表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18歳の5か月の片思い   作者: 沢城 健也
10/28

9 ファイルの正体

9月

新学期が始まった

クラスに入るとそこには20人しかいなかった

不思議に思たっがHRで本山は

「残念ながら4人は期末の合格ラインに達しなかったので退学になりました。

残った皆さんはこれからも頑張ってください」


この学校では二回のチャンスがあるのだが二回逃がすと退学になってしまう。


そして座学が始まった

相変わらず本山は教科書ではなくファイルを見ながら授業をしている

(なんで教科書じゃなくてファイナルなんだ?変な先生)

相変わらず裕一は授業中内容ではなくそのファイルが気になっていた。

「御木本君ここ答えて?」

「あっはっいえーと」

(えーとアルミの熱膨張か)

「アルミニウムの熱膨張は高いです。」

「正解いつもよく聞いてるわねいいよ座って」

「はーい」

そんなこんなで午前の授業が終わった

食堂に行き京一、麗奈、博、島田と食事をとるが裕一は3人より早く済ませた

今週は実習準備当番だからだ


実習場に向かい準備をする

シャッターを開け、電気をつけ、コンプレッサーを回す

すると誰かが散らかした跡があった

「おいおい勘弁してくれよ怒られるの俺なのに―」

ぶつくさ言いながら邪魔にならないようどかした

するとそこに見慣れたファイルがあった。

「ん?このファイル?本山のだ!なんでここに?」

なんとなく中を見てしまえと思ったが良心が傷んだ

だが始まりまで後30分ある

「本山ごめん」

一言ファイルに断り中を見た


するとそこには

手書きのお手製ノートが入ってたノートには赤ペンで

ここの役割は~ ここは間違えやいポイント!

などと書いてあった

他にも、担当しているエンジン構造だけではなく

電気、駆動系統、シャシーなどの自分の教科に関係ないものまで書いてあった。

「すげーなこの先生!」

思わずつぶやいた


すると

「コラ!!何見てんの!」

「へっ?」

そこには持ち主本山がいた

とっさにやばいどうするかと思たっが

血相を変えて本山が来た、もう言い逃れはできないが

「すっすいません、誰かの忘れ物かと思い中を見てしまいました」

とっさの言い訳は見苦しかった。


だが特別怒るわけでもなく

「はぁ、ごめんね散らかしたままで」

「いやこれ先生だったんですか!?いったいどうしたんですか?」

「いや、実は私、現場から離れてたから勉強がてら思い出そうと」

「え?でも、ちょっと前まで工場にいたって...」

「もちろん整備はやってたんだよだけど...でも女だからなのか整備から外されて事務をやってたの」

「このファイルはね先生になったからみんなにわかりやすく教えられたらいいなって思って書いたの」

「でも寝てたり話聞いてなかったりでうまくいってないけど...」

「やだ私生徒にこんなこと話しちゃって...ごめんね」

普段は見せない先生ならではの悩みなのかいつもの覇気がない


だが裕一は思わず、

「そんなことないと思いますよ。確かにほかの先生に比べて俺は先生の授業わかりやすいと思いますし、

そもそも寝てる奴なんか話聞いてないわけだから赤点で追試受けるんすよ、何人か学校辞めたけど」

「だけど俺は教え方に答えなんてないと思うんっすよ、人はそれぞれ違うわけだし

先生があきらめたら俺もそうだけどみんな終わりっすよ」

「わかりやすく教えようとしてる先生の話聞いて俺ちゃんと先生の授業だけじゃなく

他の教科もちゃんと話聞こうと思いましたもん」

「だから先生あんまり深く悩まないで下さいよ!」

本山はぽかんと口を開けていた

(やばい俺先生に向かって何言ってんだよ...最悪俺も学校辞める覚悟しないと)


暫しの沈黙後

「御木本君今いくつ?」

「19ですけど」

「19の子にここまで言われるとは思ってなかったわ、意外と考えてるのね」

「なんかいろいろすっきりしたわ、ありがとうね先生ってある意味手探りだもんね

私は私で頑張るから御木本君も頑張んなよ!せっかく追試超えたんだから」

「はっはい!」

「ほら、そろそろ始まるから準備して」

ふと時計を見る

「いっけねぇー先生に大口たたいてる場合じゃなかったー」

裕一は走って準備を進めた

「走るなー!」

「さぁーせん!」

「まったく、」

(大口ねぇ...確かに19の子にあんなこと言われるとは思ってなかったわ、でも吹っ切れたからいいか)

本山はふと裕一を見た

(私もがんばろ)

本山の顔にはあの笑顔があった

一方裕一は

「なんでコンプレッサー圧ねーんだよくっそ!」

よく見るとコンプレッサーの栓が抜けていた

「あーこれか!刺してっとあとは回してれば何とかなるからいいや」


その後、実習が始まった説明のときいつもより若干明るい本山がいた

皆珍しく真剣に話を聞いている

約一名除いて

(やべーよ、ほんとに俺怒られるんじゃねーのか?)

(最悪退学か?始末書か?どっちが来てもおかしくねーし)

(あーどーしよー)

裕一は若干青ざめてた


一抹の不安の中ミッション、クラッチの実習が始まった

車両からの降ろす準備中、

見周りに来る本山の顔が見てられなかった。


ファイルの中身を見た裕一

ある意味大口をたたいたがこれがどうなるかは今後に注目したい




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