表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/74

第40話 白の騎士と黒の騎士


港街のマリンネに到着した夜、ネラは何かを感じ取り街に飛び出した。



これより少しばかり前。

マリンネ中でも一際高い建物、レンガ造りのその最上部には鐘が三つあった。そんな建物の屋根に、頭からつま先まで鎧を着込んだ騎士風の者たちがいた。


「ようやく到着したがもうこんな時間か、流石に店はもうやっていないか」

白い鎧を着た者がそういって腹を鳴らす。


「そうだね、食料は干した野菜とかはまだ残ってるから、これでも食べておこうか。あの人たちも休んでいるようだし。朝を待ってそれから行こう」

黒い鎧を着た者がそう答える。


すると突然この二人は高く跳び上がった。

直後二人が先程までいた場所を光る何かが高速で通過。


「魔力の矢か!」

「それにこの魔力は!」


着地した二人は武器を取り出した。白の騎士は大きな盾を、黒の騎士は両刃剣を構える。


「ふふふ、よく避けたわね」

「ふん、背後から矢で不意討ちとは。さすが女神様、趣味がいいな!」


二人の騎士の前に現れたのは白いドレスを着た女神だった。


「この感じ、貴様は上級女神か」

「そうよ。光栄に思いなさい、私を拝めるなんて」

黒の騎士にそう言うと、白いドレスの女神は髪をさっとなびかせる。


「ふん、相変わらず尊大不遜な連中だ」

白の騎士が嫌そうに話す。


「この魔力、かなり抑えているけど分かるわ。あなた達は魔神軍、それもそんじょそこらの一兵卒じゃない、隊長かしら?」


女神は光を放つボウガンを生み出す。


「ここでの戦闘は避けたい、そうでしょ?なにせここはあの大領主バアル・ゼブルの領地ですからね」


翼を広げ、飛び上がり女神は矢を一発放つ。

その一本は無数に分裂し街に降りかかる。


「テメェッ!」

「白炎楼!!」

黒の騎士は両刃剣から白い炎を放つ。

放たれた炎は街を覆う壁のように広がり、矢を防いだ。


「白い炎、珍しいのを使うのね。……っ!」

女神は横からの衝撃によって吹き飛ばされる。


「余所見してんじゃねぇぞ。とろい奴だ」

白の騎士が盾を前方に構えて空中に立っていた。


「グッ!何が」


吹き飛んだ先に黒の騎士が現れる。

「本当だ、上級女神様は随分とすっとろいんだな」


黒の騎士は女神の翼を斬りつけた。


「あんなでっけえ翼なんかつけてるから遅いんだよ。これでいくらか早く動けんじゃねぇかー?」

建物に落下した女神を見下して白の騎士が笑う。


「テメェら……テメェらよくもッ!この高貴な身体に傷をつけやがったなッ!!!」


飛び起きてそう叫ぶ女神。


「汚らしい貴様らの武器で!ああみろ!この服だって汚れてしまった!!」


「おいおい、随分と沸点の低いやつだな」

「ああ、だがあの女神、魔力量が上がっているぞ」


下から騎士たちを睨みつける女神。


「下等生物の分際で!後悔させてやる!!」

女神は膨大な魔力を放出する。


「こんな所で本気出す気かよ。周りへの影響は考慮しねえってのが女神サマのモットーなのか?」

「流石にこちらも相応の対応をしないとな」


騎士たちも光を帯び始める。


「魔力」

「解ほ……」 


すると突然高速で何かが飛来してきた。

女神の顔をめがけ飛んでいく。


「なんだ!?」

咄嗟に頭を逸らすことで回避する女神。


目を凝らすと、それは鎌だった。


「あの鎌は!!」

回転する鎌はグルッと周回し持ち主の元へ戻る。


「なーんか、面白そうなことしてんじゃねぇか。私も混ぜろや」

現れたのはネラだった。


「お?なんだ、上級女神様のグリーディじゃねぇか」

ネラは白いドレスを着た女神をみてニヤリと笑う。


「こんな夜更けになんだ?つーかその服似合ってるな、特に汚れてる部分がよ」


「くっ、貴様が来たら話が変わる。ここは一旦引かせてもらおう。貴様ら二人にも必ずこの借りは返すぞ!」


彼女は光の柱に包まれ姿を消した。


「け、逃げ足の早いやつ」

