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[10]魔剣男子と統括者の戦い

続々と神殿の中へ入ってく兵士を横目にソフィーは空を見続ける


「人の命は儚いものね。私は何人もの死を見てきたけれどいい気分はしないものね幾度と見てきても心につっかえる物があるわ」


「長命種の宿命と言っても過言ではないじゃろう。我も数え切れぬ者達の死を見てきた。じゃが悲しさも時間と共に風化していくのじゃそれが恐ろしいも悲しくもある」


「………」


コツコツと足音が近寄ると私の隣で止まる


「あの…」


ソフィーは空を見上げるのをやめ声をかけられた方へと向いた


「どなたかしら?」


「僕は南の国の納棺師名は『トレイシー・クホロワ・リリー』と言います。名前で呼ばれるのは好きじゃないので『管理人さん』と呼んで下さい。ここに故人様がいるとの事で参りました。案内して貰えますか?」


灰色の肌をし全体的に暗い印象を受ける


「えぇ」


ソフィーは立ち上がり神殿の中へと入る

奥の聖女の部屋の前で止まる


「ここです」


「赤紐を切るのは僕たち納棺師の仕事なんです。何故だか分かりますか?」


「いいえ」


ソフィーは軽く首を振る


「赤紐はあの世とこの世を繋げるものとされています。簡単に言えば僕たちのような者でないとあの世に迷い込むとされています。迷信なんですがね」


ショキン

特殊な鋏で赤紐を切る


「ここからは僕と故人様の時間なので、案内ありがとうございました」


彼は頭を下げてからドアを開けて中に入っていった


(彼も特殊な種族だったりするのかしら)


神殿内は少し騒がしくなっている


「ソフィーって赤紐切られてる。仕事早いな」


戻ってきたリードにアレイに報告したことを話しついでに通信機も返した


「報告助かったよ。にしても管理人さんがここに居たとは」


「あの管理人さんって人は?」


「管理人さんの種族『葬送屋そうそうや』って言って死者をあの世へ行く為の準備をしてくれる人達の事だ。棺桶に死に装飾をしたり死化粧全ての事を1人でこなす種族なんだ。そして死んだ者と葬送屋だけで行われるのは生前の思い出を聞いたりやり残した事を聞いたりして叶えるのが彼らだ」


「管理人さんは南の国から来たって」


「あぁ、ソフィーの住む屋敷の管理をしているのが彼で湧いた魔物とかを狩ったり屋敷を綺麗にしたりと色々としてて管理人という役職が与えられたんだけど名前で呼ばれるのは好きじゃないらしくて彼から『管理人さん』と呼ぶように強制されてる」


