木曜日担当の私
お昼休みに友達とおしゃべりしていたら、ヤツがきた。
昨日までなら、友達置き去りにして、駆け寄ってたなぁ…。
皆、よく、友達やめないでいてくれるよね。
ありがたい。
きっと、ここは、主人公とヒロイン達に優しい、甘い世界なのかもしれない。
今も、先輩に呼ばれたから、ちょっとごめんねって謝ったら、にこやかに送り出してくれたし。
今までのお詫びに後で、皆の分のジュースでも買ってこよう。
安いパックのイチゴジュースでも、喜んでくれるかな?
そんな事を考えながら、ヤツが待っている場所まで、行った。
「佐藤先輩、わざわざここまで来て、何の用でしょうか?」
わざと他人行儀に、苗字呼びしてやった。
案の定、ムッとした顔が見れたので、ちょっとした嫌がらせは成功したかもしれない。
それと、要件はわかっているんだけどね。
朝の件でしょ?
昨日まで好き好き状態だったのに、急に冷たくなったから。
ご機嫌伺いでもしに来たってところでしょ。
「桃、今日一緒に帰ろ。先週桃が、行きたいっていってた、新しく出来たカフェ行こうよ。」
「お断りします。」
被せ気味に答える。
まさか、断られるとは、思ってもみなかったのだろう。
困惑した表情にかわった。
「今日は、木曜日じゃ、ないですよ。」
私の言葉にヤツは、さらに困惑する。
そして、しどろもどろに言い訳をはじめた。
違うんだ とか そう言うつもりじゃ無かった とか。
何を言ってるんだろう、この人は。
今までバレてないとでも、思ってたのだろうか。
「月曜は、図書室にいつもいる人で、火曜は生徒会の人。水曜は陸上部の人で、木曜が桃。で、金曜は幼馴染の人でしょ?」
本当は名前も知ってるんですけどね。
せっかくのローテーション崩しちゃダメですよ。
今日の担当の方が悲しみます。
でも、多分、皆気付いてますよ。
それでも、それで良いと思ってるんでしょうし。
ただ、桃は、もうローテーションから抜けたくなっただけです。
今後は木曜日は、別の方探して頂くか、ハーレムメンバーから交代で入れてくださいね。
「あ、あと1つだけ。」
先輩のお友達の事。
攻略開始するので、邪魔しないでくださいね。
「な、俺はそんなの認めないからな!」
あ、困惑から怒りにかわったかな?
まぁ、別に認めなくても、いいけど。
でも、
先輩、彼とは親友なんでしょ?
親友の恋は応援しないとダメなんでしょ?
自分で彼にやらせてる事は、自分でもやらなきゃじゃない?
彼はゲームのNPCじゃ無いんだから。
「ね、先輩。それくらい、わかってますよね?」
では、桃はもうログアウトしますね。
小首を傾げて、ことさら可愛く笑ってみせてあげた。




