20 さらば 1
12月の初め
頭に包帯を巻き腕を体に固定した裕一が駅から歩いていた
「くっそー遠いなぁ...」
「まぁ帰りは車だから良しとしよう」
などと独り言を言いながら学校に向かっていた
彼は今日慣れ親しんだまでとはいかない学校と京一達と別れる日だった
学校までの道のりの間にたくさんに人が裕一を見て驚いていた
しばらくして学校に着いたが駐車場に止めている自分の車に会いに行った
「よぉ元気だったかぁ7ちゃん」
「ずいぶん汚れちゃって...あーあ」
暫し自分の車を見てから
学校に向かった。
学校につきまず一級の職員室に向かった
「失礼しまーす。一級の御木本っす」
「本山先生か緒方先生いませんかぁ~」
全員裕一の顔を見て驚いた
すると
「御木本!」
緒方が駆け寄ってきた
「もういいのか」
「心配かけました。それよりと、はいこれ」
裕一は手に持っていたファイルを緒方に渡した
それは退学届けだった
暫し緒方は黙り
奥の会議室に通した
「いいのか..これで...君は悪くないんだぞ」
「特別プログラムで君の補講を組もうと考えていたのだが」
と言ったが裕一は
「それはありがたいですが、今後もまだ治療に時間はかかるし通院もあります。せっかく減った補講が、通院などで増えるのは先生も疲れるし俺も疲れるので今回は俺から身を引きます」
「今は治療に専念することだけを考えてます」
と言った
「わかった、その状態なのにわざわざ来てくれてありがとう」
「この話は本山先生にも話しとくよ」
「ありがとうございます」
この時点で裕一は正式に退学が認められた。
「ついでに工具とか今日持ち帰りたいんですが」
「今はなんかやってんすか?」
「あぁ期末だよ今日は確かなんだったかなぁ」
一枚のメモを見る
「あぁ実技だ今日はみんな工場に一日缶詰だ」
「わっかりました、後はこっちでやるんでそんじゃ」
「なにかあったら呼んでくれ」
と言われ職員室を後にし教室に向かう
教室についたが鍵が閉まってない
「あいかわらず不用心だねぇ」
と言いながら戸を開け
席に向かい教科書などをバックに詰める
全部詰め終わり
「さてと後は工具だな」
と発した時だった
「御木本君!」
「へっ?」
走ってきたのだろうか息を荒げた本山がいた
「なんでいるんすか?期末じゃ」
「緒方先生が君が来てるからって今担当を変わってもらったの」
「そうっすか」
(あのじじぃこっちは静かに帰ろうと思ってたのに)
「御木本君今回はその...」
「いいっすよ別に整備士なんてどこでも取れるし」
「先生こそ俺の事故で相当責められたみたいじゃないすっか」
「まぁ結構ね...しょうがないよ死にかけたもんだから」
「校長にも怒られたし君のおかぁさんからもちょっと」
そこには疲れの色が見えた。
「あのクソババァ...」
「それは本当にすいませんでした。」
「そう言えば当のぶつけてきた馬鹿どもは?どうなったんすか?」
強引に話を変える
「三人が退学になって二人は反省文になったよ」
「そうすっか」
暫し沈黙が流れる
「てことは俺も今回辞めるから...16人まで減ったんですね」
「ここまで減ったらあと何人なんですかねぇ」
と冗談交じりに言ったが本山は黙っていた
(やべ...墓穴だったかな)
荷物をまとめて教室を後にしようとした時
「待って!」
と呼び止められた