「名前が嫌なのかしら?」


「それは本人が話したがらないから分からないけどな。名前覚えるの得意じゃないから楽でいいけどな」


「リードったらサイテイ」


「ファーストネームしか覚えられない。まったく忘れているわけじゃないから良いだろ?」


「ま、まぁ?そうなのかな」


「とりあえず、食事って気分でもないよな。というかこの調子だと2週間はだいぶキツイからハードモードになると思うけど着いてこいよ」


「頑張るわ」


「近くにパン屋あるから軽食で済ませるか」


「そうね」


神殿を出てしばらく歩くとパンの匂いがすることに気付く


すんすん


「美味しそうな匂いがするわ」


「このパン屋は値段も安くて美味しいから気に入っているんだ。スープも注文出来るから好きに注文するといい」


店のドアをリードが開けてくれる


「わぁ!パンの宝庫みたいね!ウエルも好きな物食べよ」


「スープが楽しみじゃ!」


リードがトレーとトングを渡した


「ありがとう。それじゃあこのパンの宝を探索しよう」


ソフィーがパンに目を奪われている中リードはその光景を大人しく見守る


「ふふ、リード様が親になってるみたいで面白い光景ですね」


「からかうなよ。オーナーそれで売上はどうだ?」


「いつも通り!順調ですよ。でも小麦の輸入が難しかったですが、リード様達の尽力により少しは良くなっていてありがたいものです」


「それは良かった」


「あ!そうだ。これさっき出来上がったんですけど形が崩れちゃってるやつがあるんです。それでも良ければ受け取って貰えませんか?」


「良いのか?でもきちんとそこは払わせてくれ」


「感謝の気持ちと受け取ってもらえれば良いでしょ?勝手に包んじゃいますね」


オーナーが奥へと下がるのを見るとリードはソフィーに近づく


「好きな物あったか?」


トレーを見ると沢山積み上げてあるパンにふっと笑みをこぼす


「くふっ…それ全部食べる気か……」


笑いを堪えながらソフィーに聞くとムスッとした表情をした


「違うよ。ララにもあげたいし美味しい物はいくつあっても良いでしょ?」


「ソフィー我はこのパンが食べたいぞ」


しっぽでちょいちょいと指す


「バゲット好きなの?」


「硬くて美味しいのじゃ」


「そうなんだね。そしたらスープも選びに行こう」


「ソフィーよ早く行くのだ。我はスープを楽しみにしておったぞ」


「うん。なにがあるかな」


「ソフィーそしたらそのトレー貸して、払っておくから」


「私もお小遣い貰ったのよ。ここに来る前にアレイ様から貰ったの」


トレーを渡してから小さな袋をソフィーは取り出すと中から金貨を取り出した


「はい」


「金貨だからその袋に硬貨入らないぞ」


「え……お金の使い方は習ってなかったから分からなかったわ。そんなに高いとは思ってなくて」


「後で教えるから好きなスープを持ってあそこに座って待ってるといい」


「うん」


ースープバーの前ー


「トマトスープ、オニオングラタンスープ、フカヒレスープ、コーンポタージュ、たまごスープ…う〜ん沢山あるわね」


「お嬢ちゃんはこの店初めてかな?」


突然話しかけられビックリするがコクンと頷くとお兄さんは説明してくれる


「このスープは飲み放題だから気になったものは全部ついで見るといいよ。残しても罰金とかないからね」


「全種類ついでいいの?」


「構わないよ。でも注ぐ時は気をつけてね。跳ねたりして火傷しちゃうから」


「そうなのね」


「あれ?さっきの蛇のお友達は?」


周りを見て見ると人に擬態してワクワクした子供の様にスープを注いでいた


「スープ注いでます」


「え?あの子が蛇の子?」


戸惑っているお兄さんを横目に全てのスープを注ぎ終わったウエルはうっきうきで戻ってきた


「ん?あ」


スープを注いだカップのトレーをソフィーに預けてから蛇の姿に戻る

お兄さんは少し戸惑いながらも食べれるスペースの所を案内してくれる


「ありがとう。そしたらリードを待つだけだね」


「スープ飲んでも良いか?」


「熱いと思うからもう少し冷めたらね」


「分かったのじゃ」


ソファーに座って窓の外を見つめているとコトンと机にトレーが置かれる音がしたので振り返るとリードが隣に座る


「金貨で払うとこうなる」


机にドサリと置かれた袋の中を持って開ける


「重い……それに沢山の硬貨があるわね」


「ソフィーのだからしまっておくと良い。夜にお金の使い方も教える」


「ありがとう」


「そしたら食べるか」


「うん」


「「「頂きます」」」


パンを食べてスープを飲む

「!」美味しくて言葉に出来ない感情が押し寄せる


「もちもちしてて美味しい!」


すると後ろから声を掛けられる


「でしょ〜?うちのパンはこの国で1番人気だからね!そるとはい、リード様コーヒー出来たのでどうぞ」


「ありがとな」


私は黒い飲み物をじーっと見つめる


「これ飲めるの……?」


「これはね。コーヒーって言って苦い飲みものなんだけど砂糖とかミルクを入れると美味しくなるのよ。好みもそれぞれホットやアイス、濃いめや薄め色々あるのよ」


「気になるなら試しに飲んでみるといい」


そう言ってリードはコーヒーを私の元にすーっと置いた

カップに口をつけ1口飲む「!?」私はカップから口を離して苦い顔をする


「ぷはは、そんな反応するとは思わなかったよ、あはは」


リードは笑いながら水をくれる


「うぅ、苦いわ」


「ソフィー様甘いジュースよ。これで口直ししてね。全くリード様ったらイタズラにも程々に……」


オーナーから甘いジュースを受け取る


「ありがとうございます」


1口飲むと先程の苦味が嘘のようになくなったが甘すぎて

また渋い顔になる


「オーナー甘すぎらしい」


「えー。この年代の子はこのくらいが好きなんじゃ」


「あの……一応私200歳は超えてます」


「あら?!そうなの?ごめんなさいね。私ったらもう」


そんな会話をしている中ウエルはもぐもぐとパンを食べスープを飲むを繰り返しこちらの話は一切聞こえていないようだった


「魔族で200歳か……人間だと何歳くらいになるんだ?」


「たしかに14歳くらいに思われるわ。500歳くらいで大体成人って感じよ」


「見た目が若いせいで余計混乱するんだよな」


「リードも人の事言えないわよ」


「まぁ、種族によってあてがわれる年齢も違うしな」


「そこが複雑要素を増すのよね」


2人で苦い笑いを浮かべる


 やがて食べ終わるとソフィーは残ったパンをカバンに入れる


「さて、食べるものも食べたし屋敷に戻るか」


「え?もう終わりなの?」


「この国は特に見て学ぶところが殆どないんだ」


「そしたらなんで2週間なの?」


「それは屋敷に帰ったら分かる。さ、行こうか」


リードと共に店を出て広場に止めてある馬車に乗り込む

軽快に走る馬車はすぐに屋敷へと付き降りるとララとルシアが待っていた。そして裏庭の方へと連れられる

裏庭には沢山の武器が並べられていた

唖然とするソフィーにリードが説明する


「俺の担当はソフィーの潜在能力を引き出し高めること。戦闘向けのサポートをするためだ」


「戦闘向け?」


「覚えているかは分からないがソフィーは黎舞と少し戦っている。その時の事を聞いたら『剣のブレも少なく軽快な立ち回りをしていた。だけど隙と相手への躊躇がある』と言っていた。そして俺に与えられた仕事はソフィーの得意とする武器を探しそれに対しての使い方から強化防御全てをこの2週間で叩き込む!安心しろそこらの兵士よりは優しくするつもりだ。まずは……」


