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第四号「失われた普通の高校生活」

前回ラブコメのラブ要素が出てきました。

その反動で今回はコメ要素が出てきます。

ただ割と大事な描写もあるので、お見逃しなく。

 高校に入学して約一ヶ月、俺は今日、


 同じクラスの女子生徒を尾行している。


 違うんだ、高校生になって変態の称号を獲得したいわけじゃない。これにはしっかりとした理由がある。


 遡ること一日前、新聞部の部室に現れたクラスメートの小野。彼が口にしたことを一言でまとめると、告りたい。だが、我々は新聞部。そんな恋バナをされたところでどうしようもないぜ、なんて思っていた俺は部長の台詞により度肝を抜かれることとなる。なんとこの部の真の名前は「SMIT」、ラブコメを成就させるという役割を持っていたのだ。

 そして一通りの説明を部長から受けた後、俺はミッションを課された。


 それこそが、「小野の幼馴染であり意中の相手でもある空崎遥に男の影がないかの調査」だ。

 かなり気は進まなかったが、まぁ色々あって俺が引き受けることとなった。ただ具体的な方法が分からなかったため質問したところ、真顔で「尾行しろ」と言われ反論もできなかったため、今日に至る。

 しかし尾行といっても特に彼女に目立った動きはなかったため、時々視界に収めておく以外にやることはなく無事昼休みを迎えた。


「昼飯食おうぜ!」


 ラブコメを持ち込んできた張本人である小野にそう声をかけられ、特に断る理由もないので机を合わせる。

 意外に思うかもしれないが、別に俺は小野のことを厄介な奴だと思うようになったりはしていない。恋心を抱くことはおそらく誰にだってあることだろうし、まさに気になる相手がいる時に手助けをしてくれるところがあることを知れば頼りたくなっても不思議ではないだろう。むしろ、それは当然といえるのかもしれない。

 まぁ、俺は自分が恋心を抱くことが想像できないため正確なことは知らんけど。


「な、なぁ計画は順調か?」


 具体的にどんなことをするかは知らせていないが、何らかの計画があることは予想が付いているんだろう。

 それにしても、わざわざ彼女が教室にいる時に小声で聞くくらい気になるとは、小野自身が思っている以上に彼女にぞっこんだな。


「今のところ心配することは特にないぞ」


「そうか、なら良かった~」


 俺の一言を聞いて安心したのか、その後はそのことに触れることなく俺も無理に持ち出すなどということはしないため、他愛もない話をして昼休みを過ごした。

 そんな中で一つ気になったことがあるとすれば、背後から視線を感じることだな。


「やれやれ......」


「うん? どうかしたのか?」


「いや、人の気持ちは分からないものだな、と」


「おぉ、なんかかっこいいな! 人の気持ちは分からない、か」


 まさにお前のことなんだよな~、理解ができていないのは。

 まったく、ラブコメってのは厄介なものだな。正解がすぐそこにあるのに、気付かないうちに回り道を選んでいるんだから。

 そんな風に自分が面倒くさいことに関わっていることを感じながら昼休みは過ぎ、五、六時間目も特に何事もなく過ぎていった。

 なんていうのは俺の幻想に過ぎなかった。


「ちょっといい?」


 眠い眠い五時間目が終わった直後、空崎遥からそう声をかけられた。

 断ることも変なため、大人しくついていき到着した場所はこの時間人気のない一階の渡り廊下。


「何か隠していることがあるでしょ、あなたと小野との間で」


 おっと、これはいきなり核心をついてきたな。

 だが特に焦ることもない。彼女がそう話を切り出してくることは予想が付いていた。


「隠していること? すまないが見当がつかないな」


「そう? ならどうして昼休み、急に小声で話したりしていたの? たまたま視界に入っただけだけど、かなり怪しかったわよ」


「悪いが本当に心当たりがない。どうしても気になるなら、小野に直接聞いてみてくれ。なんなら小野にも聞いておこうか?」


「いや、いいわ。あなたが話さないならあいつも話さないと思うし」


「そうか」


 短いやり取りではあったが、どっと疲れたな。

「ほんと、どうしてこうなったかな~」


 彼女が先に戻り俺以外には誰もいなくなった渡り廊下で、そうもらさずにはいられない今日この頃の俺ってな。

 あの呼び出し以降は何も起こらず、放課後になると情報交換もかねて部室に向かう。


「収穫はあったか?」


「いや、特に何もなかったな。今日一日見た限り空崎遥の周りに男の影はないようだったし、かといって小野に対するどうこうもなかったからな」


「そうか、やはり彼女にはほかの男の影はないか」


「部長は何か収穫があったのか?」


「今日、私は彼女の友人関係等々を調べていたのだが、付き合っている男はいないであろうことが分かった。どうも過去に告白された経験は何度かあるようだが、いずれも断っているらしいしな」

 部長の情報網については何も知らないが、さすがに恐怖を覚えるな。一日で他学年の生徒が告白された経験があるということまで手に入れるとは。


「何か失礼なことを考えていそうな君に一つプレゼントだ。明日までに目を通しておくように」


「なんだこれ? しおりか?」


「明日、小野君にも配る予定のものだ。多少彼に渡すものとは内容が異なるが、そこは気にしなくていい」


「なぁ、中に書かれているスケジュールは何だ? 日付はゴールデンウィーク中みたいだが」


「決まっているだろう。小野友也と空崎遥のラブコメを成就させる、その当日の日程だよ」


「は!?」


「分からないことがあれば明日質問を受け付けるから、ひとまず読んでおけ」


 いや、さらっと進めることじゃねーよ。いきなり俺のゴールデンウィークは一日失われたし。

 それに当日までに下見って書かれているが、ひょっとしてこれは。


「もしかしてゴールデンウィークが始まるまでに下見に行くのか?」


「あぁ、その通りだ。早速明日の放課後、彼に一通り説明したら私と君で行くからな」


 なん、だと......。


 昨日はあのドタバタがあり、今日もいまだ作業はしていない。そして明日もどうやら作業する時間はなさそうだ。


 となると、だな......。


「もう一つ質問なんだが、その~、新聞の締め切りってのは」


「もちろん明後日だな」


「どこまで進んでいる?」


「安心しろ。既に構想は固まっている。後は打っていくだけだ」


「その作業は俺がやるところじゃないか?」


「そうだ。いつも通り、君の領域だな」


 うすうす気付いてはいたんだ、あれ? 締め切りヤバくね、と。

 けど、まだ今日入れて三日あるしなんて思って、希望を抱いていた。

 だがどうやら、それは完全なる俺の油断だった。


 今日の残り時間と締め切り当日。

 その二日でまだ真っ白な新聞を完成まで持ち込む、これが俺に課せられたものか。


「何だ、私の方をじっと見て?」


「いや、なんでもない」


 お父さん、お母さん、周りには青春物語がありますが、残念なことに私には青い春は訪れないようです。



ラブの反動を感じ取れたでしょうか?

さて、次回は少し主人公が名探偵になります。

それと今更ですが、主人公と部長の名前に関しては意図的に隠してあります。

そこに大きな意味があるのですが、今だ伏線は出ていないのでご安心を。

それではまた、次回お会いしましょう!

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