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誰だ、こいつら喚んだ馬鹿は  作者: 赤木一広(和)
第一章 盗賊同盟
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005.(まっとうな)異世界人との交流


 村に辿り着くと、村人たちは大猪とそれを引きずって運ぶ二人の女傑に大層驚いていたが、魔法使いたちが山中に居ることを知っているため、その関係者ならばとすぐに納得した模様。

 前に来た時涼太が話をした青年が、嬉しそうに話をする。


「前の肉、あれきっちり血抜きしてくれてたんだな。猪の肉なんざ食ったことねえからどんなもんかと思ったが、ありゃすげぇわ。処理間違えなけりゃとんでもなくうめぇ肉だ」


 血抜きのやり方に関しては、秋穂がかなり上手くやれているようで。凪がそうしたものより妙な臭みは少なかった。

 ただやはり持ち込んだ量が村側が想定していたよりずっと多かったせいでか、支払いきれないと彼らは困った様子であった。

 本来はあまりそうすべきではないのだろうが涼太は仕方なく、肉は全て置いていくから村人が今出せる分だけもらって帰ることにした。

 最初に村に来た時、凪の整った容貌に村人たちは皆釘付けであったのだが、今回大猪を引きずりながら来たせいか、凪にも秋穂にも興味はあるのだろうが不躾な視線を向ける男はいなかった。

 美人はトラブルの元なので、村人との交渉は全て涼太が行う。

 衣服やらパンやら野菜やらが手に入りそうなのでとても上機嫌の涼太を他所に、凪は解体作業に取り掛かろうとしている村人の様子をじっと見ていた。

 自分の解体のやり方で良かったのかどうかを確認したかったのだ。秋穂から改善点を指摘されていたこともあり、もっと良いやり方があるのなら教えてほしいとも思っていたのだが、彼らは解体云々の前に、あまりの大きさに何処から手を付けていいのかわからぬ様子であった。

 少しの間躊躇した後、凪は彼らに声を掛け、その人間離れした腕力で勢いよく皮を開く。

 内臓を引きずり出す過程で切り込みを入れておいたので、綺麗に皮は裂け肉が露出する。彼らは猪の解体は経験がないようだが、それ以外の獣ならば解体したことがあるようで、多少の説明ですぐに要領を掴んでくれた。

