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第52話 ホットチョコとディープパープル


グランドオークの住む里を襲撃してきた勇者達。

この一部をマグマを操る魔法で迎撃するホットチョコ。


一網打尽かと思われたが一人だけ彼女の攻撃を生き延びたものがいた。


「お前のマグマは俺の”如何なる物に潜行できる能力”の前では無力!先に行かせてもらうぜ!」


重装備の勇者はその装備の重さを感じさせない軽やかなスピードでマグマの中に潜り、泳ぎ進んで行く。


「おっとさせないよー」

マグマを操り始めるホットチョコ。


「潜行した対象の流れの影響は受けるみたいだし、こうしちゃえばどうかな?」

彼女はマグマに流れを変える。


「なんだマグマが全て外側に流れて!?めんどくさい事しやがる」

重装備の勇者は進もうとするが里に近づくほどマグマの流れが強くなり押し戻されてしまう。


「素直にそこから出てきたら先に進めるかもよー」

「ふざけんな!できるかそんなこと!」

作戦を変更し、先にホットチョコを倒す事にした勇者。


「くらえ!ハイドロスマッシュ!」

勇者はマグマから腕を出し水の魔法を放つ。


里を飲み込みそうな程の水の量、しかしそれは一瞬で蒸発。


「魔法ねぇ、範囲は広いけど全然だね。質がまったく伴ってないよ」

「クソッ!」

マグマに再び潜行し移動する勇者。


「じゃあ次はこっち」

ホットチョコは鎖鎌を振るった。


鎌が勇者の顔面目掛け飛んで行く。


「そんなもん効くかよ!なんにでも潜行するっていっただろ!」

彼の言った通り鎌は顔をすり抜けていってしまう。


「それは何より、これで終わったら呆気ないもんね」

鎌を自分の元に手繰り寄せてホットチョコはそう言った。



潜行し魔法を放つ、これを繰り返す重装備の勇者。

すると今度はマグマの中を移動するものがいる事をに気が付く。


「今度はアイツが来たのか!?ちっ!」

勇者は全力で泳ぎ、マグマを進むものから距離を取る。


「しつこいな!くんじゃねぇ!」

「はい、解除」


周囲のマグマが一瞬で消えた。


アーチ状のマグマの中を潜行していた重装備の勇者は、空中に放り出されてしまう。


「え?」

「このマグマちゃんたちは全部実際のマグマを操ってると思ったー?違いまーす、私の魔力で生み出しただけでーす、なのでフツーに一瞬で消せちゃいまーす」


下にホットチョコがいる事を確認した重装備の勇者。

「あ、あれ下にいる?じゃあ今も俺の後ろについて来てるのは?」


振り向いてようやくその正体が分かった、追いかけてきていたのはホットチョコではなく鎖だったのだ。


「さっきあんたが必死に追いかけっこしてた相手は私の鎖鎌ちゃんだよ。魔力だけみたら私が追いかけてるふうにしてみたの。まんまと引っかかってくれたねー」


ホットチョコは勇者を見上げる。


「そう考えると魔力感知に頼ってるとこんな問題もあり得るのか。ふむ、タケミちゃんに後でどうやって相手の動き感知してるか習ってみよ」


そう言ってホットチョコは一瞬で空中にいた勇者の目の前に現れ、首を掴んだ。


「は、離せ!!」

「やっぱり潜行できるのは無機物ぐらいか、大きな生物は通過できないんだね。そうじゃないとわざわざ魔法なんて使わずに私の身体に潜行して脳や心臓潰せば終わりだもんね」


ホットチョコの手が赤く光る。


「あああ!!」

「ま、アンタなんかの力じゃそれも出来ないか。じゃーね名もない雑兵さん」


彼女の腕からあふれ出したマグマに勇者は飲まれ、跡形もなく消滅してしまう。



一方その頃ディープパープル、彼女が生み出した毒霧で殆どの勇者を倒したがこちらも一人残っていた。


「すごい!こんなに風を操れる!ははは!この能力は完璧だ!」


能力を使って自分の周りに風の防壁を作る勇者。

それによって毒霧がどんどん遠くに散らされていく。


「どうだ!貴様の毒霧は吹き飛ばした!ブーメランも届かないぞ!」


「ふぅん。風を操るねぇ、暑いとき便利だねぇ」

その様子を少し離れた所からみるディープパープル。


座り込みながら自分の周りにブーメランを周回させていた。


「直線的に終わらせるのつまんないしなぁ。ちょっと面白いやり方しようかなぁ」

そう言ってディープパープルは自分の周囲を飛び回るブーメランを勇者に目掛けてとばした。


「きっとあれがあるからぁ」

勇者を取り囲むように四方八方にブーメランたちを飛ばす。



「効かねえって言ってるだろ!!」

勇者は飛んできたブーメランを風で弾き返す。


ブーメランはそれでも地面には落ちずに彼の作った風の壁の外を周回していた。


「なんだ?周りをぐるぐると、まさか!」

後ろを振り向く勇者。


「お、みつけたねぇ」

「ブーメランが……!!」


