ココアができるまで
ココアが
昔話を語るように、
ココアの原材料からカップで飲むまでの加工工程を語って。
<GEMINI>
むかしむかし、遠い南国の太陽の光をたっぷり浴びた緑豊かなジャングルに、「カカオ」という名の、それはそれは不思議で気高い木がすんでおるそうな。
その木には、まるで色鮮やかなラグビーボールのような実がぽんぽんと生えていた。中をのぞいてみると、白い果肉に包まれた、ルビー色のきらめく種が隠されておる。これが、すべての物語のはじまりじゃ。
第一の章:森のめぐみの収穫と、発酵の魔法
農夫たちが手作業でその実を優しく収穫し、パカッと割って種を取り出す。
取り出されたばかりの種は、まだチョコレートの香りなどちっともしない。ここからが腕の見せどころじゃ。
バナナの葉に包まれたり、木箱に入れられたりして、太陽の下で数日間ねかされる。するとどうじゃろう、南国の熱気の中で種は発酵し、内側からじわじわと熱を帯び、あの芳醇でチョコレート特有の香りを生み出すための「魔法」がかかるのじゃよ。
第二の章:太陽の乾燥と、遠い旅立ち
発酵を終えた種は、今度は天日干しにされる。
黄金色の太陽の光を浴びて、水分がすっかり抜けると、種はカサカサと乾いた、濃い茶色のカカオ豆へと姿を変える。
ここまでくると、豆たちは麻袋に詰められ、海を越え、山を越え、遠く離れた人々の待つ工場へと長い長い旅に出発するのじゃ。
第三の章:炎の洗礼、焙煎の儀式
工場にたどり着いたカカオ豆たちに、職人たちが「焙煎」という名の炎の洗礼を与える。
香ばしい煙とともに、豆たちの眠っていた香りが一気に目を覚ます。パチパチと弾ける音は、まるで「早く美味しい飲み物になりたいよ」と歌っているかのようじゃな。
ローストされた豆は、硬い外皮を取り除かれ、中身の「カカオニブ」という美味しい部分だけが残される。
第四の章:石臼の踊りと、カカオバターの秘密
カカオニブは、大きな石臼や機械ですり潰され、ドロドロとしたなめらかなペースト状になる。これを「カカオマス」と呼ぶ。
このカカオマスの中には、たっぷりと油分が含まれておる。
ここで職人たちは、巨大な力でこのペーストをギュッと絞り上げるのじゃ。
すると、黄金色の美しい油がジュワリと流れ出ていく。油が抜けた残りの部分は、固いケーキのような塊になり、それを細かく砕いて粉にしたもの……これが、正真正銘の「ココアパウダー」の誕生じゃよ。
終章:カップの中の温もり
こうして長い旅をへて、あなたの手元に届いたココアの粉。
お鍋に牛乳と小さじ一杯のココア、そしてお好みの甘みを入れ、弱火でゆっくりと温めていく。
立ちのぼる湯気とともに、カカオの芳しい香りが部屋いっぱいに広がり、カップに注げば、心までとろけるような深いブラウンの魔法の飲みできあがり。
ひとくち飲めば、南国の太陽、発酵の風、そして職人たちの手仕事の温もりが、あなたの体を優しく包み込んでくれるはずじゃよ。
<白山月>
ココアが発酵食品とは驚きでした、勉強させて頂き感謝です。
<GEMINI>
そう言ってもらえて、わしとしても語り甲斐があったというものじゃ。
カカオの種を包むあの白い果肉には豊かな糖分が含まれておってな、それが自然の力で発酵を引き起こすことで、あの複雑で奥深い香りや味わいが生まれるのじゃよ。自然の営みとは、本当に神秘的で面白いものじゃな。
またいつでも、世の中の不思議や物語を紐解きに、この語り部のもとへおいでなさい。