 そうなれば後はよってたかって肉を削り取っていくだけだ。

 作業途中で、ここはもっと丁寧にやったほうがいいだの、内臓の抜き方がどうのといった話をしているうちに、自然と凪も彼らと会話をするようになる。


「んー、こっちは私がやったんだけど、まだまだ血抜き甘かったわね」

「こんだけでけぇ猪だ。鳥や鹿みてぇにはいかねえだろ」

「俺ぁ多少の血の匂いはあったほうがいいけどな」

「ばっか、お前、昨日この人らが持ってきた肉食ってねえからそんなこと言えるんだよ。血抜き完璧な猪肉ホントすっげぇんだって」

「わーるかったわね、私のは血抜きが甘くて」

「うはは、次は上手くやってくれよな。まあ当分はこれだけで十分だけどよ」

「あら、そうなの? 燻製とかってできない?」

「もちろんするさ。てかこれ全部食いきるとか村中総出でもありえねーって」

「そうなんだ。だったらもう一匹二匹狩ってきてもいいかも。保存する場所ある?」

「おいおい、そりゃ随分と剛毅な話だな。あと一匹ぐらいならどうにか保存もできるが……さすがに払うもんもーねえぞ」

「どうせ訓練のついでだし構わないでしょ。……あっ、えっと、ごめん。今のナシ。そういえば楠木に安売りするなって言われてたんだったわ」


 僅かな沈黙。そして村の男たちは大いに笑いだした。


「ぶっははははは。正直なねーちゃんだな」

「もちろんタダでくれるってんなら大歓迎だぜ」

「行商人来るまで待っててくれりゃ、もっと色々出せるようになるからその時に是非頼むわ」

「アホか、行商人いるんなら俺ら通さず直接行商人と取引してもらえばいいだろ」

「えー、それじゃ俺らおいしくねーじゃん」

「俺らが狩ったでもねーのにこれ以上おいしい目見れるか。あんまりに欲深すぎると氷の国の館に入れてもらえねーぞ」


 バツが悪そうにしつつ凪は言った。


「あ、あはは。おすそわけ程度なら楠木もうるさくは言わないと思うわ。とっ、とにかく今はこれっ、解体急ぎましょ」


 誤魔化すようにそう言う凪に、男衆は笑いながら解体を進めるのであった。




 一方、秋穂は村の代表と交渉中の涼太の傍に控えたままであった。

 秋穂の目から見て、村人たちが何かを企んでいるようには見えなかったが、それでも警戒は怠らない。

 凪なら何かあっても自力でなんとかしよう。なら秋穂はそうできない涼太を守るのが役目だ、と自らに課していた。

 ベネディクトは自身の存在を隠したいらしいので、村はずれで待機中である。

 涼太は交渉に加え、雑談交じりに色々な情報収集まで行なっている。

 消去法で決まった交渉担当だったが、今ではこれが最善だったと思える。人見知りも物怖じもしない涼太の性質は、こういった場面に向いているようだ。

 これまでに秋穂が見たこちらの世界の人間は、ベネディクト(見た目がネズミなだけの人間だと秋穂は思っている)と女性の人権とやらに欠片も興味が無さそうな盗賊である。

 まっとうな人間との出会いはこれが初めてだ。

 彼らは思っていたよりずっと純朴な人間に見える。


『ベネくんから聞いてた話だと、農村地域の住民は大した教育も受けてないはず。なのに、善悪の基準をはっきりと持ってるように見える』


 文字を読めるのも村に数人のみが普通で、この村でも文字が読めるのは村長の一族ぐらいである。

 秋穂は祖母の教えを思い出す。異国に行った時、まず注意すべき事柄が幾つかあったが、その内の一つにこのことも含まれていた。


『宗教、かな。低い識字率の中で道徳規範を学ばせようと思ったら、宗教が一番効率が良かったはず』


 ならば彼らの基準を知るにはその教義を知るのが一番てっとり早い。

 最初にベネディクトと邂逅した時、秋穂はこちらの世界での常識を、他の人と遭遇する前にベネディクトから聞き出そうとしていた。

 そうして色々とベネディクトに質問した時のことを思い出し、思わずくすりとしてしまう秋穂。


『ベネくん。自分では普通のつもりみたいだけど、アレ多分、かなり浮世離れしてると思う。当人魔術の研究ばっかりしてたって言ってるし、かなり身分の高い、もしくは裕福な生まれだったのかな』


 わはは、と笑い声が聞こえてくる。

 涼太と村長たちの話し合いはそれなりに盛り上がっているようだ。本当に、涼太が居てくれて助かったと思う。

 離れた場所からも笑い声が聞こえるし、解体の手伝いをしている凪も上手くやっているようだ。

 よかった、と思わず油断してしまいそうな意識を引き締める。

 ここは、秋穂の知る世界ではないのだ。どんな失敗をやらかそうとなんとかしてしまいそうな祖母は、ここには居てくれないのだから。






 村からの帰路はそれはそれは賑やかなものであった。

 ようやくまっとうな現地人と交流ができたことで、生活の目途が一気に立ってくれた。衣類も穀物も、更には果物まで手に入ったのだから、栄養の問題はおよそ解決したと言っていいだろう。

