第68話 僥倖の街ベスガへGO
砂原を進むタケミ達。
彼らは次の街に向かっていた。
「この腕輪ってそんな沢山あるもんなのか?凄い腕輪なんだろ?」
闘技大会告知の案内が書かれた紙をみて話すタケミ。
そこには以前戦った巨人が使用していた、あの不思議な腕輪の絵が描かれていた。
「うん、凄いよその腕輪。肉体を純粋な魔力に変換したり、炎とかに変換できる。本来ならそれに魔法を使うんだけどこれは腕輪を通せば魔法抜きでできる。完全な炎なんてそうそう出せるものじゃあないのに」
ユイがそう答える。
「そんなものが何個もあるとは思えない。この商品の正体を知るためにもこの大会に出るぞ。ま、お前が出れば楽勝だろ」
ネラがタケミの肩を叩く。
「楽勝かどうかはやってみねぇと。案外凄いやつが出てくるかも」
「確かに大会の主催者は大領主みたいだし。この世界で闘技大会やってこんな景品出せるなんて相当自分の腕に覚えがあるか裕福なんじゃない?」
「ユイは分かるとして、タケミも意外と慎重な所あるよな。あんな滅茶苦茶な戦い方するくせに」
二人の意見を聞いてそういう。
「そりゃあおれよりずっと強いやつは沢山いるからな!さっきの猫ばあちゃんも強いんだろ?」
「へぇ、分かんのか」
タケミは少しだけ赤鬼を使う。
「あとこの戦い方は身体をフル活用する為にやってるだけだ」
「やり方が刹那的過ぎるんだっつーの」
赤鬼を解除するタケミにそういうネラ。
ユイが作った簡易的な日差し避けの中で涼むタケミ達。
常人ならかなり参ってしまう暑さだが彼らには本来どうってことはない。
ユイは日焼けが気になるみたいで魔法の防護壁で日傘替わりになるものを作っている。
「次の街ってどんなところだ?」
「僥倖の街ベスガ、そこにここら一帯を仕切る大領主がいる」
タケミは水を飲んで闘技大会の紙をみる。
「そいつ強いのかな」
「さあな、昔は結構武闘派って話だったが最近はそんな話聞かねぇな。今では他人から魔石を掠め取るのが一番上手いみたいだ。そいつも闘技大会でるかは行ってからのお楽しみだな」
ふーんっと頷くタケミ。
「そこは美味いもんあるかな」
「ああ、あるだろうな。魔石を持つやつに取っては、楽園のような場所だからな。それよりユイはさっきから何してんだ?そろそろ行くぞ」
「二人は平気なんだろうけど、ここの日差しヤバイって!これぐらい用意しとかないと肌がリアルに焼ける!」
ユイは日傘を作り出せたようだ。
ベスガ、砂の世界のど真ん中に出来た楽園、というのをコンセプトに造られた街。
オアシスを中心に作られた街で砂に囲まれた土地だというのに、そこら中に南国を思わせる植物達が生い茂っていた。これらはいずれも人の手によって管理されているものだ。
煌びやかなホテル、高級レストラン、商店が並ぶ道、そしてカジノに闘技場と人々の注意を引くもので溢れていた。
「はぁ!?参加料?」
「ええ、大会出場には登録料が必要となります」
そんなベスガに到着し、さっそく闘技大会への出場登録をしようと思ったタケミ達。
「それは分かったけどこの登録料は高すぎじゃない?」
「そういう規則ですので」
受付のものはそう答えるだけだ。
どうやらそう簡単に参加できる値ではないようだ。
「なるほど、富裕層が自分の部下やらお抱えの戦士なんかを参加させる大会って事か、流石だな。ユイ、足りるか?」
「全然ダメ」
「クソ、しょうがない。あそこに行くか」
そう言ってネラは受付の場所から離れていく。
「お!なんか当てでもあるのか?」
「タケミ、こういう時のネラはあんまり信用しない方が良いよ」
ついて行くタケミとユイ。
「ここだ!」
そう胸を張って言うネラの後ろにはカジノが。
「やっぱりカジノじゃん」
「ギャンブルかよって、この前も見たぞこの流れ」
