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子猫を拾うがごとく育んだのは、ただの“事故愛”だった

作者: 黒楓
掲載日:2022/10/05

ライトグリーンの色調に囲まれたボックス席で

私はその子の告白を聞いた。


「気にすることはないよ」


そう言ってあげて…


私は指の震えがコーヒーの水面を揺らさないようにコンマ何秒か矯めて(ためて)からカップの耳に指を掛ける。


いつかは…この子の耳に…この指を掛けてみたかった。


その(よこしま)な想いを露呈させずに今日の日を迎えられたのは幸いと言うべきだろう。


「野暮な事、聞いてしまうのだけど…カレは優しくしてくれた?」


この子の…可愛らしい耳がみるみる染まり、コクリと頷く。


「そう、良かった」


この私の言葉にピクン!と反応したこの子の頭に…私は言葉を振り掛ける。


「安心した。荷物を下ろしてホッとしたような気分だよ」


この子の…少しばかり涙に潤んだ瞳が私に向けられて

私の胸は限りなく締め付けられる。


結愛(ゆあ)は私には扱いづらいよ…」


こう言うとこの子は…結愛は…くちびるから僅かにため息を漏らし小刻みに肩を震わせる。


可愛い結愛 愛おしい結愛…あなたから「ライナスの毛布」みたいになっているこの私を打ち捨てるべきなのに…

そこに染みついているのはあなたの匂いではない。

使い古された私のニオイなのだから…


あなたにとって

慣れないオトコのにおいは

怖くもあるだろうが

あなたはそこで自分を咲かせる事を選んだんだ。


―だから―


私がケリを付けてあげる。


私は結愛の頬を撫でるふりをして手をその髪の中に挿し入れて

いやらしく自分の欲求をカノジョの耳に施すと

彼女は身をよじって顔を背け“抵抗”の指を私の手の甲に掛ける。


だけど私は愛撫の指使いを止めないまま、反対側の耳にくちびるを押し当ててカノジョに囁く。


「あなたも他のコと同じ! いつまでもお姫様扱いはできないよ」


これがトドメだ。


結愛はドンッ!と私を突き飛ばし我が身を庇う。


そう!それでいい。


そうやって庇った我が身をカレシの前で開いて


そいつを突き飛ばさず


もちろん突き飛ばされもせず


仲良く


幸せになればいい。



私はバインダーに挟み置かれている伝票を掬い上げ

そのまま立ち去る。



外はグレー


いらだつクルマ達がクラクションで互いを嚙み合っている。


バカな奴ら


アイツも

コイツも


そして私も…


何度同じ目に遭っても…


懲りない私も…



けれど別れは…


いつでも

激しく胸を抉る。


歯を食いしばって飲み込んでいた涙が


後から後から溢れて


私はみっともなく()()()()()()()


ああ本当に私はバカだ!!


初めからこうなる事が分かっているのに!!


恋が

この薄汚れた胸をノックするたびに


何か違う未来を夢見て


ドアを開けてしまう。



でもさあ!!


私は車の行きかうグレーの橋の上で

深緑に沈んだ緩い流れに向かって叫ぶ。


「キモい!!って蔑まれるより遥かに幸せじゃん!!」


叫んだ拍子に


腐れた川の流れの上に

腐れ涙の雨を降らす。


こんなの

何の役にも立たない。


何の役にも立たない私だから


何の役にも立たないあのコ達との快楽に享しよう。


体がケイレンするほどのバカバカしさの()()

この身に被ろう…




。。。。。。



イラストです。


主人公のイメージ画




挿絵(By みてみん)


どんな形であれ、愛の終わりと別れは切ないです…



ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!<m(__)m>

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― 新着の感想 ―
[良い点] せつないやさしさ (´;ω;`)
[良い点] 本当の優しさとは何か、とても考えさせられました。。。
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