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第86話 新しいベスガを祝して


「おー!プロエさん!それとバアルも!」

 闘技場のそばまで戻ってきたプロエ達に声をかけるタケミ。

 

 彼はマートル姫に支えられながら立っていた。


「やあタケミ、なんだ再戦の申込みか?」

「お!良いのか?!」

 タケミが乗り気で返すとバアルが笑う。


「冗談だ、今急用をバアル様と済ました所でね」

「休んでないのか、忙しいな」

 後ろからネラ達もやってきた。


「まだ人の支えがねぇと歩けねぇぐらいボロボロな癖に何が再戦だよ。姫を杖代わりにしてよ」

 ネラが軽くタケミを小突く。


「私は一向に構いませんわ!寧ろタケミ様をこんな特等席でみれて役得ですわ!」

 マートル姫は至近距離からタケミの顔を見上げていた。



「あ!でっかい兄ちゃんだ!」

「ん?」

 バアルと手を繋いで来たライトがタケミを指さす。


「プロエおじさん!このお兄ちゃん達が助けてくれたんだよ!」

「助けた?」

 ライトの背後からクロがタケミに飛びかかった。


「この虎!そうかあの時の!元気そうだな!あれ?なんか食った?うまそうなソースの香りが」

 クロはタケミの顔を舐め回す。


「流石鼻が効くな、さきほど数メートルのドネル・ケバブを食べていたのだ」

「え!なんだそれ!おれも食いたいぞ!」

 バアルの言葉に食いつくタケミ。


「ならば店を紹介しよう。特大のは無くてもまだ商品は残っているだろう」



「そうか、君たちが助けてくれたのだな。ありがとう……私が守るべき人達を救ってくれて……」


「成り行きだ、気にしないでくれ」

 クロを撫でながらタケミはそういった。


「いや、それでは申し訳ない。何か礼を」

「そうだ、じゃあおれを鍛えてくれよ!」

 タケミの言葉を聞いて笑うプロエ。


「分かった、ダマトさんも喜ぶだろう」


「結局、最後の最後までプロエさんの攻撃見えなかったし。あんな鋭いパンチを打てるようになりたいんだ」

「はっはっは、鍛えれば成るさ」

 二人は笑いあう。


 

「でもその前に腕輪だ」

 ネラは腕輪を取り出した。


「死神め、いつの間に」

「ついさっきだ。金庫の鍵が空いてたんでな」

 バアルに向かって舌を出すネラ。


「お、おれたち金庫の鍵勝手に開けちまったけど良かったのかな……」

「知らねぇよ。開けないと絶対殺されてたし」

 金庫の番をしていた者が力なく座り込んでいた。


「本来ならそれも我の所有物なのだが。まあいいだろう、一つくらいは特別賞でくれてやる」

 ため息をついてバアルがそういった。




「つーわけでコイツを休ませてからまた出ていくんだが。良い宿知らねぇか?」

 腕輪をしまうネラ。


「それなら……とびきりの場所があります。良いでしょうかバアル様」

「構わないここで恩を返しておけ、連中に借りをつくるのは推奨できないからな」

 


