表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/19

友達の彼女を攻略してみていいですか

はじめて彼女を見たのは、ヒロシの横にちょこんと立って、本当に嬉しそうにヒロシに話しかけている姿だった。


その時は、あぁ、可愛い娘だな。と、それだけの感想。


それから、ヒロシに渡されたスマホのアプリに女の子の名前が増えていき、最後に追加された名前が彼女のものだと気付いたのは、いつだっけ?


可愛い、1つ年下の、友達の彼女のうちの、1人。


それだけだった。


それだけの筈だった。


ヒロシと一緒のところを見かけるだけだったし。

話したことも、ない。


目が合うと、会釈はしてくれるけど。

きっと、俺の名前なんて知らないし、興味はなかったのだろう。

俺も別に興味持って貰わなくても構わなかったし。


そんなものだろう?

人の彼女なんて。


それがいつからだろう。

彼女の事が気になってきたのは。


彼女が俺の名前を尋ねてきた時は、まだだったか?

いや、少し、本当に少しだけ、期待していたのかもしれない。

可愛い娘に興味持って貰えたかも?と。


そして、あの、雨の日。

傘を忘れた日。

彼女と、一緒に、帰った日。


ヒロシにではなく、俺に対して可愛らしく、笑ってた。

表情をくるくる変えて、俺の話を聞いてくれた。

諦めていたバスケ部のことを、大丈夫だよと、言ってくれた。

気休めでも、嬉しかった。



その後も。

寝ていた俺を、ニコニコしながら、見ていたと言って。

お揃いですよ、と俺の前髪にこっそりとヘアピンをつけて、嬉しそうに笑ってた。


そんな、彼女は、友達の彼女のうちの、1人。

…だった。


桃ちゃんは、もう、ヒロシの横には、並ばないと言う。

曜日替わりの彼女から、抜けたと言う。

いつも、笑顔で懐いてたヒロシに対して、疲れた顔で苦笑するだけになった。


ヒロシと、水曜日の彼女が詰め寄ったとき、困っていた桃ちゃんを見ていられなくなって。

余計なお世話かな?と思ったけど。

少しだけ、手助けになればと思って、口出しした日。


いつもの可愛らしい笑顔じゃなくて、頼りなさそうに、微笑んだ日。


いつもの元気いっぱいな桃ちゃんじゃなくて、ぼんやりと空の色を、眺めていた日。


一緒にいて欲しいと、言われて。

何を話すわけじゃなく。

2人でぼんやりと。

空色が変わるまで。

ほんの少しの時間だったけど。


あぁ、俺、桃ちゃんのこと、好きかもしれないなぁと、気付いた。


いつも元気な桃ちゃん。

いつもあざとい笑顔が可愛い桃ちゃん。

そして、ちょっとだけ、素の表情を見せてくれた桃ちゃん。


どの桃ちゃんも、可愛くて。

ヒロシの、その他大勢の、彼女のうちの1人には、勿体なくて。


本人はもう嫌だと言っているなら。




友達の元彼女を、俺が攻略してもいいですか?



ラストまで、もうちょい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