0章1話 就学の話
メイは帝国の郊外の小さな町で産まれた。決して裕福では無いが、貧相でもない。
「今日もメイは元気だな。」
「うー?」
メイの父親の名前はリョウ。24歳の町工場で働く男だ。彼の町工場は家具などを作っていて売れ行きは良さそうだ。
「リョウさん、メイから目を離さないでくださいよ?私はまだ料理しているんですから…。」
いまリョウに話しかけたのはサツキ。彼女の母だ。サツキは26歳で基本は専業主婦だが、内職もしていて、彼女が編むバッグなどはご近所さんで人気のようだ。
「分かってるよ。赤ん坊とうちの嫁がが1番目を外しちゃいけない。」
「それはあなたがボーッとしてるからでしょう?」
「うっ、すまん…。」
「全く、目を離せないのはうちの旦那ですよ…。さて、食事ができましたよ。食べましょう?ほら、メイもこっちおいで…。」
一家団欒を楽しみ年月は過ぎていく…。メイの隣の家にも子供がいる。同い年の男の子だ。男の子の名前はカイ。メイとカイはいつも一緒に遊んでいた。メイが6歳になるころ、リョウは悩んでいた。
「サツキ、少しいいか?」
「あら?リョウさん、珍しいですね。かしこまって…、」
「メイを隣町の学校に入れてやれないかなって思ってさ…、でもメイ1人を送り出すのはどう考えても危ないし、それに隣のヤツだって嫌がるだろう?メイは賢い。それにどこか不思議な力もある。それをいかせるように学校には行かせてやりたいんだ。ただ、どうしたものか…。」
「ここ最近はそのことを悩んでいたんですか?私はかまいません。学校に行かせたいのであれば私達も行けばいい話です。」
「そうもいかないんだ…、あっちは仕事が見つかりにくい。読みはともかく文字が書けない俺にとっては文字を書く仕事の多いあの街ではお前たちを養ってやれない。」
「1つ、いい方法があるじゃないですか。隣と一緒に行けばいいのですよ。少し広めの住宅を2世帯で買い、一緒に暮らす。メイもカイくんも一緒に居られる。そうしてリョウさんはカイくんのお父さんと一緒に働けばいいのですよ。」
「そうか…、そうだな、明日向こうの親と話してみるよ。サツキはメイに話してみてくれ。」
「分かりました。では、明日。」
カイくんのお父さんはマルク、お母さんはサラです。
名前のレパートリーがありません。
案があったら教えて欲しいくらいです。