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第77話 魔神軍最高戦力同士の戦い


 第二回戦が始まり、タケミ対クレイピオスの闘いで会場は盛り上がっていた。


「すごかったな!あの二人!」

「最後なんて2人の姿が消えたと思ったらドカーンって爆発音したもんな!あれって2人がぶつかった音だろ!?」



『さてお次は魔神軍同士の闘い!それも最高戦力の一角を担うと名高いお二人の闘いです!震えますねぇ!第一回戦で魔法使いとしての力量をみせたレクス・マリス選手か!圧倒的なパワーをみせたフォルサイト選手か!』


「楽しみですね」

「負けないぞ!」


『それでは〜第6試合、開始ィィィィ!』

試合開始の合図と同時に会場は大きく揺れた。


『おあっと!両者がいきなり舞台中央で激突ッ!』

マリスが速攻をしかけたのだ。


「フォル相手なら思いっきり行くぞ!」

攻撃し跳び下がったマリス、彼女は巨大な魔法陣を発生させる。


「フリージッド・トゥルボッ!」

魔法陣に亀裂が入り、そこから絶対零度の突風が吹き出す。


「冷やした空気を一気に熱する!」


「プルガトリウム・カタラクタッ!」

飛び上がったマリスは空に手を掲げ炎を生み出す。


 それは結界越しでも身が焼けるような超高温の炎。その獄炎を滝のように降らせ、舞台上の超低温の空気を一気に熱する。これにより起きるのは急激な空気の膨張による大爆発。会場全体、いやベスガを超えてこの世界そのものが揺れたと思える程の衝撃が走る。


 結界により観客は無事ではあったが眼の前で繰り広げられる規格外の光景に理解が追いつく筈も無かった。


『なんという闘いだ!まるで世界の終焉を描いたかのような光景!しかしご安心を!とあるお方が闘技場に結界を張ってくださっているおかげで私達はこの戦いを特等席で観ることができまーす!』


「結界?そんなのあったか?」

「いえ、特にそんな話は」

耳を塞いでいたカテラ・ベラードが部下に聞くが、部下も首を横に振った。


「なんという結界。これをたった一人で、流石ですバアル・ゼブル様」

関心するベロニカ。この結界であればマートル姫とタケミが本気で戦ってもなんとかなるかもしれない、彼女はそう思っていた。


「勢いあまって大災害、なんぞゴメンだからな」

「へー随分とこの街気に入ってるんだな」

ネラがバアルにそういった。


「当然だ」

「?」

何が当然なのだろうか、と首を傾げるネラ。



さて、先程の大爆発、その中心にいたフォルサイトはどうなったのだろうか。


「いいですね、寒くて熱い、でも丁度いいのが1番好きですかね。寒いとお茶が凍ってしまいますし、熱いと蒸発してしまいますし」

全くの無傷で立っていた。


「お茶の話なんかして余裕そうだな!」

「余裕だなんてまさか、魔力で服を守らないと今頃裸になってるところでしたよ」

フォルサイトは自分の服をみて言う。


「服だけかよ!」


(フォルに近づくのは絶対にダメだ。とは言え、ここじゃ飛んで距離をとるにも限界がある。ならもう少し移動方法を追加するか)

マリスは背後にあった闘技場の壁にすうっと沈んでいく。


「こういうのはどうだ?」

地面からイルカのように飛び上がるマリス。彼女は飛び出すと同時に魔法を放つ。再び地面に潜るとまるで水の中を泳ぐように移動し始める。


「面白いですね」


『おーっと!レクス・マリス選手、闘技場を自由自在に泳ぎ回っている!?彼女にとっては海も陸も関係ないというのでしょうか!』



「行け!グランドシャーク!」

マリスがそう言うと彼女の周囲から複数のサメが出現。サメたちはフォルサイトに嚙みついた。


『なんと闘技場の壁からサメが現れ、フォルサイト選手に噛みついた!』


「サメさんですか? 可愛いですね。よしよし」

噛みつかれながらもフォルサイトはサメを撫でている。


「戻り、稲光となれ!」

フォルサイトに噛みついているサメが目も開けられぬほど眩い稲光へとなった。


「うーん、ちょっとビリッと来ましたよ」

「しまった!フォルには光効かないんだった」

フォルサイトはマリスの眼の前に一瞬で迫った。


「いけ!」

即座にマリスは水魔法を放つ。それをカジキへと変化させ、フォルサイト目掛け飛ばした。


「おー今度はカジキさんですか」



「あのマリス先生がやってる、海洋生物を生み出すのってどうやってるんですかバアルさん?本物にしか見えないけど」

観客席でマリスの攻撃をみていたユイがバアルに尋ねる。


「勝手に種明かしをした、とか文句を言われそうだが。まあ知った所で真似できるものではないし、良いだろう」

「いいんだ」

バアルは楽しそうに逃げているフォルサイトを追うカジキに目を向ける。


「あれは魔力を媒介に本物を生み出している」

「ええ!生命を生み出しているって事ですか!?」


「そうだ、自在に生み出せるし、また魔力に戻し即座に魔法へと変換させる事も出来る。我も出来るが、マリスほどレパートリーは無くてな。海洋生物以外のものも出せる。ただマリスは海洋生物のが好きだから、それらを出しているだけだ」

