第41話 大領主様からのお手紙
港町マリンネ、そこで上級女神のグリーディと遭遇するネラ。
その場には他に白い鎧を着た黒兎のクレイピオス、そして黒い鎧を着た白狼のアスタムがいた。二人はネラ達に用事があるとの事。
そして今は朝食を彼女らと共に食べていた、なぜかフォルサイトとマリスも一緒に。
「で、テメェらなんのようなだよ」
「またフォルサイト様に向かって!って何してんだメス人間!」
キッとネラを睨むクレイピオス。
「まあまあ姉さん落ち着いて。あとその呼び方はやめたほうが良いよ」
「いやぁ、本当にふわふわ、ずっと触ってたーい!」
その頭をユイが撫でていた。
「だろ?こいつらの毛気持ち良いんだ」
マリスが白狼のアスタムを気持ちよさそうに撫でていたので、まねて撫でてるようだ。
「マリス様がそういうなら……おい人間さん!撫でるなら頭より顎下だ、これは常識だ!」
ユイは言われた通りにクレイピオスの顎下を撫でる。
「ふふふ、既に仲良くなってますね。さて本題に入りましょうか、でないと5秒後にネラ様が私に鎌を振るので。いや、それもそれで面白いですね、ちょっと待ちましょうか」
ネラに向かってほほ笑むフォルサイト。
「サプライズを看破されて興ざめだ。やーめた」
「あら、そっちの未来が来てしまいましたか、残念。ではこちらを」
そう言ってフォルサイトは一枚の手紙を取り出した。
手紙を受け取るネラ。
昆虫などにみられる羽をモチーフとしたシンボルの封蠟印がされている。
「まったくご丁寧な事で。おい、タケミこれ読んで」
「ん?ああ、いいぞ」
一旦食事の手を止めてタケミが手紙を受け取る。
「ほぉ~タケミ殿はこの世界の読み書きが出来るのですね」
「ん?そういえば読めるな」
「あ、確かに、私もこの世界に来てからすぐ読めたね。文字とか違うのに」
「勇者達のようにネラ様が頭をいじったのですか?」
フォルサイトの発言で二人はネラをみる。
「頭いじるってなんだ?!」
「脳改造してるの!?もっと魔法的なあれじゃなくて?!」
「そんな面倒なことしてねぇよ。それともいじくって欲しかったか?」
ネラの言葉でホッとする二人。
「よかった、でもそっか、ネラに頭いじられてたらもっと酷い事になってたもんな」
「だね。たぶん未知の言語しか話せないとか、一単語しか話せないとかありそう」
「おい、どういう意味だそれ」
タケミは視線を手紙に戻した。
そこにはこのような事が書かれていた。
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敬愛する浮浪の旅人一行様
お元気でいらっしゃいますか。貴方の事ですから今頃敵の鮮血や臓物にまみれてお忙しいかもしれません、そのような時に我の手紙を手に取って下さった事、誠にありがとうございます。
さて、先日興味深い情報を入手いたしました。女神たちがとある秘薬を売りさばいているとのことです。貴方のお力をお借りして、この情報を掘り下げていただけないでしょうか。秘薬が何に使われているのか、そして女神たちが何を企んでいるのか、気になるところです。もし調査が進展しましたら、ぜひお知らせいただけますようお願い申し上げます。
敬具
バアル・ゼブルより
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「だってよ」
「なんだ仕事の依頼か?にしても随分とスカした文章だことで」
手紙を読み終えたタケミに対し、ネラはこう言った。
「あ、まだ続きがあった」
下に何か他にも書いてあった。
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余談ですが、こちらの手紙は読み終えてから5秒で爆発します。どうせカヅチ・タケミあたりが読んでいそうなので問題ないと思いますが。
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直後にその手紙は爆発した。
