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AI屋台 第7話「高速ソリ」

作者: エドゴン

【1.序章】


山根「俺は山根。登山が大好きだ。世界一高いと言われているエベレストに挑戦中である。」


山根は頂上付近まで登ってきたが、猛吹雪のせいで道に迷ったらしい。いわゆる遭難である。一人でエベレストに挑戦したのは無謀だったのか?


山根「猛吹雪で下山は困難、食料もあと3日分か。果たしてもつだろうか?吹雪が止んでくれればいいのだが。」


吹雪は一向に止む気配はなし。山根は見つけた洞窟に身を寄せていた。


2日ほどが経過し、食料もみるみる減っていった。体を動かさないから寒さがこたえるようだ。


山根「もうダメなのか?ここで死んでしまうのか?」


【2.蜃気楼】


山根は洞窟の外を眺めて見た。吹雪は一向に止む気配はない。しばらく洞窟の外を眺めていると、何やら建物みたいなものを発見した。


山根「こんなところに建物が?ついに幻覚まで見えるようになってきたようだ。あれは蜃気楼だな。」


山根は幻覚が見えたことで死を覚悟した。しかし山根はその建物が気になった。もしかしたら助かるかもしれない。蜃気楼かもしれないけど、行ってみる価値はあると思ったわけだ。そんなに遠くはなかったため行けると判断したようだ。


山根「よし!行ってみるか。」


山根は建物まで猛吹雪の中、歩いて向かった。そしてなんとか辿り着いた。


エドゴン「いらっしゃい。」


山根「こんなところにお店が。助かった。」


エドゴン「ここはAI屋台。神出鬼没なお店です。AIスキャンを実施することで今のあなたに必要なアイテムが出現します。AIスキャンを実施しますか?」


山根「それよりも私を助けてくれませんか?エベレストで遭難をしたようなんです。あと何か食料があれば売っていただきたいのです。」


エドゴン「助けることはできませんが、AIスキャンを実施することならできます。また食料は置いてありません。」


山根「そんな・・・それならダメもとでAIスキャンとやらをやっていただきたいです。きっと食料が出てくるはずだ。」


エドゴン「かしこまりました。」


【3.灼熱のマント】


びろろろろーん!!


わずか3分ほどでAIスキャンは終わった。


エドゴン「おおこれは!灼熱のマントでございます。」


山根「そんな・・・食べ物じゃないんですか?一体それはどんなマントなんですか?」


エドゴン「それは使っていただき、その効果を体感していただくしかありません。」


山根「おいくらですか?」


エドゴン「1万円でございます。」


山根「高いですね。でもダメ元で買ってみます。」


エドゴン「お買い上げありがとうございます。」


山根は早速灼熱のマントを着てみた。


メラメラ。


山根「うおーー。」


山根は思わず叫んだ。体の内側から熱気が充満してきた。体全体を灼熱のマントが温めてくれた。


山根「これはすごい!もしかしたら助かるかもしれない。灼熱のマントとは冷え切った体を温めてくれるマントだったんだ。」


【4.食料が尽きた】


体が温まったのは良いが食料が尽きてしまった。残りのビスケットもなくなりもう食べるものがない。外は相変わらずの大雪。


山根は雪が止むのを待っていたが一向に止む気配はないようだ。


山根は「死」を覚悟した。せっかくこの灼熱のマントがあるのだから進んでも良いような気がするが山根には勇気がなかった。


そして食料が尽きて3日が過ぎた。灼熱のマントのお陰で凍死だけは免れた。


そんなとき、山根は再びAI屋台を発見した。


山根「今度こそ助けてもらおう。それしかない。」


山根はAI屋台に行った。


【5.高速ソリ】


山根「すみません、エドゴンさん。もう食料が尽きてこのままでは死んでしまいます。助けてください。」


エドゴン「それはできません。しかしAIスキャンをすることならできます。」


山根「助けてもらえないんですか。そんな・・・何もしないよりはましなのでAIスキャンをお願いします。」


びろろろろーん!!


わずか3分ほどでAIスキャンは終わった。


エドゴン「おお、これは!高速ソリでございます。」


山根「高速ソリだって?食べ物じゃないのかよ。いくらですか?」


エドゴン「1万円でございます。」


山根「灼熱のマントのこともあるし念の為買っておくか。」


エドゴン「お買い上げありがとうございます!」


山根「買ったはいいが、どうやって使うんだ?乗ればいいのかな?ガキじゃないんだからこんなのに乗るのが恥ずかしい。でもここは山奥、誰かに見られるわけでもないし別に問題はないか。」


早速、山根は高速ソリに乗ってみた。すぐに高速ソリが動き始めた。


ズズズ。


少しずつスピードが出始めた。高速ソリは斜面の滑走を始めたようだ。


山根「一体どこへ行くんだろう?」


乗り始めて30分が経過した。もう標高のかなり低いところまで来ていた。


山根「すごい。もしかすると助かるかもしれない。そうか、高速ソリとは遭難した人間を安全なところまで連れて行ってくれる救助アイテムだったんだ。ここまで来れればもう大丈夫。」


山根は山のふもとまで来ていた。


山根「エドゴンさんも意地が悪いな。こんな素晴らしいアイテムがあるなら最初から出せば良いのに。」


山根は高速ソリのおかげで一命を取り留めた。食料は尽きていて持ってもあと3日だっただろう。


山根「ありがとう、エドゴンさん。ありがとう、AI屋台。」

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