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アンドロイドに毒薬を(旧Ants)  作者: かいなた りかのすけ
chapter2:廃都市
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2-4

ねえちゃんへ


はろはろー! ねえちゃん、元気にしてますか? 

私はお迎えに来た白馬の王子様と……と言いたいところだけど、この手紙を読んでいるということは

残念ながら私は死んでいるんだよね。


あのね、単刀直入に言うとね、私は“申し子”なんだって。

将来はブレインになって、アンティーターの女王になんの。


めっちゃ小さいころからずっとママが言ってた。

誰にも言っちゃダメだって、大人はみんな言うの。

先生とか、お医者さんとか、ね。

だから、ねえちゃんにも言えなかった、ごめんね。


でもさ、女王だよ? すごくない?

私、女王になったらお金持ちになって、イケメンと結婚して、毎日おいしいもの食べ放題じゃん

そう思ってた。


けど、違ったの。


ハイエナさんに見してもらったよ、

本当のブレインの正体、私の将来、そして今の申し子さんをね。


あのね、うまく言えないんだけど、自分の未来に絶望した。

これだけは言える。


だってね、手も足も、顔すらなくてね、脳だけにされてたんだよ!!

脳みそだけで機械たくさん繋がれて、浮いてた。

意味わかんないよ。

何で私がみんなのためにあんなことしなくちゃいけないわけ?

納得いかない。


大人の人も、みんな教えてくれなかった。ママさえも!

誰も信用できないし、何にも知らなくてへらへら生きてるみんなに超絶ムカついた!!


ねえちゃんしかもう頼れる人がいないの。

だから私の頼みを聞いてほしい。


どーっせ、ねえちゃんのことだから『もうどうでもいい』とか言って、

腑抜けた顔して毎日メソメソして暮らしてるんでしょ? 

ま、さ、か、死にたいとか思ってないでしょうね!?

ちょっと心配だから、宿題を出すね。

これは私からの人生を掛けた宿題だと思ってさ、クリアしてほしいわけよ。


アンティーターをぶっ壊すこと。

これが宿題。


全部全部、ぜーーんぶだよ。

むかつくブレインの奴(申し子は可哀想だけどさ)も、クソシステムも、市民も全員殺しちゃえ!


ねえちゃんはそのために、生きて、どんなことがあっても生きて。

お願いだよ。絶対に宿題が終わる前に来たらだめだからね?


それが終わったら、

その時、絶対に楽しい幸せな未来が

白馬の王子様とともにやって来る。

私の予知能力で見えた、ねえちゃんの明るい未来がね。

どうでもいいとか、絶対思わないと思うほどの幸せだよ、きっとね。


ねえちゃん、大好きだよ。

天国でもずっと見守ってるからね。


P.S.

てかさ、ハイエナさんってめっちゃイケメンだね!? 

ねえちゃんにはもったいないんじゃないの? なんちゃって。嘘嘘。

ねえちゃんは可愛いよ。絶対に好きになってくれる人がたくさんいるはずだよ。スイバ君とかね。 

だから、いつも笑顔でいてね。

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