タケミの顔面が炎に包まれる。
「あっつ」
鼻先がちょっと焼けたタケミ。
「本当に爆発した」
「おお、焼けた鼻がすぐに治りましたね。前より回復力あがりました?」
ネラとフォルサイトがそれを見てそう話す。
「にしても秘薬ねぇ~、ぐびっ」
食後の酒を飲んでネラは話す。
「あ、ちょっと!ネラ、ダメだよ!」
ユイがクレイピオスの顎を撫でながら注意する。
「その秘薬ってのはなんなんだ?」
タケミが質問する。
「精神を目覚めさせることで集中力と魔力を高めてくれる、みたいな感じの薬だ。まあ本当の効果は魔力を限界以上に引き出すってもんだがな」
「え!そんな事したら」
マリスの返答に対してユイが反応する。
「そうだ、どんな生物も扱える魔力量ってのは決まってる。多少は増やせるがそれでも限界はある。それを超えた量を強制的に引き出せば当然その先にあるのは破滅」
「なんでそんなもん売ってんだ?そんなに金に困ってるのか?」
タケミがふたたび質問をする。
「金?ああ、この世界で言う魔石か、まあそれもあるだろうな。最近連中はやたら魔石を集めるのに凝ってるからな。でもそれだけじゃない、実験が目的だろうな」
「秘薬を売り、その効果を確認し改良する。最終的にその秘薬を勇者達、あるいは自分達自身に使用する予定でしょうね」
マリスとフォルサイトがそう答えた。
「なるほど、連中が秘薬を完成させる前にその計画を潰すって事か」
酒を飲み終えたネラの発言にフォルサイトが頷く。
「まあ端的に言うとそうですね」
「その秘薬はなんて言うの?」
「商品名は私達が調べた、【エリクサー】だ。ものによってちょっと名前を変えていたりするが大体一緒だった」
まだ撫でられていたクレイピオスがユイの質問に答える。
「しょうがねぇ、女神連中の好き勝手させるのも癪だしな。手伝ってやるよ」
ネラがそういうと嬉しそうにするフォルサイト。
「ではこちらをお使いください、旅の路銀にでも。報酬の前払いです」
彼女はそう言って魔石の詰まった袋をユイに渡した。
「うわぁ!すっごい綺麗な魔石!こんな高純度なものをこんなに!!ありがとうございます!」
「ばーか、それ受け取ったら本格的にこいつらから依頼を受ける事になるんだぞ」
「いいじゃーん、どうせ引き受けるんでしょ?それにくれるって言うんだから♪」
上機嫌になったユイはネラにそう言う。
「はぁー美味かったなーこの店」
「ふふふ、気に入って頂けたようで何よりです」
「フォルサイト様!なんと気遣いのできる素敵なお方!!」
食事を終えたタケミ達が外に出る。
すると人だかりが出来ていた、何の騒ぎかタケミは近場にいた者に話しかける。
「なんだ?血の匂いがするな、喧嘩でもあったのか?」
「いや、違うんだよ。なんか変な商人が叫んでんだよ」
「変な商人?なんか最近そんな奴にあったような」
タケミが騒ぎの方へ目を向けると小太りの男性が叫んでいた。
「本当だ!俺はみたんだ!!」
肩で息をしているその男性、黄色を基調とした服は血で汚れている。
タダならぬことが起きたのは明白だ。
「落ち着けっておっさん。まずはその血、どっか怪我してんじゃねぇか?だったら手当てしねぇとだろ!?」
他の者は落ち着かせようとしている。
「確かに多少擦り傷ぐらいはしてるだろうが、この血は俺のじゃない!護衛に雇ってた連中のだ、俺は外に出てたんだ、座りっぱなしで足腰が固まって来たからちょっと動かしくなって、伸びでもしようと思って外に出てたんだ!」
彼はかなり錯乱しているようだ。
「そしたら、そしたら急に空が暗くなって。ズドンッって体が浮いたんだ。それで振り向いたら俺の馬車が潰れてたんだ。他の連中が怯えてて、どうしたんだって話しかけようとしたらそいつらも上から来た足に潰されたんだッ!!」
男は頭を抱える。
「あれは巨人だ!巨人が現れたんだ!!」
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