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第61話 そんな話をしたかな?


「はぁ、はぁ、こんな事になるなんて」

蠢く液体が話し始める。


その場所はタケミ達と戦っていた場所より離れた所。


グラトニーナは自分の肉体の一部を地中に隠し、もしもの時に備えて逃げられるようにしていたのだ。


「クソッ!!折角あそこまで育ったのに!こんなサイズまで小さくなっちまった!あのタ、あれ、なんだっけ?クソっ!とにかくあの大男絶対にゆるさねぇ!また他の奴らを喰って喰いまくって、デカくなってその身体でぶっ殺してやる!!」


怒りながらも地面を掘り進み外に出ようとするグラトニーナ。


しかし、身体が先に進まない。

透明な壁のようなもので遮られている。


「なんだ?土の感触じゃねぇ」


「ようやく動いたか」


そんな声が上からしたかと思うと彼女は宙に浮く。

正確には彼女が入れられていた容器が持ち上げられたのだ。


「え?バ、バアル・ゼブル?!」

容器を持ち上げていたのは大領主バアル・ゼブルだった。


彼はハンカチ越しに瓶の上を掴んで、中にいるグラトニーナが見えるように自身の顔まで持ち上げていた。


「ゼブル様ー」

「見回り終わりましたー」

そんな彼の後ろからマリスとフォルサイトが現れる。


「どうだった」

「他にあったスライムの欠片は全部消しといたよ、もうそいつだけ」

「おや、丁度こっちに意識が来たところでしたか」


バアルに加えてマリスとフォルサイトも瓶を囲って中にいるグラトニーナを見る。



「そうか、じゃあ貴様を消せば終わりだな」

グラトニーナに目線を向けてそう言うバアル。


「ッ!!?何いってんだよ!裏切るのか!僕を軍に引き入れたのはお前だろ!」


「確かに貴様らを軍に勧誘したのは我だ。何故かわかるか?監視下に置くためだ、危険な存在だったからな」

バアルはそう言うとため息をつく。


「その悪食は今に始まった話ではないが、まさかあの魔石に手を出すとは。貴様がそこまで愚かだとは思っていなかったよ。フォルサイトの監視をもっとつけておけばよかったな。これは我の落ち度だ」


頭に手を当てて首を振るバアル。


「それで、誰からの入れ知恵だ?あの山の魔石を誰から聞いた、という意味だぞ。それとそいつらに魔石を喰ったらどうなると言われた?ちゃんと答えたら見逃すことも考えてやろう」


バアルの鋭い視線に怯えるグラトニーナ。

流石の彼女も、バアルが自分を消す事に躊躇しないという事を察したようだ。


「女神だ!女神たちが言ってたんだ!あの魔石を取り込んだら僕は最強になれるって!この世界の女帝になれるって!ああ、そうだ女神はなんか白い格好してた!妙にうざったい奴だったよ!あいつら僕を騙したんだ!」


