第69話 カジノdeロワイヤル
闘技場に参加するにはかなりの量の魔石を登録料として払う必要があるようだ。
持ち合わせがないユキチカ達の目の前にキングとクイーンが現れた。
元の世界でプロのギャンブラーだったキングにカジノでの稼ぎ方を教わる事に。
「よし、イカサマを教えろ」
ドレスに着替えたネラがキングにそう言って詰め寄る。
「まてまて、そんな素人が簡単にこなせるもんじゃない。技術だけじゃなくて使うタイミングとか経験が大事なんだ。イカサマ連発で勝ち続けるとかはファンタジーの話、とりあえず中に入ろう」
「えー」
「残念がるなよ」
クイーンが肩を落としたネラの背中を叩く。
一行はカジノに入り、魔石をチップに変えて貰い、バーに向かう。
「ここは俺が持つよ、何が飲みたい」
「おれは酒飲まねぇ、肉が良い!」
「私もお酒はあんまり、なんか甘いジュースとか」
「その高そうな瓶に入った奴!」
3人は要望を出す。
「ノンアルコールのカクテルを2、マティーニを3、それと肉ってある?」
「ありますよ」
「あるんだ、それで」
注文するとカクテル4杯とステーキが出て来た。
「おー、カラフルな飲み物だな」
「綺麗だね!そのお肉も美味しそう~」
「じゃあ半分こするか」
タケミとユイはノンアルコールのカクテルとステーキを楽しむ。
「で、私達はどうしたら良いんだ、色男さんよ」
ネラが一気にカクテルを飲み干してそう言う。
「まず一通りの物をやってみるんだ、勿論掛け値は一番低くするんだぞ。それで自分が勝てそうなのを選ぶんだ。いくら稼ぎたい?」
「闘技大会に出れるぐらいだ!」
「ああ、それでか。OK分かった、じゃあしっかり稼がないとな。となると可能な限り運任せのギャンブルは避けろ」
タケミに対してそう忠告するキング。
「ギャンブルって運じゃねぇのか?」
「もちろん運はどれにも絡んで来る。だがその割合が違うんだ」
キングは椅子を回して後ろを見る。
「例えばあの機械あるだろ?何か知ってるか?」
「ああ、スロットって奴か知ってる。あれとか簡単そうじゃないか?グルグル回ってる図柄をボタン押して揃えるんだろ?普通に目で追えるぞ」
タケミの発言に頷くキング。
「そう思うよな、それが罠なんだ。実際はリールの回転にどれだけ目が追いつこうがダメだ。中の機械で当たるかどうかが決まっているから、タイミング完璧で押してもハズレる時はしっかりハズレるんだ」
「そうなのか!」
「台ごとにハズレやすさが決まっている、自分の台がどうなのかを判断するのには時間や知識が必要になるんだ」
「なるほどなー、おれらの目的には合わないって事だな」
納得したタケミ。
「あっちのは?」
今度はネラからキングに話しかける。
彼女が指さしているのはルーレットだ。
「ルーレットかあれはそうだな、掛け方を選べる分いくらかマシかな。もし回るルーレットの動きを正確に目で追えて、ボールが入るタイミングからボールが落ちる軌道を予測できるならかなり固いだろうな。まあそんな事が出来ればの話だが」
「いくら稼げる?」
「基本ルールは俺がいた世界と一緒だから最大36倍、1つの数字のみ選んだ場合だ。他にも赤か黒、偶数か奇数とかでグループに賭けると2倍だ。他にも色々と賭け方でリターンの倍率が変わるが」
「つまり最大36倍で最低2倍って事だな」
「最初はそんな認識で良いだろう」
それを聞いたネラは椅子から降りる。
「ちょっとあれやって来るわ」
「私もそれできそう!ん、ごちそうさま!」
ユイも残りの肉を口に入れてネラの後を追う。
「あっちは2人に任せとこ。向こうでサイコロ振ってるのはなんだ?」
「ああ、あれはカジノではあまりみないな。日本の、たしかー丁半博打ってやつだ」
キング、クイーンと共にタケミは博打が行われている場所に近づく。
「ここ座れば良いのか?」
タケミが座布団の上に座る。
「参ります」
客の対面に座るディーラーがサイコロ二つをカップに投げ入れる。
そしてカップを台に被せるように勢いよく置く。
「さぁ、丁か半か!」
ディーラーがそういうと他の客が何か言ってチップを出している。
