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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

真夜中にキーボードを叩いてみた

夢のあとさき

作者: ドーナツ

※お題『夢オチ(オチ指定)』「#深夜の真剣文字書き60分一本勝負」で書きました。

 ぼくは歌を口遊みながら蝋燭に火を灯す。テーブルの上のホワイトケーキに記された言葉は、まだ隠されていた。後からココアパウダーをかけて明らかにする趣向である。

 磨きをかけた清潔なグラス、ソーダ水といくらかの酒類、加えてアップルタイザーは、きみの好物だ。骨付きの鶏肉、ジャガイモをマッシュしたサラダ、レンズ豆と人参のスープが並ぶ。平凡だが、温かな誕生日の晩餐だった。

 玄関のほうから物音がする。ぼくは、きみの皿へ肉とサラダを取り分けた。扉を開けたきみが驚きに目を瞠り、微笑む場面を思い浮かべながら。


 集中治療室の前で看護師が二人、言葉を交わしている。一人が患者を指差し、もう一人は首を横に振った。

「駄目だと思う」

 人工呼吸器を取り付けられ、幾本ものチューブに繋がれた男性患者は、傷害事件の被害者である。

 犯人の自供は次の通りだ。

 かねてより男性の自宅付近を物色していた犯人は、同宅を中流以上の潤沢な家庭と断定する。外出先から帰宅し、玄関の鍵を開けていた男性の妻を殺害、押し入った家内で男性へ金品を要求する。犯人は、目論見に満たない少額の現金に逆上し、テーブルに置かれたワインの瓶を用いて男性の頭部を数回、強打した。


 昨夜は、些細な理由で妻と喧嘩をした。考えてみれば、ぼくの非ばかりである。妻に反省の気持ちを話し、許してもらうのだ。

 ぼくは、気が急いて選んでいたワインの瓶を倒しそうになる。それも仕方ない。今まで口にしないでいた誓いをきみに捧げないうちは、居ても立ってもいられないのだから。

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