ふざけているのは、だれ?
昨日、尚先輩から、メッセージが届いた。
とても嬉しいメッセージ。
でも、なんてお返事したら良いのかわからなくて。
良かったね。でも、おめでとう。でも、頑張って。でもなくて。
全ての言葉が、ちょっとずつ私の気持ちと違っていて。
どうしても、上手い言葉が見つからなくて。
喜んでるように見える、可愛らしいスタンプだけ、返信した。
甘え上手な小悪魔ヒロインが、聞いて呆れる。
肝心なところで、何も言えてない。
だから。
放課後だと、きっとそのまま、バスケ部へ行っちゃうだろうから。
再スタートの邪魔したくないし。
でも、どうしてもちょっとだけ、会いたくて。
顔が見たくて。
朝、授業が始まる前に、尚先輩の教室へ向かった。
まだ、早い時間だから、人もまばらで。
すぐに、尚先輩を見つける事が出来た。
…側に、今、1番会いたくない人もいた。
そして、何か、騒いでる。
最悪だ。
見つかる前に戻ろうかな、なんて思ったけど。
また、尚先輩が、難癖つけられてたら大変だから。
こっそりと様子を伺った。
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「…何だよ、ゲーム終了のお知らせって。意味わかんねーよ。ちゃんと全部読めよ。」
「わかってる、全部読むから。えっと、ゲーム終了のお知らせ。この度は、ご参加くださり…」
『ゲーム終了のお知らせ』
この度は、ご参加くださり、誠にありがとうございます。
お客様は、当ゲームのハーレムルートにご参加くださいましたが、現時点で、ヒロイン2名、友人サポート1名のログアウトが確認されました。
つきましては、ゲーム続行不可能となりましたので、このお知らせを持ちまして、ゲーム終了とさせて頂きます。
今後の高校生活を、どうぞお楽しみくださいませ。
またのご参加をお待ちしております。
スタッフ一同。
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尚先輩が淡々と読み上げてる。
それを受けて、あいつが叫んだ。
「ふざけんな!!何だよ、それ。終了なんて、認めないぞ!!リセット、リセットだ!!尚也、スマホよこせ!!」
その叫びを聞いて。
私は思わず飛び出てしまった。
「ふざけてるのは、ヒロシ先輩の方!!」
リセットなんて、させない。
私は、私のままで、いたい。
尚先輩も、自分のやりたい事、思い出せたんだ。
「尚先輩!スマホ、返さないで。お願い、渡さないで。」
そんな私の声を聞いてくれたのか、尚先輩は、バスケのシュートを決めるように、高くスマホを私めがけて放り投げた。
そして、私の手の中に、スマホが渡る。
「ありがとう。尚先輩。」
ねえ、ゲーム、終わったなら。
こんなスマホ、いらないよね。
私は、小さく首を傾げて、上目遣いで、主人公の前へ出て。
スマホを足元に落として。
思い切り、液晶画面めがけて、踏み潰した。
そして、笑顔で。
「じゃ、授業始まっちゃうので、桃、教室へ帰ります♡」
そう、一言だけ告げて。
自分のクラスへ足取り軽く、戻っていった。




