1話
ミノタウロス、半身は牛、半身は人身という異形の怪物。
ケンタウロス、半身は人身、半身は馬という神話のモンスター。
そんな生き物が居る世界でミノタウロスとケンタウロスが恋に落ち、双子を授かる…
やがて、双子は成長し。
13年が経った。
物語はそこから始まる。
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澄み渡る青空と雄大に広がる緑
そんな草原のど真ん中に木造の家があった。
「待てよー!」
「待つもんか!」
そんな風に、家の周りでおにごっこをしているのは
ヒューマンの少年と上半身は牛、下半身は馬という少年だった。
「はぁ…はっ…!」
ヒューマンの少年の方は疲れを見せることなく草原を風を切って逃げている。
一方、牛馬の方はと言うと。
「うぅ…はぁ…ぐぅ、はぁ」
息切れが酷く、ついていけていないようであった。
それを見たヒューマンの少年は
「スタミナ無いなぁ、エルスは」
エルスと呼ばれたのは牛馬の少年
「アネモス兄さんが異常なんだよ!」
アネモスと呼ばれたのがヒューマンの少年
2人は双子で小さい時から何をするにも一緒だった。
共に遊び、共に学び、時には喧嘩もした2人の間には兄弟以上の絆があった。
アネモスの方は、と言うと
ヒューマンの見た目からは想像もつかない程に力が強く、かけっこおにごっこでは負け無しと言った具合に足が速い。しかし、勉強は苦手のようで特に計算は苦手であった。
それとは対極するようにエルスは
頭が良く、記憶力に長けていて、1度覚えたものはなかなか忘れないなど、頭がよかった。
ただ、運動の方はと言うと。スタミナは一里を走ってばててしまう位に無く、力もアネモスに比べるとかなり劣るものであった。
だからこそこの2人は欠点を補い合う最高の兄弟としてお互いを認めあっているのだ。