 バアルとプロエに案内されたのはベスガの中で最も高級なホテルの最上階フロア。ベラード専用だったフロアだ。


「うぉー!ひろい!」

「すっごい豪華な部屋!」

「こりゃあいい部屋だな」

 部屋の中を見回す3人。


「ついでにここの家財も質に入れておいてくれ、そこで受け取った魔石は駄賃だ。路銀にでもあてろ」

「いいんですか!」

 ネラがそういって目を輝かせる。


「ここのものはどれも派手なだけで歴史的価値のない物ばかり。我の趣味ではない」


「さっすが大領主様!よし!とりあえず黄金の風呂作るぞ!手伝えお前ら!」

 ネラが早速部屋にある家財をかき集め始める。



「おー、これまた凄いところだな」

 そういって現れたのはキングとクイーンだ。


「キングにクイーン!」

「おつかれさま、カヅチ・タケミ」

「闘い見てたぞ、本当によく生きてるな」

 タケミに挨拶するキングとクイーン。


「キングおじちゃん!クイーンおばちゃん!」

 ライトが二人に駆け寄る。


「ライト、勝手に離れたらダメって言っただろ」

「ごめんなさい」

 クイーンが注意する。


「へぇー優しいなクィーン”おばちゃん”」

「黙れ死神」

 ライトの後ろでニヤニヤしているネラ。


「お前らも泊まるか?タダみたいだぜ!カジノ教えてくれた礼にさ」

 タケミが二人に提案するが相手は首を振った。


「いいよ、おれたちも実はここに泊まらせて貰えるんだ。新しい領主様のはからいでね、下の階だ、ここよりずっと落ち着いてて俺たち好みだよ」


「そういう事だ、それに礼って言うなら私達はでっけえ貸しがあるんだ。これ以上貸し付けられたら破産しちまうよ」



「そう言うなよ、それじゃあ飯食おうぜ!みんな連れて来いよ!」

「そうだな、ウチのも呼んでおくか」

 タケミの提案で皆で宴会を開く事になった。部屋にベスガ中の屋台やレストランの料理人が料理を運んで行く。


「うめー!これがクロの好物か!追加くれ!」

「ここのは私も気に入ってるんだ。私にも一つ」

「あいよ!」

 あのドネル・ケバブ屋も来ていた。


「ぷはー!酒も美味いのが揃ってるな!」

「んー!どの料理もおいしー!」

 樽を傾けて酒を飲むネラ、その隣で大盛りの料理を食べるユイ。


「凄いなアイツら、にしてもなるほどあの量の飯が胸に行ってるのか」

「違うと思いますよ」

 飯を頬張るマリス、フォルサイトは小皿から少しずつ食べている。


「新しい大領主様にかんぱーい!」

「今日は大領主様の奢りでどんだけ食って飲んでもタダだってよ!」

 ホテルの外も賑やかだ。




 体力が回復したタケミはオオエドに戻る準備をして、ネラ達とホテルの外に出た。


「マートル達も一緒に来るか?」

「喜んで!温泉街ですよね、楽しみですわ!」

 どうやらマートルとベロニカも一緒にオオエドに向うようだ。


 クロがタケミの後ろから覆いかぶさる。


「がう!」

「クロ!お前は来るか?」


「クロお兄ちゃんの事が大好きみたい!」

 見送りに来たライトが笑顔でそう言った。彼らもこの街を出て元の街に戻るようだ。


「じゃあ行くか!」

「ガウ!」

「あ、でもみんなはいいのか?」

 じゃれついてくるクロを撫でるタケミ。


「うん!クロずっとお兄ちゃんに会いたがってたから!クロはねみんなをずっと守ってくれてたんだ」


「本当ですわ、クロ様はタケミ様が大好きのようですわ!先程から再会を祝すことばかり言われています。私は大歓迎ですわ!」


 マートル姫はクロの顎下を撫でる。


「言葉わかるのか?」

 ネラがきくと頷くマートル姫。


「ええ、私達は動物ともお話できますよ」

「ほんとう能力展覧会みたいな連中だな」

 


「ボディガードなら安心しろ。うちのを貸そう」

 バアルがそう言うと上空からクレイピオスとアスタムが現れる。


「どうもー黒虎に変わって黒兎が護衛してやるぜ」

「白狼もお供しますよ」


「2人はそのまま街の復興に手を貸してくれ」

「「仰せのままに!」」

 二人はビシッと姿勢を正して答える。


「私も行こう」

 そういってプロエがその場に現れた。


「良いですか?」

「整備が済むまで闘技場は閉鎖するからな、好きにすると良い」

 プロエの発言に頷くバアル。


「なるほど、バアルの部下になったわけか」

「優秀な存在はいつでも大歓迎だからな」

 バアルはそうネラの発言に返した。


「整備っつーのは?」

「あの闘技場は年代物だがろくに手入れされてないからな」


「じゃあ闘技場は残るんだな!」

「ああ、あれは中々良いものだ、兵士同士の力量を高め合う場にもなりそうだ。だがカヅチ・タケミ、お前の出場は遠慮願いたいな」


「えー!なんでだよ!」

「貴様が出たら大会にならんだろ。勿論フォルサイトとマリスもだ」

「えー!なんでですか!」

 タケミとフォルサイトが文句を言うがバアルはそれを無視した。



「それでは皆を目的地まで転送させてやる。光の円の中に入れ」


 バアルに言われ各々のグループにまとまる。キングとクイーンと共に街の復興に向う者たち、そしてオオエドに向うタケミたち。


「それじゃあまたね!タケミ兄ちゃん!」

「不要な言葉だろうが達者でな!」

 プロエと、彼に肩車をしてもらっているライトが手をふる。他の子どもたちも同様に手を振った。


「またなライト!それとプロエさんも!キングとクイーンも引き続きよろしくな!」


「言われなくても、次そばに来ることがあったら寄ってくれ。その時までに立派な街にしてみせるさ」

「あばよ、せいぜい死なねぇようにな」

 キングとクイーンもタケミたちに手を振る、すると彼らの足元が光だし転移していく。


「さて、次は貴様らだ」

「おう!じゃーなーバアル!」

 タケミ達も転移し、その場を去った。


「色々と一気に片付いたな」

「オオエドという事は次にネラ殿が目指すのは……」

「天界だ」

「やっぱりかー、ユイ大丈夫かな」


 バアル達は消えていく光を見届けてそう言った。



ここまで読んで頂きありがとうございました!

今後も投稿していこうと思うので評価、コメントなどして頂ければ励みになります!

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