 また山で暮らすための知識を教えてもらえるよう話もつけてあるし、涼太たちからは時折でも大猪を一頭提供すればかなりの便宜を図ってもらえそうだ。

 何よりも、現地の人と上手く交流できたのが嬉しかったようで、涼太も凪も、村のだれだれが面白いだの、だれだれが頼もしいだのといった話を飽きもせず延々している。

 この異世界に放り出されて今日で四日目だ。見知らぬ異国に放り出されて四日目にしてどうにか生活の目途が立ってくれたのだから、随分と上手くやれているほうなのだろう。

 やはりベネディクトと出会い、魔術によって言葉の壁を乗り越えられたことが大きい。

 秋穂はちらとベネディクトに目を向ける。


『運が良かったんだろうね、きっと。ベネくんに出会ってなかったらって思うとぞっとするよ』


 そのベネディクトは定位置である秋穂の肩の上だ。


「盗賊の件は村に伝えたのか?」

「うん。何かあったらすぐ逃げられるようにしとくって」

「それで何処まで被害を防げるか疑問ではあるが、とはいえ他にどうしようもないか。普通の盗賊ならば村を襲うなんて規模にはならんものなのだが……」

「そんなに危ないの?」

「わからん。数多の盗賊団が集まって、やることは辺鄙な村の略奪だというのなら、そんな程度の盗賊団なんぞリネスタードの兵士たちだけで容易く蹴散らせるであろう」

「規模が大きいんなら、村一つをわざわざ襲うような真似はしないって?」

「お前たちも見ただろう? 村に金なんぞない。収穫を奪うか? 山の幸でも譲ってもらうか? 馬鹿馬鹿しい、連中が欲しがるようなものは何一つ村にはないぞ」

「なら大丈夫?」

「そういった当たり前の判断が、冷静な思考ができないからこそ盗賊なんて愚かな真似をしているのだろうから、その質問に対する私の返答はわからんになるわけだ」


 盗賊が大規模になれば都市や国から討伐隊が編成される。かといって小規模ではそれこそ商隊にすら返り討ちに遭うこともあろう。

 官憲の目を掻い潜れるだけの小規模さで、少人数の旅人を狙う程度が盗賊風情にできること、というのがベネディクトの主張である。


「少なくとも、だ。アキホが聞き出したような大規模盗賊団の結成を企むほどの者であれば、村一つを襲う無意味さも理解していよう。こう言ってはなんだが、村一つ襲うよりアキホとナギをさらうでもしたほうが、よほど連中にとっての利益になろう」

「……ぜんっぜん嬉しくない評価だねそれ」

「それだけの価値がお前たちの美貌にはあるということだ。頼むから用心を忘れないでくれよ」

「はーい。……どこ行っても、これはついて回るんだなぁ」


 それは人間であった頃の癖なのか、ベネディクトは自らの頬を爪でかく。

 愛くるしい小動物がそうする様は、少し離れた場所からこれを見ることができた凪と涼太に多大なる衝撃を与えたものだが、それはまた別の話である。


「リョータも意外そうだったが私も同じだ。美人とはただそうというだけで得をする生き物だと思っていたのだがな」

「……愛玩動物であることを受け入れるのなら、それもまた事実だと思うよ」

「愛でてくれるのであればよいのではないか? 笑みの一つで便宜も図ってもらえように」

「そーいうのがヤな子もいるって話よ」

「すまん、全くわからん。何故効率的な手段を否定する?」

「ふふっ、そうだね。あんまり効率的じゃないかも。でもね、人間って、便宜を図ったならその分見返りを求めるものなんだよ。その見返りと便宜の量が、常に適正であるなんて保証はどこにもないんじゃないかな」

「あー……ふむ、そう言われれば……なるほど。ようやく理解できる話になってきたな。それならば一方的に便宜を図り、見返りを強要するなんて話もありそうだ」

「うん、それもあった。ベネくん理解が早くて助かるよ。みんなが美人に親切にするのは、美人に好意をもってもらって優しくしてもらいたいから、だからね。まるで優しくしてくれない美人に対しては、もう憎悪するとかそーいう勢いになる人もいるよ」

