親友ってなんだろうね
主人公の親友くん視点です。
高校入ったらさ、色々やりたかったことが、あったはず。
中学の時やってたバスケ部に入ってレギュラー目指して。
大勢の友達と昼休みとかワイワイ騒いで。
彼女作って、デートして。
実際、一年の頃はそうやって過ごしてた。
でも今は、部活もやめて、彼女と別れて、貴重な昼休みを目の前の喚いてるヤツの為に…。
「おい!朝の件、何だよ!俺の桃ちゃんに何近寄ってるんだよ!!」
「何だよって何?ただ挨拶しただけだし。」
そっちこそ、俺の桃ちゃんって何だよ。
って思ったけど、余計喚きそうだから黙っておく。
「桃ちゃんは俺のだからな。触んな、近寄るな。」
「はいはい。でも、いくらもてるからってさー、欲張りすぎじゃね?」
そう、ヤツはモテるのだ。
特にイケメンって訳でもなく、普通の本当に平凡な顔をしてるのに。
勉強も運動も平均なのに。
ついでに、名前も普通。キラキラネームでは無い。
ヤツの名前は 、日本でもっとも多い佐藤だ。
佐藤 ヒロシ。それが、ヤツの名前。
そんなヒロシは、この学園のトップ5の女の子たちに、モテている。
学園の副会長の桜さん。お上品なお金持ちのお嬢さま。
陸上部のエースの陽菜さん。スラリと伸びた健康的な足が魅力のとても元気がいい、ボーイッシュな女の子。
図書委員長の美春さん。本が大好きな控えめ大和撫子。
そして、ヒロシの幼馴染み。日向さん。優しくて、可愛くて、お料理上手らしい。
で、最後に桃香ちゃん。年下の甘え上手でおねだり上手な可愛らしい子。
この派手なメンバーにモテまくってるんだから、何処のハーレム勇者だよって感じだよな。
「いい加減、1人に決めろよ。で、残りの子は周りに紹介してやれよ。」
「だが、断る。」
ドヤ顔で、言うなや。
「なーそれよりさ、例のアプリで桃ちゃん情報見せてくれない?」
そう言ってヒロシは、スマホでアプリを起動して、俺に渡した。
そう、このスマホに入っているアプリは、何故か俺にしか見えない。
ヒロシにも見えないらしい。
最初はドッキリでも仕掛けられているかと、思った。
けど、違うとすぐに思った。
入ってる情報が、ちょっとシャレにならないものだったから。
アプリの内容は、女の子たちの、情報。
さっきあげた、学園トップ5のデータ。
身長、体重、スリーサイズ。
得意科目、不得意科目、好きな食べ物、嫌いな食べ物。
好きなデートスポット、嫌いな場所。
あげたら喜ぶプレゼント、がっかりするプレゼント。
好きな話題、苦手な話題。
ストーカーもビックリなほど、細かく載ってる。
で、極め付けが…。
ヒロシへの好感度が、数字と色でわかるようになってた。
女の子たちの画像の胸のところにハートがついてて、白からピンクに変わるようになってる。
色が濃い方が好感度が高いというわけだ。
これ、本人にバレたらヤバイんじゃないかな?
っていうか、この不思議スマホ渡された時からだよな?
俺がヒロシに親友って呼ばれるようになったのは。
それまで、ほとんど面識なかったのに。
気付いたら、いつもそばにいて、ヒロシの恋を応援する為に、部活もやめて、気付いたら彼女もいなくなって、友達も離れた。
ヒロシの為に学校きている感じになってる。
なんでだろ?
ヒロシを応援しなきゃ、いけない使命があるみたいな…。
何か大事な事を思い出しそうなんだけど…。
「おい、早くみてくれよ。」
「あ、あぁ、すまん。えっと、桃ちゃんね…。」
思考の途中で、遮られた。
あ、そっか、桃ちゃん情報見なきゃな。
桃ちゃん、桃ちゃんは…と。
「好感度:20、色もほとんど白だ。」
「え?嘘!昨日は80近くあったのに?何故、そんなに下がってるの?」
「…なんか、怒らせるような事したんじゃね?例えば他の女の子と一緒にいるところ見られたとか。」
「マジかー。ちょっとご機嫌とり行ってくるわ。じゃあな。」
そう言うと、さっさと教室を出て行った。
何だよ、俺にはお礼も無しかよ。
…ついさっき、何か大事な事を思いだせそうだったのにな。
モヤモヤする思考の中で、桃ちゃん情報を何気なくスクロールしていったら、今まで無かった項目が増えていた。
攻略中:秋月尚也
………俺???




