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18歳の5か月の片思い   作者: 沢城 健也
23/28

21 さらば 2

本山に呼び止められ裕一は

「なんすか?」

と答えた

本山の顔を見ると

顔には涙の跡とまだ流れていない涙が目に溜まっていた

あえて本山の顔を見ていなかったが

「先生泣いてんすか」

と思わず聞いた

「だって...本当に申し訳なくて...」

「君みたいな...まじめな生徒が学校を去っちゃうのが....悲しくて悲しくて...」

「本当なら...私が責任取る立場なのに...」

泣きながら答えていたのがよく分かった。

これまで本山のことをクールな女だと思っていたが

そこにはクールな本山はいない。

裕一は持っていたティッシュを渡した

「これで顔拭いて」


そして本山の目線に合わせて

「先生...俺は決して真面目ではないっす」

「先生がいたから今までやって来たんです。」

「今日で学校をやめるけど先生は残った奴らや来年から入ってくる生徒に、整備のこと教えてください」

「今回の事故の怖さも教えて下さい」


そして裕一は最後に

「先生」

「俺先生のこと好きだったんですよ」

「この間の研修先の帰りで彼氏がいるのは初めて知ったけど」

「だから俺は先生の今後の教師生活や先生の女としての幸せをだた祈っています」

本山はボトボト涙をこぼしながらうなずいてた。

「もういつまで泣いてんすか、きれいな顔が台無しすっよ、ただでさえ先生には涙は似合わないんすから」

「これからも頑張ってください」

と伝えた

本山は下を向きながら話を聞いていた

「...ありがと....」

と急に顔をあげ裕一の顔に寄せ

そっとキスをした。


一瞬の出来事だったが

お互い顔を赤らめていた

「ありがとう、いろいろ励ましてくれて、みんなには内緒だよ?」

「はい...]

「そんじゃ俺工具取ってさっさと帰ります」

「今日親に内緒で来てるんで笑笑」

「ふふ...はいはい」

そこには涙を流してない笑顔の本山がいた。

一度職員室に戻り荷物を置いて本山と共に工場に向かった


工場では実技試験が行われていた。

だが見えない位置に工具置き場があるので自分の工具を持ち静かに去った

一瞬、京一がこちらを見たような気がしたが気にしなかった。

再度職員室に戻り教科書などを受け取り正門前まで行った

「もういくの?」

「えぇ早くいかないとババァに怒られるので」

「ババァって言わない」

「これでも怪我人なもんで笑笑」

「しっかしどうやってこの荷物を車まで運ぼうかな...」

悩んだが

「ここで私、待ってるからここに車入れていいよ」

「じゃあお言葉に甘えて」

裕一は車を取りに行った

数分後裕一が乗った車が正門前に来た

本山と共に荷物を入れた

「これでサヨナラだね...」

「えぇ..」

「先生元気で」

「うん君もねまたいつか会える日まで」

「そんときゃサイボーグにでもなってますよ!」

二人は固い握手をし

車に乗り込んだ

そのとき

『裕一!』

と博と京一の声が遠くから聞こえたが

車の音でほとんど聞こえず

本山に

「それじゃ、さいなら!元気で」

と言い爆音を立て学校を後にした。

京一と博が走って来た頃には裕一の車はもう見えなかった。

「先生!今のって...」

京一が聞く

「そうよ...彼よ」

本山は言った

工場に戻り生徒に

「先ほど御木本君が学校に来ました。本人の希望で本日付けで彼は学校を辞めました。」

クラスメイトはどよめいた

だが本山は

「さぁ!気持ち切り替えて!期末の残りをやりましょう!みんな頑張って!」

そこにはもう何もかも吹っ切れた本山がいた


裕一は

「なんだよ悪かったって」

運転しながら携帯で話をしていた

「うっさい!あんた事故しない程度に帰ってきなさい!」

と母、瞳に言われ電話を切られた

「ったく..いちいちうるさいおばぁさんだこと...」

などといい帰路に着いた

ふと本山にキスされたことが思い出してしまったが

「さぁーて!俺は俺なりに頑張りますか!」

と意気込みアクセルを踏み込み家路についた

「やっぱ足痛ぇー!」


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