「ちょ、ちょっと待って。つまりは自分を守る術を学ぶってこと?」


「それもそうだが、自身の命と他の者を守る力をつけることだ。ここにはどんな武器もある!さぁ!好きなものを選んで使ってみるといい!!」


目の前にズラーっと並べられている武器を見る


(これは剣、隣は刀、剣が2つって事は双剣ね……って種類多くないかしら?!私に向いてる武器を選ぶのは時間がかかりそうね……

棍や斧は振りが遅くなりそうだし、でも弓だと近距離が厳しい……銃はかなり練習が必要そうね。剣以外だと、、、槍とか薙刀、あとは円月輪これは扱いが難しそうね。鎌はどうかしら?)


「悩んでるな」


「えぇ、難しいわ。私に扱える武器を探すのは骨が折れるわ」


「何も武器種1つ選べとは言ってないぞ。例えば弓。近距離になっても形態を変えて剣や薙刀にすることだって出来る。鞭は刃の羅列にしてもいいし、毒を仕込んで切り傷を負わしてやるのもありだ。銃も当てなくても罠を仕掛けることも可能だ。もしくは最大魔力をぶっ放して更地にするのもあり。そして相手は確定で死ぬが自分も瀕死」


「自分も瀕死じゃダメじゃない!?」


「円月輪は自分が傷つきそうで怖いのなら自身の身を切らないという制約をかければいい。それにブーメランみたいに投げ飛ばしてキャッチして2ヒットさせるのもありだ。近距離だが身軽なソフィーなら使いこなせるだろう。遠くから襲撃も出来るしな」


「戦闘狂の名は伊達じゃないわね」


「あとは、丸のこ型大剣。相手を引き裂くことも出来て物理で殴りとばす!あとはナックルこれは(ソフィーを軽く見る)……なしか」


「何を考えてたのか聞かせてちょうだい?」


「ロマンがあるのはロボット化する所か!?」


「リード様話がズレてますよ」


「うぐ、悪かった。つい……」


「私は何を選べば……」


「話は武器の話なのですがこの世界には10本の魔剣があるんですよね?」


「ある。その1本は俺が持ってる。ちなみにその魔剣達は所持者によって変化するんだ」


リードが大剣を取り出す


「これだ名前は確か『対勢のヴァリハザ』」


「でも使ってる所見た事ないわね」


「1回軽く一振したんだけど世界の3割を破壊して緊急時以外は使うのを禁止されている。この大剣は加護を持っていて敵対しているという敵が多ければ多いほど威力を増すんだ。それに伴って所有者の全ステータスを最大値まで上げる。そして味方全体にも全ステータスを6割上げるという機能持ち。因みにこの大剣は俺にしか持つことが出来ないこの大剣に選ばれた者のみ扱える」


差し出されたので持ってみる


「な、なにこれ、重いどころじゃないわよ」


ドサッ


「まぁ、こんな感じだ」


「世界に10本だとチェシーヌ王国以外にもあるって事よね?」


「そうなりますが私が知っているのは主が持っている物のみで」


「魔剣ならここにあるぞ」


ウエルがゴトッと真っ黒な刀を落とした


「それ魔剣だったのか」


「うむ。少し面倒な仕掛けがある刀じゃ大地や人からの生命を奪い力にするじゃが吸収しすぎると暴走してしまうのじゃ。鞘に入ったままなら何も危害はない」


「この刀の名前は?」


「『彼岸のファーメアン』じゃ。引き抜く事が出来るのは我のみじゃが鞘に戻すのは誰にでも出来る」


「魔剣……奥が深いわね」


「手元にあっても使えないんじゃ意味無いけどな」


「アハハ、確かに」


「気になるのはもしその魔剣10本を使って戦ったらどの魔剣が強いのかが気になるな」


「それは興味深いのう!」


「それをやる時はこの世界でやらないでくださいね。主」


「自分の国を滅亡に追いやる奴がどこにいる。安心しろその辺はあの方の力を頼りにさせてもらう」


「とりあえず私に適性のある武器を探すのは長くなりそうね」


「いや、そんなことないよ」


後ろから声を掛けられる

振り返るとシルファであった。そしてきちんと3メートル離れて話している


「僕は薬師でも魔術師でもある。魔術道具で適性武器を教えてくれる魔道具があるんだ」


「ほんと?!」


「嘘はつかないよ。それにその魔道具あるの知ってますよね?リード様」


「いや知らない!」


「こんの!戦闘狂め!はぁ、とりあえずここにその魔道具があるから手をかざしてみて」


机にその魔道具を置くと私にやるよう促す

その魔道具は水晶のような見た目をしている


(えーと、手をかざすんだよね)