「2つのサイコロの目の合計が偶数か奇数を選ぶんだ。偶数が丁で奇数が半、だ。ほら目の前に赤と黒で分けられた布があるだろ?そこにこのチップを置くんだ」
「ああ、それなら丁!」
皆が予想を言い終えたのを確認し、ディーラーがカップを持ち上げる。
「グサンの丁!」
「なんだ簡単だな」
ここからタケミは驚異的なものをみせる。
「半」
「これも半」
「丁だな」
「今度は半」
「これ丁」
「つぎ半ね」
なんと最初のを含めて7回連続で予想を当てたのだ。
客含めディーラーも目を丸くしている。
これにはさすがのキングも驚いている。
「また当たり?!どうやってんだ?」
「サイコロの音で動きが分かるから。それを聞いて当てるゲームじゃねぇの?」
「なんだそのニッチすぎるゲーム」
クイーンが呆れながらツッコむ。
どうやらネラとユイも順調なようで、すでにかなりの量のチップを集めていた。
「よーし順調だな!」
ネラがそう言うと、館内放送が入る。
「会場にお越しの皆様にご案内申し上げます。先ほどベスガで行われる闘技大会のエントリーが締め切られたとの事です。今年も多くの挑戦者が集まっており……」
「な、なにぃぃ?!」
「あれ、それじゃあ……あ!ネラ!」
「追うよタケミ!」
ネラがチップをキングたちに持たせて外に飛び出していく。
ユイとタケミも後を追う。
「エントリー締め切りってどういうことだ?!」
ネラがそのドレスに見合わない形相で受付の襟を掴み上げていた。
「こ、言葉の通りですよッ!挑戦者の人数が今回は非常に多く……なので今回はもうこれ以上の募集はかけない事になったのです!」
「予選とか、そういうのでふるいにかけたりするから良いじゃねぇか!」
「その予選も開催場の規模などの問題があるので無制限に入れられないんですよ!」
「クソッ!」
ネラが掴み上げていた受付を離す。
彼女らはカジノに戻る。
するとキングが3人に手を振る。
「君たち3人に用があるんだってさ」
そう言って彼が顔を向けた先にはディーラーが一人立っていた。
「お帰りなさいませ」
「だれだ?」
明らかにイライラしているネラがそういう。
「私はカジノのディーラー長をしておりますトリッカーともうします。素晴らしいギャンブラーがいると聞き、是非一度お会いしたいと思いまして」
そう言ってトリッカーと名乗る男は後ろにある豪華な扉に手を向けた。
「VIPルームへご招待したいのですが」
「は?」
「おお!なんか面白そうじゃねぇか行こうぜ!」
タケミが先に扉の方に向かう。
「申し訳ありませんが、ご招待させて頂くのはこちら方たちでして」
キングとクイーンにそう伝えるトリッカー。
「ああ、気にしないでくれ」
「初心者の付き添いが終わったからね、私達は勝手に楽しませてもらうよ、行こう」
キングが腕を出しクイーンがそこに自分の腕を組ませて、その場を離れていく。
VIPルーム。そこには豪華な家具だけでなく、VIP客の為だけのルーレットやカードゲームを行う為のテーブルが用意されていた。
「で、なんのようだ。今結構イラついてるんだけど」
ネラがドカッと椅子に座る。
「ああ、闘技大会の参加権の事ですよね?どうぞ、こちらウェルカムドリンクです」
渡された飲み物を一気に飲み干すネラ。
「どうでしょう、ここでその参加権を賭けて勝負しませんか」
そう言ってトリッカーはルーレット台に向かう。
「簡単です。皆さまが好きなルーレットですッ!」
トリッカーはテーブルの上に並べられたチップを浮遊させてネラに放つ。
ネラが首を傾けそれを躱す。
「なるほど、そう言う事ですか」
ユイがため息をつく。
「カテナ・ベラード様の魔石を貴様らのような者に渡してなるものか!!我が魔法は重力すら操る!!この世界を支配する絶対的な力すらも支配できるのがこの俺だ!」
トリッカーはルーレット台、そして周囲のテーブルやダーツなどをも浮遊させる。
「ネラ、一応聞くがどうする?」
「決まってるだろタケミ。私好みのやり方でいくぞ」
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