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第62話 次の街は温泉の街


バアルの口から思いがけない言葉を聞いて驚くネラ。


「魔神軍抜けたってなんだよ?」


「前々からそうするつもりだったのだ。その方が今後都合が良くてな、ああでも大領主である事は変わらんぞ。あの土地を魔神軍から買い取った」

「買い取ったって。そんなのありかよ」

ネラの発言に対してバアルはなんてこと無いように淡々と返していく。


「魔神軍は柔軟なんだ。さて、話を戻そう。女神がスライム族に魔石の話を流したという事だが、どういう理由か分かるか?」


バアルは山にあった魔石についての話に戻る。


「お前だってそれくらい分かるだろう?あの山は女神連中は近寄れないからな。ましてや、あの魔石は女神が触れられる代物じゃない。だからあのスライムのお嬢さんを利用したんだろ?あの力を自分達のものにする為に。あたしから言わせればアイツを味方に引き込んでまでする必要あるのかって感じだけどな」


「その点は我も同感だ、故に連中には他の方法で奴が吸収したものを扱う術があるのではないかと考えている」


「他の方法って奴から魔力を抽出するとか?」


ネラの言葉に対し頷くバアル。


「連中は今も勇者が死ぬとき等に似たような事をしている。だがそれだけでは今までと同じだ。エリクサーの件といい連中は何かより効率的に魔力を得る術を得たか、その寸前まで来ているのではないかと考えている」


