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甘い世界なのに痛い

「それだけで、いいの?傘のお礼に奢るよ。」


オレンジジュースだけ注文したら、尚先輩がそう言ってくれた。


「ありがとうございます。でも、お家帰ったら、夕食あるので。」


ここでも食べたら、最近横に成長期入ってるので、ヤバいです。丸くなります。丸桃になります。


そう言ったら。


「あはは。ヤバいのかぁ。丸桃って言い方、果物的には美味しそうだよね。」


って、笑ってくれた。


そんな事ないよ。

とか、全然太ってないよ。

とか、言わないところが、好感度アップかも。

ダイエット女子には、下手な慰めにもならない言葉なんかいらないし。


だから、ふざけて


「丸桃は、甘くて、ジューシーですよ。」


…味見してみます?


って、唇に人差し指を当てながら言ったら。


予想通りに、わかりやすく動揺してくれたので。

なんか、可愛いなぁと思った。

やっぱり、主人公の親友ポジなんかには、勿体無い。


「それより、尚先輩こそ、食べ過ぎじゃないですかぁ?」


安定のセットメニューだけじゃなく、ナゲットまで。

尚先輩も丸くなっちゃいますよー。


「んー、朝と夜走ってるから、多分大丈夫。」


去年まで、部活入ってた時の名残かなぁ。

なんか、体動かさないと落ち着かないんだよね。


あ、でも。

ナゲットとポテトはシェアしてね。

桃ちゃんも、走って帰ればきっと大丈夫だから。

食べて、食べて。



「嫌ですよ。雨だし。」


そう答えながらも、ポテトを1本貰う。

モスのポテトはホクホクだぁ。美味しいな。

マックの細いポテトも好きだけど。

桃は全てのファストフードのポテトを愛してます。

ダイエットの敵だけど。


「丸桃になったら、責任とって桃を彼女にしてくださいね。」


彼女にして貰えるなら、ポテトもう1本貰っちゃおうかなぁ。

今度は、バーガーの残りソース付けて食べたいなぁ。



そうやって、冗談ぽく返したら。

尚先輩は、急に真面目なトーンになって。


「…ヒロシは?いいの?」


と、聞いてきた。

あぁ、さっきの話の続きかぁ。


「桃、目が覚めたんです。」


って言うか、今までが、どうかしてたんです。

やっぱり、桃だけを見てくれない人は、嫌なんです。

あのままだと、桃はハーレムメンバーの一員なだけだから。

日替りデートのローテーションから抜けました。


だから。


「尚先輩は、ハーレム作らないでくださいね。」



そう言って、ニッコリと笑ったら。

尚先輩は、飲みかけていたコーラを吹き出しそうになってた。

本当、わかりやすくて、可愛いなぁ。



「そう言えば、気になった事があるんですけど。」


さっきの会話の中で、去年まで部活入ってたって。

辞めちゃったんですか?


「あぁ、うん。バスケ部に入ってたんだけどね。」


2年に上がってすぐかなぁ?

特に故障したとかじゃなくて、なんかやらなきゃいけない事がある気がして、気付いたら、退部してた。

楽しかったんだけどね、部活。



その言葉を聞いた途端、すごく嫌な予感が、した。


「それって、ひょっとして、ヒロシ先輩と会った頃とか?」


その質問には、答えてくれず、そのまま苦笑された。

でも、その表情が、答えだ。


やっぱり、尚先輩も、本人が知らないうちにゲームの世界の影響受けてる。


主人公の親友。

主人公の恋を応援するだけの人。


そんな、尚先輩には何の得にもならない役割。



「尚先輩は、バスケ部にもう一度、戻りたいですか?」


毎日、走ってるんですよね?

復帰、したいからじゃないですか?


「…正直、辞めたのは後悔してる。でも、無理じゃないかな…。」


本当にいきなり、辞めたしね。

先輩や仲間は止めてくれたのに。

それを振り切ってだったから。

今更、戻りたいとか、何言ってるんだって感じだよな。



「…大丈夫ですよ。戻れます。」


桃が保障します。

だって、この世界は、一部の人に、甘くて優しいから。

桃は、その一部なんです。


その証拠に、今日の雨。

桃が、尚先輩と一緒に帰りたいから、雨降らないかなぁって思ってたら、降ったの。

本当ですよー。

だって天気予報じゃ晴れだったでしょ?


桃が願えば大丈夫なんです。


明日、一度行ってみてください。

桃、尚先輩が、バスケしてるとこ、見たいし。


「だから、ね。大丈夫。」






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