スッと手をかざすと水晶から声がした


『汝の適性を測る。この水晶に魔力を少し注ぐがよい』


言われた通りに少しの魔力を水晶に向けて流し込む


『な、なんと!最高でも適性武器は5つ程なのに汝は全ての武器に適性を示している』


「ぜ、全部?」


「これはリード様以来の逸材が現われたね。ソフィー様流石だね!」


『それに。汝の適性武器は自身の血を扱う『血戦式術』となる。魔法だと氷と風が良いだろう』


「血戦式術?」


「かつて自身の血で戦っていた者は彼1人だけだ。2人目の血戦式術を使う者が現れるとは俺も予想外だ」


「血戦式術は自身の血を使うんだけど、使っても魔力があれば大抵は半永久的に戦う事が出来る術なんだよ。でもそれを扱うには自身の体を傷付けなきゃいけないんだ血が流れないから」


「なんかイヤね」


『娘よ。それは誇りに思うべきものだ』


「この水晶少しうるさいんだよね。しまっちゃうね」


『私はまだ見……』


シルファは水晶をしまうと私に問いかけた


「これ以外も適性はあるらしいけどわざわざ水晶が血戦式術の事を言ったからそれが一番の適性。でも氷と風も適性があるんだね。どうする?」


「えーっと、、、」


「水晶が言った事は片隅に残す感じでいいんじゃないか?気になる武器を好きに使ってみるといい。それに氷で武器を生成できるのならそれも良い」


私は試しに近くにある鎌を氷の魔法で作ってみる


パキパキ/


(こんな感じかな)


リードに手渡してみる


「だいぶ荒いが上達すれば良くなるだろう。重さもソフィーが持ちやすい重さにするといい。これで1回俺に攻撃してみろ」


リードに氷で作られた鎌を返される


「リードに?………やってみる」


「遠慮はいらない」


私は力いっぱいにリードの首を狙うが……

バリンッ!!


「いきなりくるとは思わなかったけど、自身の作った武器がどの程度か分かっただろ?」


「そうね。素早く的確に作れるように頑張るわ!」


「あとはせっかく剣が上手くなっているんだからそれも駆使していいだろう。例えば敵に剣で核となる部分を刺し鎌に変形させて胴体ごと引き裂くこともできる。好きなように組み合わせてやってみるといい」


「リード様は物騒だよね。大丈夫だよソフィー様なら上手くいくさ!できるだけサポートするから」


「ちょっと待ってください。リード様武器の説明が不十分ですよ」


「そうだった。すまない助かったルシアありがとな」


「いえ」


「武器には自身の魔力と属性で作る武器と素材を使って一から作られた武器とは性能が微妙に違うんだ。

ソフィーの作った氷の鎌は相手が魔物や魔力の適合を持つ者には効果が少し減るんだ。例えば武器が100の魔力と属性で作られた物ならそれを適合している敵には30くらい減るつまり70の攻撃しか与えることが出来ない。

でも素材から作られた物はゴーレムなど素材敵とされる奴らには50しか攻撃が与えられないつまり半減される

でもそれを合わせて作る武器は逆方式に強くなる。例えば素材で一から作った武器に自身の魔力と属性を割り当てる事で100与えるダメージを60×2になるつまりは220になる訳だ。でも属性には苦手、得意があるそれも合わさると220は超えるということ。そこら辺の理屈は分からないが理というものらしい」


「こんがらがってしまうわね。でもそうしたら作られた武器に魔力と属性を組み合わせるだけでいいと思うのだけれど」


「って思う人が多いが簡単な話だ。火力でゴリ押……」


「リード様は脳筋なので耳を傾けなくていいよ。ソフィー様が抑えとく部分はほとんど無いってこと。全てに適合するなら最強なのは間違いないし負け属性でもマイナスからプラスになるぶっ壊れスキルを持ってるって事を知っておけばいいんだ。チートオブチート」


「それって……」


「頭1つ抜けすぎて最強って事だ。どの武器を選ぼうが体が勝手に動く。それに頑張ってる人を笑いながら余裕顔で平然とこなせるタイプ!いいね。僕そういう人好きなんだ」


シルファは不敵な笑みを浮かべてそう言葉を発した


「私そんな人を見下すような事は………」


「あはは、でも武器を使いこなせるのは将来的にも役にたつでしょ?」


「それはそうだけれど」


「それに魔剣は君の事を選ぶはずさ」


「え?」


「魔剣は必ず君を選ぶはずさ。全ての魔剣に所有者がいる訳じゃない。誰が持ってるかなんて知らないけどね

僕は確信してるよ。君が魔剣自身に選ばれると」


「リードもウエルも選ばれたから持っているんじゃ?」


「俺たちの魔剣は力を貸しているに過ぎない。魔剣に選ばれるのは世界に選ばれたと同じこと。より強い加護やスキルを持つ」


「でも断言は出来ないでしょう?」


「空はいつでも、どこでも、ずーっと見ているんだよ。僕たちのことを。もちろんソフィー様の事も」


「どういうことか分からないわ」


私は訝しげに言う


(何故そんなことを断言できるの。誰も何も言ってこないし…私に魔剣を持つ資格は……ないわ)