ブーメランが風の防壁を潜り抜け、勇者に迫っていた。


「外に向かって風を出しつづければ中の空気はどんどん無くなっちゃうよね。その完璧な状態を続けるには、呼吸に必要な空気を取り込まないとねぇ」


「く、クソ!……だが所詮は!」

勇者は手元で風を起こし迫ってきたブーメランを叩き落した。


「こんな板きれ程度はたき落とす事ぐらい訳無いんだよ!舐めるなオークめ!」


「あーあ、やっぱりそれしちゃうかぁ」


残念そうなディープパープル。

これは自分の攻撃が相手に届かなかったから、ではなかった。


「な、なんだ!身体が動かない!?」

風の勇者はその場に倒れ込んだ。


何かに縛られたように身体が動かなくなり、その場に倒れた。

自分の身体に何が起きたのか目線を向ける勇者。


するとうっすらと光を反射するものが身体に巻き付いていた。注意深く見ないと気づかない程の細い透明な糸だ。


「風ビュンビュンで見えなかったかなぁ?ブーメランについてる毒の糸」


糸が触れている部分を朽ちさせていく。

この毒の前に鎧も肉体も大した差は無いようだ。


「ああ!くそ!こんなはずじゃなかったのに!」


鎧が朽ち、皮膚が溶けていく、不思議とそれに痛みがない。


「風を攻撃や移動に使えば良かったのにねぇ。きっとタケミくんなら私に勝つために毒に侵されるの覚悟で来るんだろうなぁ。ただの壁を作るためにしか使わないなんて持ち腐れだねぇ」


戻ってきたブーメランをキャッチするディープパープル。


「ま、それでも少しだけ生きてる時間が伸びただけだろうけどねぇ」


「……ア゛……ア゛ア゛ッ!!」

勇者はもがくが既に手遅れ、毒は全身に広がっていく。


「それじゃあ、さよならぁ」


勇者の全身が朽ちて崩れ去るのを確認してからディープパープルはその場を離れた。




ほんの少し時を遡って、里の正面。


「オラァッ!!まだまだ足りねぇぞ!」

タケミは次々と敵を叩き潰していた。


「なんだよメチャクチャだぞ!アイツ!」

「拘束するんだ!魔力を集中させろ!!」


勇者達は鎖を生み出してタケミの手足を縛る。


「へぇ、こっからどうするんだ」

タケミが相手を睨む。


「お、おい!あんたの出番だ!!」

「しょうがないな、私の能力でやってあげる」


そう言って集団の奥から一人の女性が現れた。

軽装備にマントを付けている。


「この人は上級女神様から加護を受けた方なんだ!!」


素晴らしい紹介を受けたその勇者がタケミの前に立つ。


(こいつ結構好みのタイプだな。勿体ないけどしょうがないか)


「へぇー上位女神様かぁ。そりゃあ楽しみだな」

そう言ってタケミは笑みを浮かべた。


「ふん、何笑ってんの。これから地獄をみるっていうのにさ!」


相手はタケミの身体に触れる。


「……ゲフッ」

タケミは口から血を吐き出す。目の前の相手にその血が頭からかかった。


「あ、わりぃ」

「血まみれ……ていうかなんで平然としてるの?」

頭から血を浴びたが、相手はそれよりも驚きが勝っていた。


「なるほどな、体内を直接攻撃できるのか。確かに内臓は基本弱点だもんな……そうだ、良いこと思いついた!」


そう言ってタケミは鎖を引きちぎった。


「え……?」

「く、鎖がッ!?!」

タケミは目の前にいた勇者を使えまえて放り投げた。


「え、ええ?!」

空中に浮いた相手はそのままタケミの背中に乗った。


「ほら、鎖だ、それでしっかり自分の身体が離れねぇように縛りつけておけ」

タケミは背中の勇者にそう言う。


「ど、どう言うつもり?!」

「そのまま掴まっておけって!おれから一瞬たりとも手を離すな!その能力を全力で使い続けろよ!」


自身を縛る残りの鎖をまるでものともせずに引きちぎるタケミ。


「行くぜっ!!」

タケミは勇者を背中に乗せまま他の者に攻撃を仕掛ける。


(チョコが言ってた別の手ってのはそんな思いつかねえが、まずは回復力を上げて赤鬼の出力を上げる。その一手をもっと磨くんだ)


次々と勇者達を倒していくタケミ。


その間も背中にいる勇者は彼に能力を行使していた。


(あとはあの身体が黒くなる状態、破壊力はダントツだ。でも一発攻撃するとその部位が動かなくなっちまう。新しい一手に加えるには再現性が低いし使い勝手が悪い。手数を増やすにも、一つを極めるにも治癒力は必須だ!)


タケミは何度か経験したあの身体が黒くなる状態、あれを新たな一手にと考えたのだ。だがそれには更なる鍛錬が必要だ。

そして彼は幸運なことに、早速この考えを試すいい機会に恵まれたのだ。


「これは良いトレーニングになりそうだ!」



ここまで読んで頂きありがとうございました!


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