呆れた顔をするユイとタケミ。
「今回は戦ったりとか出来ないから確実に勝つの無理じゃない?」
「私に考えがある。役割分担だ、適材適所に行くぞ」
ニヤリと笑ってそう言うネラ。
「まずユイは羽振り良さそうな奴を狙うんだ、炎を手から出しながら脅して魔石を奪え。タケミはボディガードをつけてるような裕福そうな奴を狙え、そんでボディガード殴り飛ばして魔石を奪え。そんで私は魔石持ってそうな奴から脅して魔石を奪う」
「全部一緒じゃねぇか」
「恐喝や強盗を良いアイデアって二度と言わないで」
ツッコミを入れる二人。
「じゃあまっとうに稼ぐしかないってか?」
ネラは口を尖らせて言った。
「にしても今回は珍しく引き際が良いな。あの受付をシバいて無理やりエントリーするかと思ったのに。ちゃんと魔石を集めるなんてさ」
「開催前にそんな事して開催中止にされてみろ、大領主は引っ込むだろうし、目当ての腕輪の行方も分からなくなる。私好みの手段は今回ばかりはお預けだ」
タケミにそう答えて肩をすくめるネラ。
話しているとタケミは何かに気がつく。
「うん?あいつらって」
彼は男女の二人組に近づく。
「お!やっぱりキングとクイーンか!」
「おお、カヅチ・タケミ」
「お前らこんな所で何してんだ?」
それは最初の街で出会い、この間もスライム女帝との戦いで手助けしてくれたキングとクイーンだった。
「そういうお前らこそ。新婚旅行か?」
ネラがタケミの後を追って彼らの元に現れそう言った。
「だとしたら、俺はこんな騒がしい場所じゃない方が良いな」
「資金調達だよ、街の復興の為にな」
「ギャンブルでか?ほら聞いたか!タケミ、ユイ!」
二人の言葉を聞いてネラはタケミとユイの方を振り向く。
「でもキングは前の世界でプロのギャンブラーだったんだろ?」
「そうだ、よく覚えてるな。ギャンブルにも勝ちやすい方法や短時間で稼ぎやすいものとか色々あるんだ」
そう言って何もない所からカードを取り出すキング。
「おお!」
「凄い!魔法は使わなかったよね?」
タケミとユイが驚く。
「この世界はこの手の場所が出来て日が浅いからな、こういうちょっとしたトリックがしやすいんだ。まあこれは念のためで、めったに使わないけど」
そう言ってカードを仕舞うキング。
「ほー、キングくーん」
ネラがそう言ってキングの肩に腕を回す。
「あ、なんか悪い事考えてる顔してるぞ」
「まったく」
タケミとユイがそういうとキングがため息をつく。
「はぁ、君らには色々と恩があるから力になるよ。でもとりあえずカジノ入るならその格好ではダメだ。ドレスコードあるからな」
確かにそう言うキングとクイーンはタキシードとドレスを着ていた。
「えー、めんどくさ」
「服ならそこに店があるからそこで見繕ってやるよ」
クイーンにそう言われ、3人は着替える事に。
「この服動きにくいな。まだユイやネラの方が動きやすそう」
「わぁ、こういうの初めて着た。なんかちょっと背中が大胆すぎないかな」
「これで良いのか?つーかお前こういうの詳しいのな」
3人はそれぞれドレスコードにあった服装に着替える。
タケミはタキシード、ユイは濃い赤のドレス、ネラは黒紫のドレスだ。
「うるせぇな。前の人生じゃ服飾店で働いてたんだよ」
クイーンがそっぽを向いてそう答える。
「なんか勝手に格闘家とかアスリートのイメージだった」
「趣味でトレーニングしてただけ、ファッションは結局着る人間次第だからな。その点、お前らは見てくれは悪くないから」
ユイにそう返すクイーン。
「とにかくこれでカジノに入れるわけだな。さーて荒稼ぎしてやりますか」
ネラが拳と手を突合せてそう意気込んだ。
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