番外編 ある日の風景〜ゲームは巡る〜
こっそり番外編投入
ちょっと、とっ散らかった感がありますが、その後の桃ちゃんが書きたくなってしまったので。
いつもの時間。
いつもの放課後。
ちらっと時計を確認して、手元に広がっているノートを片付け鞄にしまう。
ついでにポーチから鏡を出して、前髪直して。
そのまま大好きな尚先輩の元へ急ぐ。
体育館へ駆けつけたら、ちょうど練習が終わり、シャワーを浴び終わったところのようで。
我ながらナイスタイミングだなぁと、自画自賛。
「ねぇ、桃ちゃんだっけ?毎日尚也のこと待ってるなら、マネージャーやってよ。君みたいな可愛い子がマネージャーやってくれたら、みんな喜ぶからさ。」
早速、尚先輩のところへ駆けていこうとしたら、部長さんに声をかけられた。
マネージャーかぁ…最初やろうと思ったんだけどね。
最初ね。
でも。
「ごめんなさい、部長さん。マネージャーさんって、バスケ自体が好きで、皆さんの事を、平等に気遣える人じゃないとダメでしょう?桃、絶対贔屓しちゃうから、無理だと思うの。皆さん、真剣にやってるのがわかるから、はしゃいだりして、邪魔したくないし。」
ちょっと俯いて。
長い睫毛を見せつけるように、目を伏せ。
申し訳なさそうに、断わって。
それから。
下から覗き込むように、上目遣いに戻して。
人差し指にキスするように指を唇に付けてから。
ニッコリと笑う。
「でも、試合の時とかは、呼んでくださいね。
可愛いお友達、いっぱい連れて。
差し入れ持って、応援しますから♡」
部長さんや、チームの人が、私の言葉を聞いて、大いに喜んでくれている。
少し離れたところから、ゆっくりと私のところに歩いて近づいてきている、尚先輩にも、聞こえていたようだ。
「桃ちゃん、お待たせ。マネージャーは、残念だけど、桃ちゃんの気持ち、すごく嬉しいよ。」
そう言って、尚先輩とお揃いの前髪に付けている、ヘアピンに「ちゅっ」と軽くキスを落としてくれた。
周りからは「おぉー」とか、「さすがリア充」とか「もげろ」とか「爆ぜろ」とかの声がわいている。
だけど、その中、ただ1人だけ。
私の事を、憎しみの目で見ている子がいる。
現在マネージャーをやっているヒロインさん。
ふふ。
ねぇ、今のみていた?
好感度って、こうやって上げていくのよ。
ヒロインさんのやってることは、逆効果。
貴女みたいに、いきなりやってきて、マネージャーになって付きまとっても、ウザいだけでしょ?邪魔なだけ。
お願いだから、尚先輩の練習の邪魔だけは、しないでよね。
すっとヒロインさんから視線を離し、尚先輩に向き直る。
じゃ、帰りましょう。
と歩き出そうとすると、尚先輩の大きな手が私の手をとり、引き止めた。
笑っていたはずの尚先輩の表情は一瞬にして、陰りを見せて。
こう呟く。
「これからさ、どんどん部活の時間延びていくと思うけど。…桃ちゃん、待つのツライでしょ?桃ちゃんもやりたい事あるだろうし。」
毎日じゃなくても、良いんだよ。
気が向いた時だけで。
って、ちょっと寂しそうに、そんな事いうから。
「桃、今、お勉強しているんです。待ってる間。
桃、まだ、やりたい事も、進みたい未来も、見えてないから。だから、もし、やりたい事が出来た時、進みたい未来が見えた時、今お勉強しておけば、少しは役に立つかなって。役に立たなくても、邪魔にはならないだろうなって、思って。」
ひきとめるために繋いでた手を両手でぎゅっと握り返して。
「お家では、サボっちゃうから。ちょうどいいんですよ。待ってる間お勉強するの。わからないところあれば、先生もいるし、副会長とかも生徒会室でやってもいいよーとか、言ってくれるし。図書室もあるし。図書委員長もお勉強教えてくれますし!それに、何より…。」
尚先輩とは、学年離れてるから。
朝か帰る時位しか、一緒に居られないから。
「尚先輩と、一緒に、少しでも、居たいの。」
流石に、顔見て言うには、恥ずかしすぎて。
大きな声で言うセリフじゃ無いから、微かな声で。
下を向きながら、呟くように。
「だから。尚先輩が、嫌じゃなかったら。」
重いとか、ウザいとか。
思われそうで、本当は。
言うつもりなかったけど。
「木曜日だけとか、特定の日にち、じゃなくて
毎日 待ってて、良いですか?」
私の以前好きだった人が私に指定した日。
また、尚先輩にも、木曜日だけ一緒に帰ろうとか言われたら。
そんなの、私は、耐えられない。
私の木曜日と言うキーワードに。
さすがに反応してくれて。
「ごめん、俺も桃ちゃんと、毎日一緒に少しでも良いから会いたい。遅くなっても、ちゃんとお家まで送るから。だから、これからも」
ーーーーーー毎日、俺に、会いにきて。
そう、耳元で。
囁いた。
その甘い掠れた声と。
恥ずかしげもなく、ゆっくりと耳元で囁く姿は。
本当に、乙女ゲームのヒーローそのもので。
不覚にも、大分ときめいて。
それと同時に、キャラに引っ張られてるなぁと恐怖を、覚えるほどで。
どうしようと、1人であたふたしてたら。
奥で、ヒロインを慰めて元気付けている人が見えた。
その人の言葉で元気を取り戻したらしい、ヒロイン。
そして、何だか頬を染めて、じっと彼を見つめてる。
その人は…。
最近、部活をはじめてから出来た、尚先輩の友達で。
所謂、乙女ゲームのヒーローの友人…。
ヒロインが、ヒーローの友人を攻略…。
どこかで聞いた話。
まさか、また、このパターンってことは、ない…よね?
程なくして、ヒロインのところから、やってきた友人くんは。
やたらとスキンシップが多い人のようで。
嫉妬しそうなくらい、尚先輩とイチャコラしてる。
その時、ヒロインと目があったが、多分私たちは、同じことを思っていただろう。
これ、なんて、BL?
って。
この世界はゲームによって、支配されている。
1つのゲームが終わっても。
また別のゲームがどこからともなく、はじまる。
今はきっと、彼女がはじめた乙女ゲームの世界だけど。
誰かが、どこがで、別のゲームはじめてたら。
…そのゲームがBLだったら、どうしよう。
目の前で、ヒロインそっちのけで、仲良くじゃれ合う2人。
乙女ゲームのヒーローと、その友人とか。
腐った貴腐人が絶対喜ぶやつ…。
…シャレにならない。
ふふふ、…BLの世界って。
あざと可愛い女は、通じるのかしら…。
神様、お願いです。
この世界が、乙女ゲームだけで終わりますように…。
完結させたのに、再度、ここまで見てくださりありがとうございました!




