プロローグ
恭歴398年、燃黒──────
バァアン! 赤くて大きな扉が開け放たれ、黒いローブを見に纏った小さな男が駆け込んでくる。
「どうした、ノックぐらいしろ」
部屋の奥の大きくて煌びやかな椅子に座った男が窘める。
「ロキヌス様! 大きな花に赤い小さな羊が取り込まれ、そこから東の蜂蜜と6つの海が溢れ出ております!」
「なんだとっ!? これはまさか……ローリータウスの仕業か……! 燃黒直属第一大隊を出動させろ!」
「しかしロキヌス様、そちらはルグーバスト皇国との戦闘に向かわせております」
「そうだったか、なら仕方あるまい、第二大隊だ」
「そちらも郊外で発生した『異界愚者の月』の対応に向かわせました」
「なら……」
「ロキヌス様、もう残っているのは、リグヌスクロー独立部隊しか……」
「まさかあの、『ログンレイヴスからの使者』どもに頼らざるを得ないとはな……」
ロキヌスは頭を抱える。しかし古の大国、『ヴァーニスリグスト』と戦った【艶灰戦争】では《燃ゆる街》とさえ呼ばれた燃黒の運命を、〖真冬の五ヶ月大戦〗、通称〈バッファローブレイク戦争〉の遺物である『リターネルギリータス』の寄せ集めで組織され、優秀ではあるもののそれらの''διάγραμμα καθισμάτων αίματος αίμα ύφανση''の力によって数々の戦闘指揮官が葬られてきたため直属から外され独立部隊となった《リグヌスクロー》に頼らざるを得ないのだから……
はじめましての方ははじめまして。もしくはお久しぶりです。作者の銀河やきそばです。この作品を読んで下さりありがとうございます。なろうでは5回目の投稿と、まだまだ初心者のため至らないところがあるかもしれませんが、お楽しみ頂けたら幸いです。それでは。