2.vsおしり
幸せは歩いてこない。
皺寄せは走ってくるのにね。
浜辺からアパートに帰る道中、夜が来ると思うと足取りが重くなるというのに、今は物理的に歩き難い。
「ねぇ〜! 竜宮城いこ! 復讐するから! おっぱいの仇を取るから!」
「いーや行かないね」
俺は激しい攻防の末、この濡れ女モドキを乳首だけでイカせた。完全勝利である。
ところが。
「タイやヒラメの踊り見たくない? 竜宮城行けば見れるよ? こうなったら行くしかなくない? 私もバチクソに復讐したいし」
このバカ女が纏わりついてくるのだ。
竜宮城が何の隠語かは知らないが、そんな怪しげな所に行ってたまるか。復讐が確約されているなら尚更行かないね。
「おいくっつくな。歩き難いわ」
「妨害するためにくっついてるんだから仕方なくない?」
「あー。なら仕方ないか」
「だよねー」
しかしなんだ。
この女は馬鹿で厨二病だが、顔と体は良い。美少女と言って過言ではないだろう。
そんな女に纏わりつかれて歩くのは、なかなかどうして気分が良いじゃないか。
「でもお前ずぶ濡れだしなぁ。臭いし」
「はぁ? 濡らしたのそっちじゃん。おっぱいにぶっかけたのもそっちじゃん」
「磯臭いって意味な。でもいいね。その発言エロいわ」
「ふっふっふ。本気出したらこんなもんよ!」
「ひえ〜」
今の姿を知り合いにでも見られたら、さぞかし羨ましがってくれるだろうけど、特に人とすれ違う気配もないし、さっさと帰って飯を食おう。
何にしようかなぁ。なんか魚食いてぇな。魚だな。
「あ、それで竜宮城は?」
「ネット繋がってんなら行ってもいいよ」
「ネット? あー網ね。届かないようになってるから安全だよ」
「は?」
「お? 喧嘩すっか? 乙姫パンチやっちゃうか?」
「次やったらマジで殺すわ」
「処女あげるからそれは許して」
「おっけー」
この女は何がしたいんだろう。
もうすぐ家に着きそうなんだけど、このまま着いて来ちゃうのかしら?
「乙姫さんや」
「なんだい人間さん」
「もうすぐ家なんだけどさ、お前どこまで着いて来んの?」
「とりま家まで行く」
「ほえ〜こわいよ〜」
美少女とは言え、初対面の得体の知れない女を家に上げるのは抵抗があるなぁ。ずぶ濡れだしなぁ。部屋に入れる前に風呂に入って欲しいし、服も洗わせて欲しい。
あ、洗濯物洗いっぱなしじゃん。干すの面倒くせぇ。こいつやってくれねぇかな? ってかやらせよ。
てんててんてん。てんてんてんてん。
この曲、何のCMだっけ?
「そういえば人間さんや。名前は何ていうの?」
「小林巧」
「ふーん。じゃあ小林って呼ぶね」
「うい」
そうこうしているうちにアパート到着。
ふははは。この女の妨害は無意味に終わったのだ。
部屋の鍵を開けると、至極当然みたいな顔で乙姫が侵入した。
「せまっ」
「うるせぇ殺すぞ」
「あのさぁ、その『殺す』って言うの怖いからやめてくれない? もっとマイルドに『犯す』って言いなよ」
「すげぇな。覚悟決まってるわお前。とりあえず服脱げ」
「えぇ……ムードとか作る気ないんか? 小林絶対モテないよね」
「犯すぞ。臭えから洗うんだよ。お前はシャワー浴びて来い」
「気が効くじゃん。良きにはからえ」
乙姫は玄関で着物を脱いで全裸になった。
うーんエロい。お尻とか触ったら怒るだろうか?
「風呂場そっち。シャワーの使い方わかる?」
「乙姫パンチ!」
「いてっ。え、なんで?」
「舐めんなボケ。シャワーくらい使えますー」
「そかそか」
そりゃそうだ。
いくら頭が悪くたって、シャワーが使えない奴など居ないだろう。なにせこの俺でさえ使えるのだ。
「それはそうと乙姫パンチしたな? 約束通り犯すけど良い?」
「あー終わった! 処女人生終わった! あ、ちょっと待って、提案があります」
「ん?」
「お尻を好きにしていいよ。だから犯さないで? ね?」
「乗った」
「やった! お尻はすごいね、人間如きに処女を奪われずに済んじゃった」
「うむ」
乙姫は全裸のまま尻を突き出した。
股間は手で隠しているのが小賢しいが、まぁこの際構わない。
少なくとも、彼女の体勢は非常に尻を弄りやすい。非常に良い心がけだ。
「では、頂きます」
「あーい」
思いっきり尻を鷲掴みにすると、成程と頷いてしまう。
俺は生まれてこの方おっぱい至上主義者だった。ケツ派を歌う奴は、逆張りをしたいだけの愚かな人類とすら考えていた程だ。
しかしどうだ。この感触と肌触りは、おっぱいには無い優しさに満ちている。自分のケツとは偉い違いだ。
「あ、良いこと考えた」
「絶対良くないこと考えてない?」
ケツ肉を掴んで力任せに左右へ開いてやった。
この馬鹿な女のケツ穴がどんな物か拝んでやろうと考えたのだ。
まぁいくら馬鹿でもケツ穴くらい普通だろうと思うし、ただ単にアナルを拝見したかっただけなのだが、思いの外、彼女のそれは想像と違う形をしていた。
「お前のアナルさ、なーんで縦長なの?」
アナルなんて、誰でもアスタリスクみたいな形だと思っていたが、コイツのアナルは縦長に割れている。ケツの割れ目の中に更なる割れ目がある。マトリョーシカアナルだ。
「え? 私のアナル縦割れしてる?」
「してる。めっちゃキモい」
「うわー。アナル遊びし過ぎたかも」
「アナル遊び」
「いやほら、私って乙姫じゃん? 乙姫がさぁ、一人遊びで誤って処女喪失〜なんて事態になったら世界の損失でしょ?」
「えー。あ、そうだな。アナル遊びってことはさ、お前アナルで感じるの?」
「めちゃめちゃアナルで感じる。主戦場はアナルと言っても過言じゃないね」
ふむ。という事はだ。こいつのアナルを弄り回してやれば、相当エロい姿が見れるかもしれない。
「でもアナルに指入れるのは流石に汚そうだなぁ」
「は? 地上に来る前に腸内洗浄済ませてるから。アナル遊び始めたタイミングでパパに見られて、気不味くて家出してきた感じだから。世界一綺麗なアナルでーす」
「しょーもな」
でも綺麗なら良いか。
早速アナルをめちゃくちゃにしてやるぜ。
「あ、ちょっと待って小林」
「どした?」
「さっきも言った通りさ、私のメインステージはアナルなのね」
「ふむ」
「それを他人に弄られたら、まぁまぁな確率でイッちゃうと思うんよ」
「ふむふむ」
「なんかさ、イッたら私が負けたみたいじゃない?」
「じゃあ勝負だな」
「負けないよ!」
ここが正念場だ。
この女の素性は知らないが、ここで一発ぶちかましてやるぜ。
さぁ、バトルスタートだ。