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第四話 虚言②

 オレは激怒した。


 某メロスが親友のもとへ帰るときくらい、オレは全力ダッシュしている。


 目的地は交番。そこにヤクザの親分が走っているこの状況は、我ながら異常だと思う。


 あー、もちろん犯罪を犯して自首しに行っているわけではない。


 実際、ヤクザという悪印象だらけの組織のリーダーをしているけど、オレは犯罪を犯したことはないのから行ったところで捕まらないけどね~。


 うちのチンピラがお世話になっていると連絡があったので、ボス自らが出迎えに来たのである。


 どうやらスリをしたところを現行犯で見つかったらしい。


 さて、交番に着いた。流石、オレ! 足が速い!


 乱れた息を整えるため、オレは深呼吸をする。


 よし!


「テメー、この野郎ッ!!!」


 オレは交番に乗り込み、チンピラの顔面を飛び蹴りする。


「テメー、お巡りさんに迷惑かけやがって!」


 そして、チンピラに馬乗りして、両手で殴る。


「スミマセンッ! スミマセェェェンッ!」


 チンピラの涙でオレの拳が濡れる。


 チンピラの悲鳴と謝罪が交番前に響き渡る。


「いや、もういいんですよ! 上木原さん!


 罰はこちらで下しますから!


 これでは誰が被害者で被疑者か分からないですよ!」


 お巡りさんが止めに入る。


 お巡りさんの言うことを聞くのは当然だと思っているから、オレは殴るのを止める。


 オレはチンピラを立ち上がらせて、頭を掴み、下げさせる。


「うちのバカが迷惑かけてすみませんでしたァ! おい、お前も謝れッ!」


「ス、ス、スミマセンでしたァァァ!!!」


 オレにたれたせいか、チンピラは大きな声で謝罪をした。


 それを聞いてお巡りさんは「いや、もういいんですよ……。というか、謝るなら被害者の彼女に……」と手のひらで椅子に座っている女の子を指した。


 お巡りさんに言われるまで彼女の存在を認識することができなかった。


 それはオレがチンピラをボコボコにしていることに夢中になっていたというより、彼女の影が薄かったのが理由だろう。


 彼女は長い髪で三つ編みを二つ作り、丸い眼鏡を身に着けていた。


 服は白と青のセーラー服だから、ちーちゃんやさとし君、エリちゃんと同じ上木原高校の生徒か。


 上木原町の学校に通っている人間に迷惑をかけたことを知ってオレはさらに腹が立った。


 しかし、これ以上お巡りさんに迷惑をかけることを嫌い、手を下さなかった。偉いオレ。


 オレはチンピラの髪を掴んだまま、彼女の方へ方向転換した。


「すみませんでしたッ!」


「スミマセンでしたァァァッ!!!」


 今度はオレが叱らなくても謝罪した。


 お仕置きの成果だろう。


 彼女は言葉を発さずに脅えで体を震わせた。


 そんな怖がらなくてもいいのにね~。


「とりあえず彼はこっちで預かるんで、上木原さんはもうお帰りになっては?」


 お巡りさんが引きつった笑顔でオレに言う。


 そんなに怖がらせることオレしたかな~?


 少し思い返したけど、思い当たる節がない。


 全く皆が何を考えているのさっぱり分からない。 


「分かりました~! じゃあ、帰るんでそいつお願いします~!」


 先ほどと一変し、明るく許諾したオレを見て、お巡りさんの顔が余計に引きつる。


「バイバーイ!」


 手を振りながら、オレは交番をあとにした。


 皆の分まで顔を明るくして。


 

 






 

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