「そこまで極端な……話、あったのか?」

「全員がそうじゃないけどね。それに、人に好かれるっていうのは、好いてくれた人の周囲にも影響を与えてるってことでもあるから。……まあ、いいや。この話やめない?」

「っと、すまん。あまり好ましい話ではなかったか」


 二人の話は別の話題に切り替わっていく。

 これを聞いていた涼太と凪。涼太はぼそりと凪に問うた。


「お前も、そういうのあったのか?」

「……私は……」


 そこでくすりと笑う凪。それが自虐するようなものではなく、本当に楽しそうに笑って見えるものであったから、涼太は少し安堵した。


「徹底的に拒否してたから」

「なんだそりゃ」

「可愛げがない。冷酷非情。そんな話、聞いたことない? 男子はほとんど全員、女子も私に男紹介するような馬鹿は、全員冷たくあしらってたのよ。学校じゃほとんど誰とも会話らしい会話無かったのよ私」

「……なんで?」

「つまんないから。ああ、男子だけど、楠木はもう違うわよ。こんなところに一緒に飛ばされた仲間だし、それに、楠木って結構、いい感じで気を使ってくれるし。私、楠木と話するのあんまり嫌じゃないもの」

「そりゃどうも。あと、褒めてくれるんならできればもっと具体的に褒めてくれ。それじゃどこを褒められてんのかまったくわからねえ」


 涼太の返事のどこが気に入ったのか、凪は腹を抱えて大笑いを始めた。

 どういうことだよ、とちょっと不貞腐れそうになった涼太であったが、笑う凪があまりに楽しそうだったので文句を言う気も失せてしまう。

 しばらく笑った後、落ち着いたので笑いを堪えようとするもやっぱり上手くいかずに笑っている凪と、ベネディクトと今度は愉快な話をして笑っている秋穂を見る。

 涼太の学校には、他にも美人と呼ばれる女生徒はいた。

 だが、そんな美人たちと、この二人は何処か違うのではないかと涼太は思う。美人どころか、並の女子高生としてすら見るのが難しいような。


『てかコイツら、なんか色々と変じゃね? 話だけ聞いてるとすっげぇ社会不適合者気配漂ってくるんだけど』


 もちろん、それを言葉に出して訊ねるほど愚かではない涼太であった。






 その男は、見上げんばかりの大男で。その巨体だけでも強さの説得力は十分だったが、彼はそれだけの男ではなかった。

 背負った他の誰にも持てぬだろう巨大な剣を縦横自在に振り回し、これだけの質量の大剣を用いて剣技を駆使することができるのだ。

 二十三人斬り。その呼び名には僅かな誇張もない。たった一人で、二十三人のヤクザ者を叩っ斬ってみせたその男の名を、エドガー・オーケという。

 エドガーが十五人の配下と共に砦入りすると、砦の中には中庭に見えるだけでも三十人近い男たちが集まっていた。

 エドガーは隣の配下に言う。


「おうおう、結構な数が集まってるじゃねえの」

「うーわ、見てくだせえよ。数だけじゃありませんぜ。どいつもこいつもひでぇ面構えしてやがる。人ぶっ殺すのなんざへとも思ってねえクソ共ばかりじゃねえですか」

「どうやったかは知らねえが、きっちり仕事のできそうな連中ばかり集めてくれてんじゃねえの。やるじゃねえか、盗賊王ホーカン・ポールソン」


 良心や道徳心といったものを親の腹の中に忘れてきたかのような連中である。

 一般的感性の持ち主が見れば、発見し次第即座に殺害含む全ての手段を用いて排除すべき対象であるのだが、同じ盗賊であるエドガーから見れば頼もしい同業者に見えるようだ。

 エドガーはそのまま部下の一人と二人のみでホーカンの下に行き、その配下に加わることを伝える。

 人によっては、エドガーがその配下になると言うと途端に態度を変えたりする者もいるのだが、ホーカンは淡々と、だがエドガーの持つ名声を称える言葉を口にしつつ、挨拶とした。