「明日になれば分かるよ。それじゃあ、また明日ね」


強い風が吹いたと思ったら目の前からシルファが居なくなっていた


「どいつもこいつも勝手な奴らだ」


はぁとため息を吐くリードに問う


「あの、彼が言っていたことって」


「言う通り明日になったら分かるんじゃないか?」


「リードまで……」


「さて!皆様もう夕日も落ちるところですから屋敷に戻りましょう!」


ララがそう言うと「そうだな」とリードの一言でその場を去る


ー自室にてー


私はシルファの言葉に悶々とする。


(彼は何を言いたかったの?私には理解出来ない。みんなも何も言わなかった……。明日になれば分かるってどういうこと………考えるのはやめよう)


私はベッドから起き上がり暗くなった外を眺める


「明日ね……ん。今夜は冷えそうね」

.

.

.


コンコン


「失礼します。ソフィー様………あ、寝てらっしゃる」


ララは部屋に入るとソフィーに掛けられた布団を綺麗に掛け直す


「おやすみなさい。ソフィー様」


ー次の日ー


「この子が俺の所有者になる子かぁ。可愛いなぁ。壊したいぐらいに可愛いねぇ。

でも俺がこの子にそぐわなかったらどうしよぉ。うーんそれにしても起きないなぁ」


つんつん頬をつつく


「ほっぺぷにぷにだぁ。可愛いねぇ。瞳も見てみたいなぁ。眼帯の下気になるなぁ」


そう言うと眼帯を取って見る


「片目がない。ん?出血した跡があるから誰かに取られたとかかなぁ?でも抵抗した跡がないからこの子の意思かなぁ?」


眼帯を元に戻す


「それにしてもぐっすりだねぇ。そんな無防備じゃあ襲われても文句言えない格好もしてるしぃ?」


つんつんとまたほっぺをつつく


私は誰かに遊ばれてるような感覚になり目を覚ます

僅かなぼんやりとした視界に紫色の髪をした少年が私の顔をこねくり回していた


「やっと起きたねぇ」


(?!)


「ど、どなた様?」


「君の所有物だよぉ」


「!ウエルは?!」


辺りを見回すと縛られているウエルを発見する


「貴方がやったの?」


「君に近づこうとすると威嚇されちゃってねぇ。だから縛らせてもらったんだぁ」


そういうと彼は私の手を取ろうとする


「触らないでっ!」


「第一印象は最悪って言ったところかなぁ?」


すると指にはめていた指輪が光を放つ


「オレのソフィーに手を出すとはいい度胸だね。業火に焼かれるといいよ」


「イリヤ!」


「なんか援軍みたいなの来ちゃった感じ?!」


「よくリードのテリトリーで傷ひとつなく入れたモノだ」


「いやいや!この屋敷の主に殺されかけたよ俺!」


「なら共闘だなイリヤ!」


ドンッ!!と勢いよく空いた扉にはリードがいた


「屋敷に侵入した挙句女性の部屋に入り何をした!!」


「この者は我の契約者にヤラしい手つきで顔などに触れておったわ!!」


ウエルを縛る糸が切れる


「助かったぞ。リードよ。我のソフィーに無礼を働いたことその身に受けるが良い」


彼岸のファーメアンを取り出す


「待って待ってそれ魔剣じゃん!」


「わいせつ罪と不法侵入でお前を俺たちが裁く!」


「変態野郎め。汚らわしい。焼き尽くしてやる」


「穢らわしい牡豚には粛清を……」


そこにルシアも加わる


「任せてください。動き回ったりする獲物には百発百中です!」


そして弓を構えるララも加わった


「待って誤解!俺はこの子の所有物だから!」


「戯言を……!眷属よ、あの変出者を捕らえなさい」


さらにルシアのしっぽから9匹の妖狐が現れる


「場所が狭いな。転移魔法で庭に転移させるその時に奇襲をかける!」


『転移!』


その場にいた者はソフィーを置いて居なくなったが直ぐ外から戦う音が聞こえる


ガキンッ!

   ドゴーンッッ!!

        ゴォォォォ!!!!


「何が起きてるの……?!」


私は急いで庭の方に出た


(でもあんなに強者揃いなのに傷さえ付いてない?!)


