第四話 虚言①
どうも~、上木原で~す!
皆はもちろんオレのこと知ってるよな?
じゃあ、問題です!
オレの出身地は?
そう! 上木原町!
オレの大好きな人は?
そう! 上木原町に住む人全員!
じゃあ、オレは誰でしょう?
上木原翔也……?
なんでそう思った?
オレが上木原と名乗ったから?
一人称が「オレ」だから?
明るいテンションで話しているから?
本当にそうかな?
オレが偽名で名乗ったかもしれないし、いつもは「ぼく」といってるかもしれないし、わざとテンションを明るくするかもしれない。
人間は嘘をつくんだ。
そういう前提条件がある限り、論理的にオレが上木原翔也であることを証明することはできない。
だから、君が君であることも証明できないんだ。
じゃあ、なんで人は、その人がその人自身であると思うのか?
それは信用しているからだ。
例えば君たちがよく使うお金があるでしょ? 見た目はただの紙と金属のやつ。
ただの紙と金属に価値があるのは、人が価値があると信じているからだ。
それと同じで、君がオレを上木原だと思ったのは、オレのことを信じてくれたからだ。
信じることは悪いことじゃない。
この世界は信じることによって成り立っている。
しかし、その力は自分の首を絞めるときが来る。
それが嘘をつかれたときだ。
その嘘があるから信じるという力は万能ではないのだ。
でも、信じることも嘘をつくことも生きるのに必要なんだ。
矛盾してるよね?
本当に人間の世界はくだらないよ。
じゃあ、このことを踏まえてもう一回質問!
オレは誰でしょう……?