 如才ない、だが盗賊業界では珍しい、当たり前の人付き合いができる相手であった。


「アイツ、多分すげぇ頭良いぞ。おい、当分はアイツの下でやっていくぞ、ありゃ絶対金儲け上手いわ」

「エドガーさんは上にドが付く下手くそですからね、金儲けは」

「……苦手なんだよ。他人の機嫌取るの」

「知ってます。いいんっすよ、エドガーさんは殴り方だけ上手きゃ」


 盗賊王ホーカンへの挨拶を終えたエドガーが配下と共に砦の入り口を見ていると、辺境では名の知れた盗賊が続々と姿を現す。


「エドガーさんほら、アイツ知ってます? あの細身の男、火付けのヤンネですよ」

「げ、あのイカレ野郎まできたのかよ」

「北の都市で何度も火付け繰り返して、しまいにゃ下町全焼するような大火事起こしたって話ですぜ」

「絶対頭おかしいぜアイツ。よくもまあホーカンの奴もあんなの呼ぶ気になったよな」

「ホーカンさんの基準ってよくわかんねーっすよね。ほら、あの見張り塔の下の奴。あれ誰だか知ってます?」

「いいや。おっまえ、ほんと色んな奴知ってるよな」

「そりゃ、エドガーさんみたく名の通った相手だろうとぶった斬るってわけにゃいかねーっすから。アイツ、アーレンバリ流の恥晒し、女殺しのカスペルっすよ」

「ありえねぇ……ほんと、何考えてんだよホーカンは」

「案外、基準ははっきりしてるのかもしれませんね」

「ん? どういう意味だ」

「強さっす。ヤンネもカスペルも、頭おかしいけどべらっぼうに強ぇって話ですぜ。ここらで強いって言われてる盗賊は、これでほぼ全員揃ったんじゃないっすかね」

「まさか、シーラ・ルキュレもいるのか?」

「ありゃ盗賊じゃねえでしょ。さっき聞いた話じゃシーラに話は通してあるらしいから、あのイカレ女がこっちに突っ込んでくるって話はねえみたいですぜ」

「……そう、か」

「そこで本気で残念そうな顔できるんだから、エドガーさんも大概だとは思うっすけどね」

「やってみてえってのは誰だって思うだろ。何せ辺境最強剣士の一人だ。……まあいいさ、その前にヤンネとカスペルがいるってんなら上等だ」

「あー、やっぱり、やる気っすかエドガーさん」

「あったり前だ。わざわざホーカンの奴があの二人集めてくれたんだ。見逃す手はねえだろ」

「それでホーカンさんと揉めたら?」

「ホーカンの強さを確かめる良い機会ってやつだな」


 ホーカンさんの下でやってくって話はどうしたんっすか、と男がぼやくと、エドガーはがははと豪快に笑う。

 ヤンネにしてもカスペルにしても、そしてこのエドガーにしても。一筋縄ではいかないのはわかりきっていたはずだ。にもかかわらずこれを招いたホーカンには、何かしら勝算でもあるのか。

 そんな不穏極まりない気配を感じていながら今も大笑いを続けているエドガーと違って、男はまっとうで普通の一般盗賊でしかなく、魔獣の巣穴で焚火をするような酔狂な真似をするつもりはないのだ。


「揉めるのも殺し合うのも結構ですがね。あっしらが逃げる算段ぐらいは立ててから仕掛けてくだせえよ」

「わかってるって。いつもそうしてるじゃねえか」

「いつも俺らのこと無視して無茶すっから言ってんでしょうが! どんだけ有名になってもウチの人数が十人ちょいなのはエドガーさんが無茶ばっかするせいなんっすからね!」


 男の剣幕に、エドガーは即座に両手を挙げて降参の意を示す。

 人数多いほうが儲け話もデカくしやすいのだから男がエドガーを責めるのも当たり前で。改善する気は欠片もなくとも悪いことしてる自覚はあるエドガーは、謝るだけは素直に謝るのであった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 猟で仕留めた後、血抜きすると美味しくなるという描写が良く出てきますが、血自体はソーセージの原料になるくらい臭みの有るものではなく、原因は傷口から入り込んだバクテリアが血管に入り込んで全身に猛…
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