「生死は問わない!ぶちのめせぇぇ!!!」


「了解しました。主」


ルシアの猛攻を食らってしてもなおピンピンとしている


「当たっているはず。感覚はあったのに……」


すると紫髪の少年と目が合うとこちらに一目散に駆け寄ってきて私を盾にする


「お主我の契約者を囮にするつもりか」


刀の先を突きつけるウエル


「なになに〜?まだやってるの〜?」


眠たそうに目を擦りながら歩いてくるシルファが私の後ろにいる彼を1目見るとびっくりした様子で私たちに一言言った


「これ魔剣だよ」


一同は「は?」という顔をする


「その通り!俺は魔剣だよ。俺を所有物する主様を見つけた所」


「は?待て魔剣って人になるの……か?」


「魔剣は自身に相応しい所有者だと思ったら自分から手元にやってくるんだよ。まぁ、一応リード様とウエル様の持つ魔剣も人の姿になるけど武器の姿で現れたら一生そのままだから」


「シルファ。ですがこの者はソフィー様に無礼をしたのです」


「多分ものすごーーーーくの間、人と触れ合ってないから感覚が分からなくなっていたんだと思うよ」


「俺は約15000年前から外に出てないんだ」


「それならその距離感はバグか……?」


「魔剣って証拠を出してみたらどうかしら?」


「さっすが!俺の所有者だねぇ」


少し光ると武器に変化していた


「ほうほう。ソフィー様の適性に合わせた結果が鎌の形なんだね」


『他の姿にもなれるよぉ』


次は弓、そして剣へと変化すると人の姿へと元に戻る


「なら今回の件は不問とする。みんな解散」


「オレのソフィーに変なことするなよ」


じっと睨みつけてからイリヤはふっと消える


「そうだ。君の魔剣名は?」


「俺は『 百面鉄装夜神結宝奏双(ひゃくめんてつそうやとがみけっほうそうそう)』だよぉ」


「長いわね。人の時の名前はないの?」


「人の姿の時も武器の姿でも百面鉄装夜神結宝奏双だよぉ」


「いちいちそんな長ったらしい名前呼んでられないわ。いい名前はないかしら……」


「名前をくれるのかぁ!ありがとぉ!」


「シュオル!貴方の名前は『シュオル』よ!」


「シュオル……いいねぇ!気に入ったよぉ!俺はなんて呼べばいい?」


「私の事はソフィーで良いわよ。よろしくね」


「ソフィーよろしくねぇ!」


「一応めでたしめでたしって事でいいかな?そしたら物騒な武器はみんなしまうことだね。そしてソフィー様言ったでしょ?僕の言ったこと当たるって」


「えぇ、確かにそうね。でもなんでわかったの?」


「それは僕にはよく分からなくてね。多分勘が鋭いってやつなんじゃないかな」


「そんなことよりさぁ!ソフィー俺を使いこなしてよぉ!魔物なんて瞬殺だよぉ。レッツゴー!」


「あの私着替えないとだし。ご飯もまだだから」


「ご飯?」


「そうよ。食べないと元気が出ないの」


「へぇー。そんなものがあるんだぁ。俺も食べてみたい!」


「魔剣ってご飯食べれるの?人型だとしても……」


「我の様にエネルギーに変換されるのか?」


「う〜ん?そこんとこはよく分からないねぇ。俺ただ人の形してるだけで中身は空っぽみたいな感じだからねぇ」


「なるほどな。だから人型でも生命を感じない訳か。それに食材の無駄になるからダメだ。主人の魔力でも食ってろ」


「魔力って流れてくるだけで味ないんだもん。ヤダ!」


「それにやかましいですよね。シュオルは。ソフィー様の所有物に相応しくないかと」


「え?!九尾ちゃん結構酷いこと言うじゃん」


「ならこれに憑依でもしていろ」


リードが懐中時計を私に投げ渡す


「おっと、これは………懐中時計?」


「ソフィーには強くなるために一日の殆どを鍛錬に費やしてもらう。そのために時計をやる」


「ありがとう。だけど一日中も、、、大変な事になりそうね」


ワクワクしたようにシュオルが懐中時計を見やると


「早速憑依するよぉ!」


シュゥゥっと煙の様に時計に宿ると懐中時計は自由に動く


「めっちゃ良いよぉ。これ。気に入った!」


「なら良かった。そしたら着替えて食事して鍛錬に勤しむわよ!」


「ソフィー様頑張ってください!!」


ララがそう励ますと手を取って屋敷へと引っ張られる


「食事も直ぐ用意します!なのでお着替えをしておいてください!」


「食事は昨日パンを買ったから大丈夫よ。それより着替えを手伝って貰えると嬉しいわ」


「分かりました!あ、ウエル様とシュオル様はベッドでお待ちくださいね。ソフィー様はこちらです!」


「この服だと汚れたり破れたりしちゃいますね。そしたら別の動きやすい服を持ってきますね!」


ララは走って部屋を出て行ったと思ったら直ぐ戻ってきた


「あはは、ルシア様が準備してくれてました。これなら生地も丈夫で動きやすく良いと思います!」


パパッと着替えさせられる


「姿見でご覧になってみてください!とても似合ってます!!」


「なんか……暗殺者みたいな服装ね」


「かっこいいですよ!そしたら次は食事ですね。用意は出来てますからこちらの机の方に」


「そしたらパン取り出して来るわね」


「はい!」


バックの中のパンを取り出してからウエルに半分渡す


「ありがとなのじゃ」


「俺のは?」


「お主今は時計なのじゃぞ?」


「そうだった」


「ふふ。それじゃあ少し待っててね」


椅子に座ると食事を始める


「そうだわ。特訓といっても誰か教えてくれる人はいるの?」


「はい。リード様がやってくださるそうです」


「手加減という文字を知らなさそうね」


「それは頑張ってくださいとしか言えないです。。。でも、リード様の訓練が終われば解放されますから……」


「でも強くなるためには頑張るわ」


「2週間の短期訓練でどのくらい強くなるのか楽しみですね!あとこの資料をよく読むようにとリード様から」


「ありがとう」


パンを食べながら受け取った資料を読む

そこには今日やるプラン内容が書かれていた


・準備運動

・柔軟体操

・走り込み15km(慣れたら増やしていく)

