最終話 真実④
快適な室温に比べ、外は気温が例年より低下し、雪が降っていた。
お姉ちゃんがいなくなってから半年近く経ち、僕は彼女がどこへいったのかずっと心配していた。
他のお手伝いさんに聞いても、全員が彼女の行方を知っていないと答え、一部では神隠しにあったのではないかと噂になった。
そういった妖怪変化やら怪異やらのことを信じない僕は、そのことをたかが噂だと鼻で笑った。
しかし、彼女が突然消えてしまったことは事実で、それを科学的に解明する術を僕は持っていない。
そんな自分の無力さを情けなく思いながら、今日も僕は本を読んで力をつけようと試みる。
いつものように本を読んでいると、どこかから声が聞こえた。
耳を澄ますとそれは男性の低い声であった。この家で僕以外の男性は父親しかしないので、きっと父親の声であろう。
そう言えば、父親が地下で何を研究しているか僕は知らない。
僕が読んでいる本は父親の書庫から勝手に持ち出しているものだが、ジャンルが多様であるため父親の趣味や趣向を見つけることはできないのだ。
一回、見に行こうか?
僕は好奇心に踊らされずにはいられなかった。僕はすぐに本を閉じ、地下室へ向かった。
どうせお姉ちゃん以外に僕を監視するお手伝いさんはいなかったので、立ち入り禁止の地下室に入り込むのは簡単であった。
薄暗い階段を壁伝いに降りる。階段を踏むたびに男の笑い声は大きくなり、喜びに満ちた言葉が聞き取れる。
どうやら実験に成功したのであろう。その予測はさらに僕の好奇心を駆り立てた。
僕の降りるスピードも加速し、すぐに目的の地下室の前にたどり着いた。
僕は息を呑みながら、ドアノブに手を当ててゆっくりとひねる。
どうやらカギは空いているらしい。
そして、慎重にドアを少しだけ開けて中を覗く。
そこには、髪はぼさぼさで、無精ひげを蓄えた男性が拳を突き上げたり、奇妙な踊りを舞っていたりしていた。
自分の父親が喜ぶときがあるのか。いつもぶっきらぼうな顔でしか僕と顔を合わせないので、父親に感情があることに驚いた。
だからつい父親に目がいってしまったが、僕のお目当てはその奥にいるものである。
そこには本で見たことがある手術台があり、その上に人が横たわっていた。
綺麗で細い脚……女性だろうか?
父親がその女性の上半身を起こす。
女性は服を着ていなくて、絹のような美しい肌が露になっていた。
長い髪を父親に垂れ流しながら、起き上がる女性。
僕は彼女の顔を見て体が震えた……。
「お姉ちゃん……」