整理のつかない頭でもって、必死に思い出し情報を伝えるグラトニーナ。


「やはり女神か……つまり貴様らは魔神軍を裏切ったという事だな」

このバアルの言葉に焦るグラトニーナ。


「ち、ちがっ、違う!その力を手に入れてお前らの役に」

「黙れ、これ以上貴様の無駄話につき合わせるな」


バアルがそう言うと瓶の中に炎が出現する。


「お、おい!なんだこの炎は!?」

炎に触れないように可能な限り液体の身体を小さくするグラトニーナ。


「ゼブル様、この後どうする?」

「とりあえず向こうの様子でも見に行くとするか」

グラトニーナを無視して話すバアルとマリス。


その間にグラトニーナの身体に炎が触れ始める。


「ああっ火が!おい!正直に言ったんだから助けろよ!そういう話だろ!!」

燃やされながら叫ぶグラトニーナ。


「はて、そんな話をしたかな?」

「え……」


グラトニーナは一瞬で炎に飲まれ、最後の肉体も消滅した。




「グラトニーナ・レッカーマウル。これ自分でつけた名前だったけ?名前のセンス以外は最悪な奴だったな。さ、終わったしアイツらのとこ行ってやるか」


「そうですね、魔石も念のため回収しておきますか?ゼブル様」


「いやもう魔石は必要ない。砕けた際に中のものが何故か飛び出して来なかった、もう空の状態らしい」


グラトニーナが入っていた瓶を稲光と共に消し去るバアル。


「結果的には良かったといった所か、にしても魔神軍に属しながら女神に良いように使われるとは嘆かわしいな」


3人はタケミ達が集まっている場所に向かった。


突然現れた3人を見て驚くユイ。

「え?!マリス先生?それにフォルサイトさんにバアルさんも」


「そこに転がってるのはカヅチ・タケミか」

ユイとネラの前にタケミが倒れていた、どうやら寝ているようだ。


「うん、顔や全身の傷は直せたんだけど……」

そう言ってユイはタケミの右拳に目を向ける。


「これだけ治せなくて」


「当たり前だ、完全に無くなったものを治せることなんて出来ない、新しく作るしかない。そんな事ができる魔法は古代魔法の中でも更に高度な魔法ぐらいだし、それ使っても拳1つ丸々なんて相当時間がかかる」


マリスがタケミの側に向かう。


「私がいてラッキーだったな」

手をかざすマリス。


するとタケミの右手首から光る糸のようなものが現れる。

それらは骨の形をとり、次に血管、肉と形を変えていく。


「すごい、どんどん治っていく」

「こういうのが出来るんだ私の一族はな。それをみて巨人族が自分たちのレベルで再現したのが回復魔法や再生魔法だ」


タケミの拳がみるみるうちに再生していく。


「身体が殆ど魔力で構成されてる勇者とか女神なら魔力を補給すれば治るが、肉体を持つお前らは勝手が違うからな。特にコイツは魔力核の稼働が極端に弱いから」



「コイツを見つけた時だが、肌が黒く変色し亀裂があったか?」

バアルはネラに話しかける。


「そうだ、それも全身にな」

「今回は全身か、我が見たのは腕部分だったが」

ネラの返答を聞いてバアルがタケミの腕を見た。


「赤く蒸気を上げるのは私も見たことありますが黒くなるとは?」


「コイツの新しい自己強化方法だろうな。まず第一段階、これは血流量を増やし運動能力を向上させる。主に強化されるのはスピード面だ攻撃の回転率向上とも言えるな」


フォルサイトの質問に対してバアルが彼なりの考えを話し始めた。


「そして次がコイツが新しく生み出した、黒くなる状態。恐らく血流量を更に引き上げ、筋肉へ重点的に血を送り込んでいるのだろう。過剰な筋肉の活動を実現する為には相応のエネルギーが必要だからな。それによって急激な筋肉の膨張が起き、皮膚がそれに耐えきれずに裂けて亀裂ができ、血が蒸発し赤い煙になり。皮膚が黒くなってるのは壊死してるんじゃないか?いずれにせよ滅茶苦茶な戦法だ」


バアルは頭を振ってそう言った。



「よし、戻したぞ」

マリスがそう言うとタケミが目を覚ました。


「お!マリスじゃねぇか、それにバアルにフォルサイトも!あれ、拳治ってる」


起き上がって自分の拳を見るタケミ。


「元に戻してやったんだ、感謝しな」

「おう!ありがとな!」


「また滅茶苦茶なドーピングをしたみたいだな」


バアルにそう言われてタケミは嬉しそうに笑って頷く。


「今度のは赤鬼よりスゲェぞ、今度お前らと戦う時があったら見せてやる。あ、そうだ名前……どうすっかな赤鬼と違うし」


そんなタケミの様子をみてマリスがため息をつく。


「呆れた……拳失うぐらいじゃどうともねぇってか。どうすんだ元に戻せなかったら?右手ずっと無いままかもしれねぇんだぞ」


「そんときは左手で飯食えばいい。今回ので拳なくてもぶん殴れるの分かったし」

タケミは笑って返した。


「飯の心配かよ……」

「余計な学びを得ちゃってもう、らしいと言えばらしいけど」

マリスとユイは似たような反応をする。


「ふふふ、タケミ殿は相変わらずですね。そう言う所が興味深いのですが」

フォルサイトは嬉しそうだ。


「お前が与えた奴の身体には戦闘狂になる呪いでも込められてるのか?」

「どうだろな」

バアルとネラもこれには呆れた様子。


「そういえば魔石の件だが、女神連中から御神託をもらったらしいぞ」

「やっぱりか。ふん、なんだてめぇのとこも1枚岩じゃねぇんだな」

「ああ、嘆かわしい事にな」

肩をすくめるバアル。


「魔神軍の大領主様は大変だな」

ネラは少し嫌味っぽく言った。


「ああ、その事だが私達は魔神軍を抜けた」


「ふーん……は!?」

バアルの顔を二度見するネラ。



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