・筋力作り

・素振り1000回

       etc……


(初日からハードモード過ぎない?下手したら死ぬわ。でもリードからしたら優しい方なのかしら

とりあえずやってみるしかないわね)


私はパンを胃に詰め込んで飲み物を飲み干す


ぷはっ「ここまで来たらやるしかないわ!ウエル、シュオル行くわよ!」


「はぁ〜い」


「我はまだ食べ終わっておらぬ」


「う〜ん。そしたらララウエルをクッションの上に置いて連れてきてくれる?」


「はい!分かりました。失礼しますよウエル様」


部屋を出て外へと向かうと既にリードがいた

私たちの気配に気付くと手を振る


「おはようリード。待たせたかしら?」


「おはようソフィー。そんなことはないこれから使う道具の不具合がないか確かめていた所だ」


「資料見たわ。結構ハードスケジュールね」


「手加減してあるつもりだ。それ以上の文句は受け付けない」


「分かっているわ!頑張るつもりよ」


「ま、一番大切なのは準備運動と柔軟体操だ。怪我をしたら元も子もないからな。そろそろ始めるか、まずは俺の真似をしていればいい」


「うん!」


……が準備運動はとてつもなく地獄であった


「全身ほぐすように!」


「はい!」


「全て素早くそして正確にやることだ。じゃないと死ぬぞ」


「は、はい!!」


既に準備運動で死にかけていると準備運動が終わり今度は柔軟体操へと移る


「まずはどのくらい柔軟性があるか見るから言われた通りにやってみろ」


「うん」


言われた通りに一通りやり終えリードを見るととてつもなく難しい顔をしていた


「何か問題が……?」


「硬すぎる」


「硬すぎる?」


「あぁ、硬すぎる。死ぬレベルに硬い」


「そんな」


「大丈夫。俺が柔軟にほぐす方法を伝授するから」


期待の眼差しで見たがこれもまた地獄であった


(股関節が悲鳴を上げているわ。今度はそっち?!)


30分もすると先程とはうってかわり少し柔軟になる


「このメニューは毎日すること。理想は朝と夜やればいい。忙しい場合はどっちかでやること!サボったりしたら一瞬で分かるからな」


「うぐっ、わ、分かりました」


「少し休憩するといい。水分補給は大丈夫だからな」


ララの元へと向かうとララが水筒を準備してくれていた


「お疲れ様です。ソフィー様ですが、ここからですね」


「そうね。それにしても命がいくつあっても足りないわ」


「安心してくださいソフィー様!訓練兵達はこれ以上の事をしているので!!」


「安心なんて出来ないわよ」


ふぅと息を吐いて水を飲む


「次は走り込みです!頑張ってください!」


「辞退したいくらいだわ。でも弱音なんて吐いてられないわね!」


「その意気です!」


私は胸ポケットから懐中時計を取り出し時計を確認するとまた庭の方へと向かう


「てっきり逃げ出すと思っていたが根性は良いらしいな。次は走り込みだ。この屋敷を15kmと書いたがハッキリいって屋敷の面積なんて知らないからまぁ15周したらOKということにする」


「こんな広いお屋敷を15周……」


(覚悟を決めなさいソフィー。そんなんじゃ統括者なんてなれないわ!)


「やるわ!きちんと」


「やる気のある奴は嫌いじゃない。さ、行ってこい!」


「はい!」


ソフィーの走って行く姿を見送る


「さて、俺はチェシーヌ王国100周してくるか」と言ってあっという間にいなくなってしまった


残されたララとウエルは途端に暇になる


「ソフィー様は芯が強い方ですね。流石です」


「我のソフィーは優しくもあり強くもある!とても誇らしいのじゃ。でも無理はしないでほしいものじゃ……」


「リード様はそこまで鬼じゃないですよ。それにあと5分もすればリード様戻ってきますよ」


「チェシーヌ王国は大国じゃと言うのに。なんという化け物がおるのじゃ」


「私も最初は驚きましたよ。でも慣れは怖いものですアハハ」


ー一方その子頃ー


「はぁはぁ」


一定のペースで走っているが運動をしてこなかった身体にはキツくもう根をあげそうになっていた


「もうすぐ1周目……」


門を過ぎる時にメイド達が応援してくれた


「ソフィー様頑張って!」


「ソフィー様なら出来ますよ!!」


私はメイド達に手を振って2周目に突入した


(これが優しいメニューだなんて信じられないけど頑張るしか今は出来ないから走ることに集中しよう!)


