プロローグ
昔から、欲しいと思ったものはなんでも盗むことで手に入れてきた。
初めて盗みを働いたのは幼稚園生の頃だっただろうか……。同じ組でお金持ちだったタカギ君が、毎日のように当時流行っていたアニメのおもちゃを自慢してくるものだから、ついやってしまったのだ。しかし子どもの、ましてや幼稚園児の盗みなど当然すぐにバレてしまうものである。結果として、親や先生にはこっ酷く怒られてしまった。
そして、私はそこで反省したのだ。
盗みを働いたことに対してではなく、盗みがバレてしまったということに対して。
それからは2度と盗みを失敗しないように、日々の努力を積み重ねた。
盗みに必要なのは知力、忍耐力、器用さ、力、その他諸々と非常に非情であり、それら全てを兼ね備えた盗人になるために血を吐く思いを何度もした。
その結果……私は高校入学時には理想の自分を手に入れ、早くも人生に満足してしまっていた。
1銭にもならないガラクタから、一生遊んで暮らせる高価な宝石まで、弱冠15歳にして私に盗めないものなどこの世にはなくなっていた。
世間からは稀代の大泥棒などと呼ばれ始め、一時期は天狗にもなったものだ。
しかしこれは、そんな私が一周回って普通の高校生活を過ごそうとする物語である。
結論から言おう。
普通の高校生活を送ることなど私には不可能であった。




