5話
レイはエリスを連れて村に戻った。
「こんな所に村があったんだ..」
エリスは村を見渡して驚いている。
「田舎だけどいいとこだよ。
俺以外に子どもなんてほとんどいないんだけどね。」
レイも村を見渡して答える。
「ここが俺の家。
かあさーん帰ったよ-!」
レイは家に着くとクレアを呼んだ。
「はいはいおかえり。
...あら?どちらさま?」
と、クレアはエリスを見ると首をかしげた。
「この人はエリス。
森の中で会った。
野宿するつもりだったらしいんだけど連れてきちゃった。
明日、模擬戦するんだよ!」
レイが説明するとエリスが
「どうも冒険者のエリスです。」
と軽い自己紹介した。
クレアはその自己紹介に
「レイの母のクレアです。
レイのわがままに付き合ってもらってごめんね~」
と、言った。
エリスはいいえと首を振った。
「上がって上がって!」
クレアは家にエリスをあげた。
レイもさりげなくエリスに続いて家に入ろうとするが
「あんたは待ちなさい!
森の中に行くなって言ったわよね」
と、レイの首根っこを掴み止めた。
レイは軽く叱られお風呂を沸かすように命じられた。
家の外で
釜に薪をくべて手をかざして
「ファイア」
と、呟くと薪に火がついた。
魔法だ。
いきなり後ろから
「魔法も使えるのね。」
と、エリスが声をかけた。
レイは驚く様子もなく
「全属性使えるよ」
と、にべもなく言った。
その言葉にエリスは目を見開き
「..全属性すごい。」
と、驚いていた。
全属性の魔法を使える人は滅多にいない。
たまに2属性、3属性ならいるが全属性となると、エリスが知っているのは王国の宮廷魔術師に1人、そして魔王だ。
「よし!これでいいかな」
レイはクレアに言われたとおり風呂を沸かすと
「まあ、明日やればわかるよ。
なめないことだね」
と、笑って言う。
その笑みは盗賊の男の首を切り落としたときのような獰猛な笑みだった。
エリスは気怠そうに
「..戦闘狂なのね」
と、言った。
レイは普通の笑みに戻り
「まあね。
さあ、いこ。」
と、先に言ってしまった。
レイが去ったあとエリスは口角をつりあげて
「楽しみだわ」
と、笑っていった。
どうやらこちらも戦闘狂だったようだ。