しばらく無心で走っていると並走してくる者がいた


「進捗は?」


「今は3周目でもうすぐ4周目に」


「ふ〜ん。結構いいペースだ」


「わざわざ私に合わせてるの?」


「いや、音速で走ってる。他人のペースに合わせるのも難しいだろ?」


「変よ……」


「まぁ、走りながら疲れにくいコツとか色々教え込んで行くから付いてこい」


「はい」


リードの的確な指示でペースは保っているものの疲れが殆ど感じなくなっている。そして目標の15周を突破したのだ


「急に止まると死ぬぞ。だんだんスピードを落として歩きながら息を整えるんだ返事はしなくていい。深呼吸を繰り返して」


言われた通りにするとだいぶ落ち着いてきた


「ふぅ、なかなか悪くないわね」


「呼吸も整ったら水分補給して少し休むこと」


「はい!」


そして私はこのトレーニングを1週間半こなす

最初はだいぶキツかったが今になれば週間になり疲れることはすくなくなりチカラがついたような気がした。

柔軟性もあがりリードには褒められる

だがここからが問題である。

そう武器の扱い方だ。いつものメニューをこなしつつ武器も扱う。走ってる時にトラップを仕掛けられたりとトレーニングメニューはどんどんと強化され私はリードに認められることに。鎌の扱いも良くなったと評価され今ではソロ討伐をこなせる程に成長することができた。

冒険者ランクで言うとSという上階級にあがることもできた。


「なかなかの向上だ。今までで根を上げずに耐えたやつは数少ない。その中でよくやった」


「それって」


「あぁ、短期訓練は終わりだ」


「やったぁ!頑張った甲斐があったわ!」


「武器の使いこなしも見違える程だ。だからこれから俺と決闘してもらう」


喜びも束の間私は絶望に飲まれる


「リードとなんて、渡り合えるわけ」


「さぁ、武器を取れ。俺に傷を1つ付けるか時間まで耐えられたらソフィーの勝ちだ。時間内に倒れるもしくは白旗を上げたら負け 武器は何を使ってもいい。武器チェンジもありだ」


私は拳を握ってリードを見据える


「分かったわ!シュオル!」


「はいはぁ〜い」


鎌を握る


「審判はこちらがやります!両者構え!」


サッと構える


「スタート」


瞬間に目の前からリードが消えるが私は後ろからの微かな気配で攻撃を武器で受け流す


(一撃が重い……でも……!)


私は鎌で広範囲を素早く切り裂くが避けられてしまうがその砂埃の中から銃口の光が見え銃弾が頬を掠める

剣にチェンジしてから自身の魔力で素早さを上げる代わりに防御を捨てる

向かってくる銃弾を剣で弾き返すが当たった気配がないがリードの背後を取った

素早く剣を振るが避けられた上にさらに空に飛ばされる

(くっ!どうしよう何も出来ないそうだ!円月輪)

武器チェンジを行い向かってくるリードの銃を風刃で壊すがこの高さから着地は難しいと悟る

(私の負けかしら……)

『ソフィー!俺が銃火器になるから魔力を一瞬で込めて!一撃必殺!』

『分かったわ』

銃火器をリードに向け一気に魔力を注ぎそれを放つ!

ドチューーーン!!!!!!!

(一気に魔力消費したから意識が……)

猛スピードで落ちる私を誰かが担ぐ

ドゴーーン!!!!


「はーい!終わりでーす!!」

砂埃が晴れると私を担いだのはリードだったことに気付く


「勝敗は?」


「俺の負け」


そう言って頬を指さす


「やった。けど疲れちゃった……あはは」


「試しに空中に放って見たけどきちんと動けていた。頑張ったな」


頭を撫でられる


私はララに手伝ってもらって立ち上がるとふらふらと地べたに座り込む


「はは、腰が抜けちゃった」


「仕方ないですよ。でも流石です!短期間でこんなにも成長してリード様に傷を1つ付けるなんて!!」


「最後のは結構危なかったけどな。それにお気に入りの銃破壊されちゃったし」


「うぅ、それはごめんなさい」


「でも本当に良くやったな。兵士ですら俺に傷なんてつけたことないのに」


「そうなんですか?!リード様も流石です」


「ソフィーは一人前に育ったな。見込んだ甲斐があったものだ。さて屋敷に戻って宴の準備でもするか」


そういうとサッと私をお姫様抱っこする


「だ、大丈夫よ。自分で歩けるわ」


「無理だと思うぞ。それに別に誰か見ている訳じゃない安心しろ」


「そんなこと言われても」


「まあまあ、休憩してから汗を流すようにしましょう」


「そうね。それに特訓に付き合ってくれたシュオルもありがとうね」


「ソフィーの所有物だからねぇ。好きな時にいつでも使ってよぉ」


「ララもウエルもありがとうね」


「そんな感謝されることなんてそんなにしていませんよ」


「そうじゃ。我が好きでやったことじゃからな」


「うふふ、みんなありがとう」

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