ネラはそういって騎士たちをみる。


「で、お前らは私達に用があるんだろ?とりあえず私は戻るぜー」

彼女は自分の宿に戻っていく。




翌朝、ネラたちは豪華な部屋で朝食を食べていた。

横に並んで座り、テーブルに並べられた様々な料理に手を伸ばしている。


「へー、女神が来てたのか」

「ああ、そうなんだよ。そこにこの騎士さんたちもいてよ。まあ、そこまでは良いんだが……」

ネラが食事から目線を正面に向ける。


「マリス先生、もうシロップ良いですか?」

「ダメだ、もっとだ!」

「ええー!もうかなりかかってますよ」

「ダバダバぐらいがちょうど良いんだ!ほら!」


ユイがマリスの皿に乗ったパンケーキにシロップをかけていた。


「うーん!やはりここの料理は美味しいですね。内陸だと新鮮なお魚って川のお魚しかありませんでしたから。おや、どうかされましたかネラ様?」

ネラの真正面にはフォルサイトが座っていた。


「なんでお前らがいるんだよ!」

何故かフォルサイトとマリスも一緒に座って食事をしていた。


「いいじゃないですか。このお店は私たちが予約していたんですし、かなり人気店でモーニングから結構混むんですよこの店。この部屋はゼブル様専用のVIPルームなんです」


「そういう話じゃなくてだな……」


ネラが頭を振る。


「お二人も一緒に朝食にしませんか?昨日は走りっぱなしで疲れたでしょう?」


「え……」

「いや、でも……」

フォルサイトに呼ばれた二人の騎士はお互いを見合う。


「大丈夫です、この通り人は来ません。この方々は信頼できる方々ですから」

そう言われると二人は甲冑のヘルメットを外す。


白の騎士からは黒い毛と長い耳、黒の騎士からは白い毛と尖った耳がヘルメットの下から現れた。


「獣人族か、これはまた珍しい連中が出て来たもんだな」


白の騎士は黒い兎、黒の騎士は白い狼の顔をしていた。

厳密にいえば各動物の要素と人間を掛け合わせたような顔だ。目などは人間のようだが鼻や口、そして耳などは動物のそれだった。


「二人共、自己紹介をお願いします」


「はっ、バアル・ゼブル様直属部隊、第3部隊隊長クレイピオス」

「同じく第4部隊隊長アスタムと申します」


二人はそう言ってお辞儀をする。


「ん、よろしくなー」

「へぇ、獣人族初めてみたー!すっごい綺麗な毛並み!」

タケミとユイはそう言って二人に軽く手を振る。


「どーもー」

「ちょ、ちょっと姉さん、失礼だよちゃんと目を見て言わないと」

横に視線を向けてそういうクレイピオス。それを注意するアスタム。


どうやら二人は姉弟のようだ。



「にしても、そのぉ……ふぉ、フォルサイト様、レクス・マリス様」

「一体いつから」

黒兎のクレイピオスと白狼のアスタムが尋ねる。


「ずーっとですよ。昨晩の女神との戦いもみていました。私達に気付かないなんてお二人共まだまだですね」


「同じ隊長なのに"様"ってへんなの、フォルサイトの方が偉いのか?」

「ああん?テメェっ!フォルサイト様を呼び捨てなんて無礼だぞ!どういう関係性だコラ!」

黒兎のクレイピオスがタケミに噛みつく。


「別に無礼もなにも、おれは魔神軍じゃねぇしいいじゃんか」

「グッ!ああ言えばこう言う!」

「いや姉さん、相手はまだ一回しか返してないよ」


「こらこらクレイピオスさん、落ち着いてください。すみませんね、タケミ殿。彼女は些か感情的になりやすいんです」


フォルサイトがクレイピオスをなだめる。


「くぅーー!フォルサイト様に謝られるなんて!光栄に思い、この瞬間を毎秒思い出して感謝するんだなオス人間め!!!」

「ちょっ!姉さん!」


今にもタケミに飛びかかりそうなクレイピオス、それを必死で抑えるアスタム。


「まーた喧しいのが増えたな」

ネラはこの光景をみてそう呟く。



ここまで読んで頂きありがとうございました!

今後も投稿していこうと思うので評価、コメントなどして頂ければ励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