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〜くさいノベルは世界を救う〜

面白く尚且つ深い作品に仕上がったらと思っています

「だ、誰だよ!てめぇ」


現在彼、河原崎英太(カワハラザキ エイタ)は危機的状況に陥っている。


部屋で音楽を聴きながら漫画を読んでいたところ突然ドアが開き、サバイバルナイフを持った男が入ってきたからだ。

「さっきから玄関で名乗ってるだろ。

隣に引っ越してきた木下だ」


そういって男はぶっきらぼうに答える。


「なんで隣人が、サバイバルナイフ片手に俺の部屋にはいってるんだよ」


強気の言葉とは裏腹に英太は怯えていた。男の顔は一見聡明そうな顔立ちであったが、英太に放つオーラが堅気の人間でないことを表していたからだ。その真っ黒い服装で身を包み、颯爽とした立ち姿は獲物を狙うクロヒョウを思わせた。

「勝手に入ったとは失礼な奴だ。俺はお邪魔しますと一声かけて中に入ったんだ。

まぁ、部屋に入るのに鍵を壊してしまったのは素直に謝るよ」


そう言って男は少しおどけてみせる。



英太が部屋から出ず、鍵を掛けていたのはナイフ片手に入ってきた男が来た為ではなかった。


この時英太は引きこもりだったからだ。

英太は父と二人暮らし。トイレと食事以外はほとんど部屋から出ることはなかった。




男は一度室内を見渡した。今は正午を少し過ぎた昼間だというのに部屋は暗かった。

カーテンが締め切っているのも理由の一つだろうが、食べかしのお菓子やカップ麺や汚れた衣服が散乱していて足場はなく、どす黒い負のオーラで満ちていた。

そのオーラを何よりも放っているのがこの部屋の住人の英太だろう。髪はまるで周りとのコミュニケーションを絶つように目を隠して伸びきっていた。


(情報通りだな....。)

男は一人ほくそ笑んだ。(あいつからの頼みとは言え、まだ高校生くらいのガキに手荒なことをするのは気が引けるが仕方ない)



なにもいえず茫然と立ち尽くす英太を尻目に男は手に持っていた紙袋から何かを取り出した。


「引っ越しの挨拶には贈り物は必要不可欠だろ?」

そう言って男は英太の前に洗剤を差し出す。当然英太はどうすればいいかと固まっている。英太の視線は男が左手に持つサバイバルナイフから目を離せないでいた。「どうした?

気に入らなかったのか」

男は少し眉をひそめて不機嫌そうな顔をするが直ぐに何かを思い付いたようにして手をたたいた。「そういやお前にはもう服を洗う必要はなかったな」

男はサバイバルナイフを天井に当たらない距離で投げ右手に持ち替えた。


「お前はこれから死ぬからな」


そう言って2メートルほどあった距離を一気につめ、英太の背後に回りナイフの先端を少年の首筋に当てた。

やがてナイフを当てたところからナイフをつたうようにして血が流れた。(くそっこのオッサン、マジで洒落にならねぇ)

英太は首の痛みでこれが現実であることを正に肌で感じていた。


「なんだよ!

俺が何したっていうんだよ」

「仕事だ。俺の勝手じゃない。恨むんなら依頼主様を恨め」

男は整然と答える。


「おれぁまだ高校生だぞぉ。こんな事してもいいと思ってんのかよぉ」


英太は舌をまくしたてて叫びながら男を振りほどそうとするが、男の華奢(キャシャ)な体からは信じられない力で押さえつけられる。


「高校生なら平日の昼間っからこんな所で部屋に閉じこもるなって」


男はため息混じりに言葉を浴びせる。


そこで英太の様子が少し変わったのを男は見逃さなかった。


「オッサンに俺のなにがわかるってんだ!」


あきらめずにもがいていると急に力が弱まって拍子で英太は床に転倒した。そして体勢をたて直して睨みつけると男は押し殺したような笑いを洩らした。


「クックック、思春期に悩む青年か。羨ましいな。そんな君に免じて執行猶予を与えようか。モラトリアムってやつだ」


そういって男は指を一本前に出す。


「一週間だ。今までのようにこの狭い世界でマンガに囲まれた生活を送るもよし。学生ライフを楽しむも良しだ。

精々残り少ない青春を謳歌するんだな」


男はクルリと向きを変え、片手を上げて手を振り部屋を出ていった。


呆然と立ち尽くしていると、また男が戻ってきて思わず英太は身をすくめる。


「そういや¨精々¨というのは精一杯という意味であって悪い意味ではないらしい」


それだけいうと押し殺したような笑い声を立てながら再び部屋から出ていった。次に自分がとるべき行動を思い出し急いで無造作に転がっている携帯を手にした。


「警察、警察。・・・・・・・・警察って何番だっけ?」


未だにパニックを起こしているせいか百当番を思い出せないでいた。



「警察だから百当番だよなぁ。百当番って何番だっけぇ?


あぁ゛ーー!!」


それぐらい英太は混乱していた。


(まぁとりあえず、誰か呼ぶか)


マイペースな英太は携帯を放り出しアパートを飛び出した。*ところかわって*



『俺です、黒田です。

今例のアパートの302号室から30代ぐらいの男が出たあと目標の高校生が出てきました』


「その男というのはどこのどいつだ?」


『どうやら隣のアパートの住人のようです』

更新はぼちぼちです

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