バアルは魔石をみせた。


「連中が必死になって魔石をかき集めているのにも、何か意味があるはずだ」



するとタケミが魔石を見て何かを思い出したようで、声を上げる。


「あ、魔石!魔石の中から武者が出てきたんだよ!フツノってやつでさ、そいつに助けてもらったんだ!いなかったらネラとユイがヤバかったんだ」


「……そうか」

タケミの発言を聞いてネラは何かを考えているようだ。


「ん?どうしたネラ」

「いや、なんでもねぇ。今度そいつにあったら礼を言わねぇとな」

ネラは軽く頭を振ってそう返す。


「武者……」

「どうしたユイ?怪我でもしたか?しょうがねぇな治してやる」

マリスはユイの様子がおかしい事が気になったので近寄る。


「そうじゃなくて……なんかその武者ってのが珍しいなーって!本物なんて見たことないから!」


「ああ、かっこよかったぜ!刀を六本も使うんだ!光る腕が4本出てきてさ!」

タケミはその武者の話をしていると、瓦礫の向こうから人影が。



「おや!皆さんお揃いで!」

「なんだぁ、もう終わっちまったのかい?オイラが全員斬るつもりだったのに」


まだ酔っている様子のダイゲンに肩を貸しているウェルズ、その二人も合流した。


「え?ま、魔神族!?」

「マジかよ?!」


その後ろからキングとクイーンも現れる。

二人は魔神族がいる事に一瞬驚き、警戒するが様子をみるに戦っている訳でないという事を把握して武器を収めた。


「お!ウェルズにダイゲンのじいさん!それにお前らも久しぶりだな!」

タケミがやって来た4人に手を振る。



「ではそろそろお暇するか。行くぞ、フォルサイト、マリス」


バアルは指を鳴らすとどこからともなく豪華な馬車が現れた。


「ほほぉ!引く馬のいない馬車ですか!これは珍しい!」

ウェルズが目を輝かせる。


「ではな」

「それではまた、近いうちにお会いしましょう」

「またなー」

バアル達はその馬車に乗り込む。


扉が閉まると馬車は空に向かって走りだし雷光と共に姿を消した。




それから数日後。


「おー!色んなところから煙上がってるぞ」


タケミ達は次の街が見える所まで来ていた。


「ここが!」

「そうだ、温泉街オオエドだ」


オオエドの街全体からモクモクと煙が上がっている。


「キングとクイーンも来たら良かったのに」

「アイツらは他の生き残りと一緒に復興するみたいだからな。全く物好きだよ」

「地下にいた人達が生き残ってて良かったよね」


街の近くまで来ると街から賑やかな音が聞こえて来る。


「さぁ、この街に来た理由はあるやつに会うためだ。だがその前に、温泉だ!」

「うおー!おれ初めてだ!でっけぇ風呂だろ?!」

「温泉!私も初めてだなー楽しみ!」


一行は温泉を目指してウキウキで街に入る。


「なんだこのニオイ、へんなニオイだ」

「温泉の匂いだ、最初はちょっと気になるけどな」

「そうなのか、おれは鼻が効くからちょっと慣れるのに時間かかりそう」


タケミは少し鼻を抑えてそう言った。


そんな彼だがすぐに匂いの事なんか忘れてしまう。

街の中には様々な店が商売している.当然食べ物も沢山並んでいる。


「温泉まんじゅう!」

「おや、お嬢さんお一ついかがかね?」

その中の1つにユイが引き寄せられる。


「10個ください!」

「おお!はいよ、お連れさんの分もね」

「あ、そっか。すみませんちょっと待ってください、タケミ達もいる?」

ユイは店主にそう伝え、タケミたちに振り向く。


「じゃあおれも10個」

「私1個で」

「それじゃあ21個で!」

彼女は2人の注文を合わせて店主に伝えた。


「はいよ」

(一人で10個くっちまうのかい)

店主は厚めで鮮やかな緑色の葉っぱにまんじゅうを包み渡してくれた。


「あんまーい!外の皮がパリモチで中の餡も優しい甘さ!これ何個でも食べちゃう奴だー」

「うめー!このサイズもついつい食べたくなる感じだな。おれならもっとデカくても全然良いけど」


タケミはそういって饅頭と一緒に包んでいた葉も一緒に食べ始めた。


「うん、この葉っぱも一緒に食うと苦味も加わって良い感じだ」

「いや、それは食べるやつじゃねぇよ。ほら店主のおっさんが目を丸くして見てんぞ。全くなんで食うなんてスライムかお前は」


ネラが自分の分の饅頭を口にする。

「ん、うま」


街中にはタケミ達の目を引く誘惑が多い。

今度はタケミが足を止めた。


「すげぇ!この卵真っ黒だぞ!肉もだ!」


「温泉たまごと温泉鳥だよ。長生きできるって言われてるんだよ。ここの温泉には大地の力がたっぷり詰まってるからね。それでゆで上げた料理も栄養たっぷりってね。昔からあるここの郷土料理さ」


「へぇ!そうなのか、たまご10個と肉もそこに吊るしてるやつ丸ごとくれ!」

「私も!」


タケミとユイは真っ黒なたまごと肉を受け取った。


卵は殻は真っ黒だが中身はツルンとした白色で噛むとトロッと優しい味の黄身が出てくる。

茹でた鳥肉はパサつきがちだがここのは違う、しっとりとしており味も染みわたっている。真っ黒で物々しい見た目とは裏腹になんとも親切な味だった。



「うん、普通の卵に比べてちょっと違う味!鶏肉も塩加減が丁度いいなぁ」

「これが大地の味かーうめー!」


「お前ら食ってばっかだな。そろそろ温泉行くぞ、飯はその後で良いだろ?」

もう散々食べてはいるが、ネラはよく知っているこの二人がこの程度の食事で満足する訳がないと。


二人がこれ以上寄り道をしないように温泉へと向かわせるネラ。


するとその道中タケミが何かを見つける。


「おい!あれ!」

「なんだ、また食いもんか?それは後で……」

「違うって温泉だよ!」

「何言ってんだ、温泉はまだ先……」


ネラがタケミの背中を押しながら話すが、その途中でタケミが走りだす。


「ほらこれ!」

彼は看板の隣に立った。


【秘湯ありマス】

という文と矢印だけが書かれている看板だ。


「あれ?こんな所にあったか?」

ネラが顎に手を当てて首をかしげる。


「行ってみようぜ!」

「温泉つきの宿があるけど、まあ良いか。面白そうだし」

看板にある矢印の方へと進んだ。


「これ竹?なんか雰囲気あるねー」

「うん?猫だ、なんかいっぱいいるぞ。ほら竹の間」

生い茂る竹の間にある道を通る一行。


「温泉の匂いが近づいてきたな」

匂いを嗅ぎ、タケミがそう話すと道の先に建物が現れた。


大きくもなく、かと言って小さすぎる事もない建物だった。


「小綺麗な小屋だね。ここの裏にあるのかな秘湯」


小屋の反対側は竹が壁のように生えており見ることが出来ない。

だが温泉の匂いで温泉がすぐそばなのは分かる。


【こちらへどうぞ、今なら待ち時間ナシ】

と書かれた看板が小屋の前に立っていた。


「やった!待ち時間なしだってよ。入ろうぜ!」

タケミは最初に扉を開けて中に入る。


「初温泉が秘湯♪ラッキー」

ユイも意気揚々と入っていく。


「ふぅん、こんな場所にあったかな?」

ネラは看板を見つめながら入って戸を閉めた。


3人が小屋に入ったその時、看板はすぅっと霧のように消えてしまうのであった。



ここまで読んで頂きありがとうございました!


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