね。

 さて、それでは30分質問を受け付けますので聞きたい事があればその間にどうぞ。」


マジで30分待ってくださいだったのかよ…。

まあプライバシーが守られるのはいい事なんだけど。

しかし、異世界転移か…、人を助けてトラックに轢かれてとかベタベタなんだけどそのあたりも手配されてたのかな?

実際の所、会社と家の往復の人生に特に未練とかないし、両親含めて親類縁者と親しいわけでもなかったから別にいいかなとは思う。放任主義というかドライな感じで育ててくれた両親には感謝してはいる。もしかしなくても悲しんでくれるとは思うが、優秀な兄が残っているので大丈夫だろう。

というわけで前向きにこの状況を解決する質問でもするか。


『そうだな…あなたは何なのか、何故俺なのか、それと異世界とやらに行く理由が知りたい。』


「この流れでスッと質問が出てくる順応力はちょっとヒくわ。」


やかましい、さっさと話を進めて欲しいだけだ。



誰かこんな感じの設定で話書いてくれないかなぁ。

と思ってたけどあんまり無いので自分で書くことにした。

ちょっと導入部に追記しました。

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