バアルはそう言って蝶を指先から生み出し、それをまた雷へと変えてみせた。


「まるで神様みたいですわ!」

バアルの説明を聞いていたマートル姫が感激したようすで話した。


「流石は姫、鋭い意見ですな。マリスの種族である海帝族はその昔神として崇められていました」


「レクス・マリス様、是非お手合わせ願いたいですわ!」

目を輝かせるマートル姫。




「くそぉ、この程度じゃフォルにダメージ入らないよなぁ」


「そろそろ私も行きますよ!」

フォルサイトがマリスに向かって走り出す。


「なら水中戦だ!」

闘技場の壁から飛び出したマリスは手を合わせる。


「マーテル・オムニウム!」

彼女は一瞬にして舞台を覆い尽くして余りある膨大な量の水を発生させた。


『巨大な水柱が発生しました!闘技場が一瞬にして水中闘技場に!』


「これなら!」

自身のフィールドを生み出したマリスはフォルサイトに攻撃を仕掛ける。



 この光景には仲間のアスタムも口を開きっぱなしだった。


「先ほどから凄い魔法の数々……」

「まさに規格外。魔法を極めたお方の一人、理不尽としか言えないな。それを喰らっても平然としてるフォル様も流石だ」

そう行って闘いを終えたクレイピオスが現れた。頭を氷で冷やしている。


「あ、ねぇさんお疲れ」

「あーあ、負けちゃった。あのお二人とも戦いたかったのに。まったくタケミのヤツ自分の頭がかち割れても構わないって勢いで来やがって。あれで倒れないってどんだけ頭固いんだアイツ」

そう言ってアスタムの隣に座るクレイピオス


「にしてもフォル様本当に凄いな。さっきからすれ違いざまにマリス様が魔力を撃ち込む打撃をやってるのに顔色一つ変えてない」


「うん、あれかなり痛いのに……流石、元魔神軍最高戦力のお二人だ」


 二人は元バアル・ゼブル直属部隊の隊長、つまり肩書的なもので見れば同じ立場だ。しかし闘っている彼女を見れば見るほど、自分達との間に圧倒的な実力差がある事を改めて思い知らされる。二人は無意識のうちに姿勢を正して戦いをみていた。


(まじめだなぁ、二人とも……私もこの戦いから何か学ばないと!)

この姉弟と近い事を思っていたユイも試合に目を向ける。



「もう!少しは痛がれよなフォル!内臓どころか神経までムキムキかお前!」

「中々くらわないタイプの打撃なので楽しんでますよ」

高速で泳ぎながら攻撃を続けるマリスに対し笑って答えるフォルサイト。


「ヘンタイ!」

「ふふふ、純粋に闘いを楽しんでいるだけですよ」

フォルサイトはそう言って右拳を構える。


「何かする気だな!その前に!」

マリスは舞台を覆う水を操り大渦を発生させた。


『水柱が巨大な大渦に変わった!吸い上げられた闘技場の地面が粉々に砕けていく!この中で生きていられる生物などいるのでしょうか?!』


「それなら、これはどうですか!」

大渦に飲まれながらもフォルサイトは拳を突き上げる。その衝撃で舞台の水は全て吹き飛んでしまう。


「な……!」

吹き飛んでいく水をみて驚くマリス。


『お、大渦が消えたァァっ!』


「よそ見厳禁です」

「やっば!」

驚いていたマリスの足をフォルサイトが掴む。しかし、スルっとなぜか彼女の足はフォルサイトの手の中からすり抜けていく。


「あぶねぇ、これは一部の生物が防衛の為に使う摩擦を減らす粘液だ、お肌にも良いんだぜ」

「これ商品化したら結構人気でそうですね」

フォルサイトは手についた粘液を手に塗ってみていた。


「これで掴めねぇだろ!」

「ふうん、それはどうでしょうか?」


「私は姿かたちをマリスさんのように変えられる訳ではありませんが」

後ろに現れたフォルサイトがマリスの胴体に腕をまわす。


「だから無駄だって……あれ?」

するりと抜ける筈が抜け出せない。


「魔力で私の肌にざらざらを作ってみました」

「なに!?くそっはなせ!」

抜け出そうとするがもう無駄だ、粘液が通用しない上にフォルサイトの力の前に逃れる術はない。


「だーめです。思いっきりぎゅーってしますねー」

「ば、ばか!お前の力でそれやったら洒落にならん!」



「思い出しますね、私に近接戦闘を教えてくれたのはマリスさんでしたね」

「フォル……」


 フォルサイトの脳裏には過去の思い出が流れていた。まだフォルサイトが幼くバアルの元にやってきたばかりの頃だ。


 その頃は身長もマリスの方が高く、よく稽古をつけて貰っていた。魔法も勿論ながら近接戦闘の仕方を教えてくれたのもマリスだった。


「そういえばいつ頃でしたか、こうやって稽古をつけてくれなくなったの。あと私がマリスさんの身長を抜かした時、露骨に嫌そうな顔してましたよね」


 そう、あの時は少しばかり気まずい空気になったが、バアルが用意したお茶とお菓子を食べている間に気付いたら元の調子に戻って……


「ブクブクブクブク」

「あれ?マリスさん?」

マリスが泡を吹いて気を失っていた。


『レクス・マリス選手気絶!勝者フォルサイト!!!』

試合終了のゴングがなり響く。


「あら、昔を思いだしていたら落としちゃいましたか。昔話に花を咲かせるのはまた今度にしましょうか」



ここまで読んで頂きありがとうございました!

今後も投稿していこうと思うので評価、コメントなどして頂ければ励みになります!

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